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Extensible Markup Language
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Extensible Markup Language(エクステンシブル マークアップ ランゲージ)は、基本的な構文規則を共通とすることで、任意の用途向けの言語に拡張することを容易としたことが特徴のマークアップ言語の総称である。一般的にXML(エックスエムエル)と略称で呼ばれる。JISによる訳語は「拡張可能なマーク付け言語」と定義している。XML文書のフォーマットを予め統一することで、異種プラットフォーム間での情報交換も可能となる。
SGMLからの移行を目的として開発された。文法はSGMLの構文解析器と互換性を保つようにSGMLのサブセットに定められシンプルになり、機能はSGMLに無いものが追加されている。
XML の仕様は、World Wide Web Consortium (W3C) により策定・勧告されている。1998年2月に XML 1.0 が勧告された。2010年4月現在、XML 1.0 と XML 1.1 の2つのバージョンが勧告されている(#バージョン)。
ちなみに、「eXtensible Markup Language の略である」と書かれることがあるが、これは間違いであり、XはExの発音を表している。
XMLは、個別の目的に応じたマークアップ言語群を創るために汎用的に使える。マークアップ言語とは、コンピュータ言語の一種で(広義の「コンピュータ言語」であり、プログラミング言語ではないデータ記述言語などを含む意味)あるが、詳細は「マークアップ言語」の記事を参照のこと。XMLは、その「入子状にタグで囲まれたもの」という構文を共通としたことで、拡張が容易であるとして「extensible」と主張している。
上記の理由もあって、しばしば「あらゆる目的に使える」などと主張されるが、データ構造的には木であって、より入り組んだネットワーク構造(グラフ構造)を直接扱うことは不可能である(XLinkなどの提案はあるが)。
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上記の理由もあって、しばしば「あらゆる目的に使える」などと主張されるが、データ構造的には木であって、より入り組んだネットワーク構造(グラフ構造)を直接扱うことは不可能である(XLinkなどの提案はあるが)。
XMLの最も重要な目的は、異なる情報システムの間で、特にインターネットを介して、構造化された文書や構造化されたデータの共有を、容易にすることである。XMLを使うと、文書を構造化して記述できるし、コンピュータのデータを直列化 (シリアライズ) できる。データを直列化する用途でXMLを使う際には、XMLは、JavaScript Object Notation (JSON) やYAMLなどの、テキストを基にした他の直列化言語と比較衡量できる。
XMLは、ユーザが定義したタグを用いて文章構造を記述するマークアップ言語である。HTMLが、Webページを記述するための言語であるのに対して、XMLは、データ交換のための汎用のデータ形式である。HTMLで使用するタグはあらかじめ定義済みのものだが、XMLではユーザが新しくタグを定義して、データの意味や構造を記述することが可能である。
XMLで文書の論理的構造を規定する制約を追加することによって、XMLを適用したマークアップ言語を実装できる。XMLを適用したマークアップ言語は非常に多く存在している (#XMLの応用の節を参照)。例えば、Extensible HyperText Markup Language (XHTML)、DocBook、RSS、Mathematical Markup Language (MathML)、ebXML、Scalable Vector Graphics (SVG)、MusicXML などがある。さらにXMLは、そういった個別のXMLについての構文規則を示すためのスキーマ言語も用意している。スキーマ自体もXMLのXML Schemaの他、XMLではない記法でとても簡潔に大変わかりやすく書ける、Compact Syntaxも用意されているRELAX NGもある。
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XMLは、同じく汎用的に使えるマークアップ言語である Standard Generalized Markup Language (SGML) の、簡素化されたサブセットとして、人間にとっても比較的判読しやすいように設計された (#歴史を参照)。XMLの仕様は、XMLワーキンググループなどにより設計が行われ、World Wide Web Consortium (W3C) により勧告 (策定) されている。XMLは無償で使えるオープン標準の技術である。XML仕様のW3C勧告ではXMLの文法とXMLプロセサ (XMLパーサ、XML文書の構文解析器) のための要件を定めている。1998年2月に XML 1.0 が勧告され、2004年2月に XML 1.1 が勧告された(#バージョン参照)。
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XML文書の正当性の水準には、整形式XML文書と妥当なXML文書の、2つの水準がある (#整形式XML文書と妥当なXML文書を参照)。XML文書のマークアップ規則に従って記述されていることだけが問題とされる文脈で、スキーマ言語を使わずに、XML文書のマークアップ規則に従って記述された文書を、「整形式XML文書」 (well-formed XML document) という (#XMLの構文と整形式XML文書を参照)。さらに、XML文書をより厳密に構造化した文書やデータとして扱いたい場合は、XML文書の構造をスキーマ言語によって定義することができ、XMLプロセサでそのXML文書(XMLインスタンス)に対してその文書構造に従っていることを検証する(妥当性検証を行う)というように、XML技術を使うこともできる (#XML文書の論理的構造と妥当なXML文書を参照)。 XML文書に対して妥当性検証を行うことにより、従来アプリケーションソフトウェアで行ってきた、XML文書の構造の検査や、XML文書に含まれるデータに対するデータ型のチェックや値の範囲のチェックが、可能となる。スキーマ言語としては Document Type Definition (DTD、文書型定義)、W3C XML Schema、RELAX NG (文書スキーマ定義言語: DSDL)などがある。XML文書の構造がスキーマ言語によって定義され、XML文書の妥当性を検証するソフトウェアによって妥当性が検証されたXML文書のことを「妥当なXML文書」 (valid XML document) という。整形式XML文書は、妥当なXML文書である場合と、妥当なXML文書ではない場合とがある。スキーマ言語を採用して妥当性検証を行う方法でXMLを使うこともできるし、スキーマ言語を採用せず妥当性検証を行わないで手軽にXMLを使うこともできる。
XML勧告では、XMLプロセサがサポートすべき文字符号化方式(文字コード)としてUTF-8とUTF-16 (Unicode) を定めているため、英語以外の言語も扱いやすくなっている (#多言語環境で使うを参照)。また、UTF-8とUTF-16以外の文字コード(UCS-4、EUC-JP、Shift_JIS、EBCDICなど)を用いることも可能である。
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XML勧告では、XMLプロセサがサポートすべき文字符号化方式(文字コード)としてUTF-8とUTF-16 (Unicode) を定めているため、英語以外の言語も扱いやすくなっている (#多言語環境で使うを参照)。また、UTF-8とUTF-16以外の文字コード(UCS-4、EUC-JP、Shift_JIS、EBCDICなど)を用いることも可能である。
XMLだけでは最低限の書式しか決められていないため、XMLの力を引き出す各種の関連技術が別途標準化されている (#XMLの拡張および#XML文書をプログラムで処理する、#XML文書を視覚的に表示する、#XML情報集合を参照)。 以下に挙げるものをはじめとして、現在も多くの関連技術の標準化作業が行われている。
XMLは現在、広く普及している技術であるが、その技術的な有用性などについて、肯定的に評価する人々が多い一方で、批判的に評価する人々も多い (#XMLに対する支持と批判を参照)。
XML文書の正当性の水準には、整形式XML文書と妥当なXML文書の、2つの水準がある。なおXML文書に対して、整形式XML文書としての検査のみを行うXMLプロセサを非検証XMLプロセサといい、整形式XML文書としての検査に加えて妥当なXML文書としての検査を行うXMLプロセサを検証XMLプロセサという。
整形式XML文書が満たすべき構文の規則を説明する。
整形式XML文書としての条件が満たされることのみを考慮する場合 (スキーマ言語を使わずに手軽にXMLを使う場合) においても、XMLは、大量の文書やもしくは木構造として表現することができるデータを格納するための、一般的な枠組みとしての役割を果たすことができる。
XML文書は、要素 (element) と属性 (attribute) が複数集まって、構成されている。 要素は内部に子要素を含むことができる。属性は要素に付随し、属性の内部に子要素を含むことはできない。要素は開始タグと終了タグで内容を挟むことで表現する。 開始タグは「<要素名>」、終了タグは「</要素名>」で記述する。
一つの要素を記述するための基本的な構文を次に示す。
ここで、<要素名 属性="値"> をこの要素の開始タグといい、</要素名> を終了タグという。「内容」は何らかのテキストである。
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一つの要素を記述するための基本的な構文を次に示す。
ここで、<要素名 属性="値"> をこの要素の開始タグといい、</要素名> を終了タグという。「内容」は何らかのテキストである。
次に示す例は整形式XML文書である。
この例は、書籍という要素を一つもつXML文書である。<書籍> が書籍要素の開始タグであり、</書籍> が書籍要素の終了タグである。「出版日="2007-10-31"」は書籍要素の属性である。この属性の名前 (属性名) は「出版日」であり、この属性の値 (属性値) は "2007-10-31" である。「これは書籍です.... 」は、書籍要素の内容である。
要素の内容を構成するテキストはまた、さらに任意の数の要素を含むことができる (なお、このように一つの要素内に文字列データと子要素が混在するものを、「混合内容」と呼ぶ)。 すなわち、一般的なXML文書は木構造をなす。 この点において、XMLはプログラミング言語LISPのS式と似ている。 S式でも木構造を記述する。S式の木構造のおのおのの節は、自分自身のプロパティリストをもつことができる。
要素は内部に別の要素を含むことができる。構造化したXML文書の例を示す。
要素の属性の値は、必ずシングルクォート (') かダブルクォート (") で括らなければならない。そして要素内にある属性は、互いに属性名が異なっていなければならない。XML文書では要素は正しく入れ子になっていなければならない。要素は決してオーバーラップしていてはならない。
例えば、次の文書は整形式XML文書ではない。なぜなら 書名 要素と 著者 要素がオーバーラップしているからである。
次の2つの文書は整形式XML文書である。
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例えば、次の文書は整形式XML文書ではない。なぜなら 書名 要素と 著者 要素がオーバーラップしているからである。
次の2つの文書は整形式XML文書である。
整形式XML文書においては、XML文書は正確に一つのルート要素 (文書要素; document element とも呼ばれる) をもたなければならない。ルート要素とは、XML文書の要素の階層構造において最上位の要素のことをいう。最上位の要素は一つでなければならない。最上位の要素が複数ある文書は、整形式XML文書ではない。 整形式XML文書が一つのルート要素をもたなければならないという条件が意味することは、整形式XML文書のテキストは、ルート要素の開始タグと対応する終了タグの間に、収められなければならないということである。ルート要素の開始タグと終了タグの間に収められたテキストは、任意の数の要素や文字列データを含むことができる。
ルート要素の前に、必要に応じて、XML宣言 (XML declaration) をおくことができる。このXML宣言は、XMLのどのバージョンが使われているか (現時点ではバージョン1.0であることが多い) などを示す。XML宣言では、XMLのバージョンの他に、文字符号化方式 (文字コード) の指定や、他のXML文書との依存関係についての指定を、行うこともできる。
XML宣言を含んだXML文書の例を示す。
XML仕様では、XMLプロセサ (XMLパーサ、XML文書の構文解析器) が、Unicodeの文字符号化方式であるUTF-8およびUTF-16で記述されたXML文書を処理できることを、必須条件としている (UCS-4は必須条件ではない)。XMLプロセサは、UTF-8およびUTF-16の他にも、いくつかの任意の文字符号化方式の文書を処理できるようにして良い。例えば、UCS-4、EUC-JP、Shift_JIS、EBCDICなどの文字符号化方式の文書を処理できるXMLプロセサが、広く普及し、使われている。
コメントはXML文書の木構造のどこにでもおくことができる。 コメントは、"<!--" で始まり、"-->" で終わる。 なお、コメント内に "--" を含むことはできない。
コメントを含むXML文書の例を示す。
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コメントはXML文書の木構造のどこにでもおくことができる。 コメントは、"<!--" で始まり、"-->" で終わる。 なお、コメント内に "--" を含むことはできない。
コメントを含むXML文書の例を示す。
内容のない要素を空要素 (empty element) という。XMLでは、空要素を表現するために特別な構文を使うことができる。開始タグを書きその直後に終了タグを書くこともできるが、その代わりに空要素のタグを使うことができるのである。空要素タグは開始タグと似ているが、閉じ括弧の直前にスラッシュをおく。
次の3つの例は、XMLでは同等である。
空要素タグは属性を含むことができる。
XML文書ではどのUnicodeの文字も (XMLで特別な意味をもつ、開き山括弧 "<" のような文字を除いて)、要素名として、属性名として、コメント内容として、文字データとして、処理命令 (後述) として、直接に使うことができる。このため、漢字とキリル文字を共に含む次の文書も、整形式XML文書である。
XML文書 (あるいはSGML文書、HTMLウェブページを含む) において、文書型宣言 (DOCTYPE宣言、Document Type Declaration) は、その文書を特定の Document Type Definition(DTD、文書型定義) のスキーマと関連づけることを記述するものである。なお、Document Type Definition (DTD、文書型定義)は、XMLで使うことができるスキーマ言語の一つである。文書型宣言は、その文書が特定のスキーマに準拠していることを宣言する。
XML文書では文書型宣言を記述してもよいし、記述しなくてもよい。DTDをスキーマ言語として妥当性検証を行うことを想定しているのであれば、文書型宣言の記述は必須となるであろう。DTDで妥当性検証を行わない場合でも、後述する実体参照などを文書中で使うのであれば、文書型宣言において文書中で使う実体を宣言することができる。
文書型宣言は、その文書が特定のスキーマに準拠していること (妥当なXML文書であること) を、保証しているわけではない。文書型宣言に記されたスキーマに準拠しているかどうかを判断するには、検証XMLプロセサでその文書を検証する必要がある。
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文書型宣言は、その文書が特定のスキーマに準拠していること (妥当なXML文書であること) を、保証しているわけではない。文書型宣言に記されたスキーマに準拠しているかどうかを判断するには、検証XMLプロセサでその文書を検証する必要がある。
文書型宣言の一般的な構文は次のとおりである。
ここで外部サブセットとは、そのXML文書のDTDを構成する (要素の型の宣言、後述する実体の宣言などの) 宣言群のうち、別ファイルに記述された宣言群のことである。また内部サブセットとは、そのXML文書のDTDを構成する宣言群のうち、文書型宣言内に直接記述された宣言群のことである。
XHTML 1.0 Strict に準拠したXML文書での文書型宣言は、次のとおりである。
XML文書においては、ルート要素がその文書の最初の要素である (例えば、XHTMLではルート要素は html である)。SYSTEM キーワードと PUBLIC キーワードは、その文書型 (文書の構造) の種類を指定する。一般に広く知られていないDTDを使う場合は、SYSTEM キーワードを使う。一般に広く知られているDTDを使う場合 (XHTMLなど) は、PUBLIC キーワードを使う。
内部サブセットは必要に応じて記述する。 内部サブセットとして、DTDの一部分もしくはDTDの全体を記述することができる。 なお、内部サブセットとしてDTDの全体を記述する場合は、SYSTEMキーワード・PUBLICキーワード・外部サブセット参照は、いずれも記述しない。
実体参照 (entity reference) は、実体を表現するプレースホルダである。
XMLにおける実体 (entity) とは、SGMLにおける実体と同じように、名前の付けられたデータの本体である。具体的には、ファイルもしくは置換文字列のように、何らかの形でXML文書の一部となるデータを格納しているもののことである。置換文字列を使う事例としては、次のような場合がある。
実体参照の構成は、まず最初にアンパサンド ("&") があり、その後に実体の名前が続き、セミコロン (";") で終わる。
XMLには、事前宣言された実体として次の表に示す5つの実体がある。
「AT&T」の名前でアンパサンドを表現するために、事前宣言されたXMLの実体を使う例を示す。
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実体参照の構成は、まず最初にアンパサンド ("&") があり、その後に実体の名前が続き、セミコロン (";") で終わる。
XMLには、事前宣言された実体として次の表に示す5つの実体がある。
「AT&T」の名前でアンパサンドを表現するために、事前宣言されたXMLの実体を使う例を示す。
事前宣言された実体以外の実体を宣言する必要がある場合、XML文書の Document Type Definition (DTD、文書型定義) の内部で宣言する。
XML文書の内部に定義されたDTDを使って、置換文字列としての実体を宣言して、実体参照を使う例を次に示す。宣言された実体は、一つの文字であっても良いし、テキストの断片であっても良いし、他の実体への参照を含むテキストであっても良い。
XMLに準拠したブラウザを使うと、先のXML文書は次のように表示される。
ファイルの実体を参照するXML文書の例を示す。
なお、別ファイル another-file.xml には次の内容が記されていることとする。
XMLに準拠したブラウザでこのXML文書を表示すると、次のようになる。
文字参照 (character reference) は、文字をXML文書内でコード番号を指定して記述する記法である。文字参照は、実体参照と似ているが、実体参照では名前を使うのに対し、文字参照ではその部分で始めに "#" 文字を記述し続けて数字を記述する。
文字参照で使う数字は、符号化文字集合の国際規格である ISO/IEC 10646 (およびUnicode) のコード番号である。文字参照で使うことができる数字は、十進数であるか "x" を前につけた十六進数である。文字参照は、実体参照とは異なり、事前宣言されているわけでもなく、XML文書のDTD内部で宣言されているわけでもない。文字参照は、簡単には符号化できない文字を表現するために使われることが多い。例えば、欧州のコンピュータ上で作成するXML文書でアラビア語の文字を使う場合などである。「AT&T」の例の内のアンパサンドは、この場合に似ているともいえる。十進数の38と十六進数の26は、共に ISO/IEC 10646 の "&" 文字のコード番号である。つまり「AT&T」はXML文書では次のように記述することができる。
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処理命令 (processing instruction) は、XML文書の構成要素であり、XML文書を扱うソフトウェアに対する何らかの処理を行う命令を、記述する内容が、処理命令である。
次に処理命令の構文を示す。
処理命令は ?> の文字列を除き任意の処理内容を記述することができる。処理命令には、処理内容として擬似属性 (pseudo attribute) を記述することがある。擬似属性は、記述のしかたが属性名と属性値のペアに似ている。しかしXMLプロセサは擬似属性を、属性として解釈せず、処理命令の処理内容として解釈する。
擬似属性を使った処理命令の例を次に示す。 これはXML文書にカスケーディングスタイルシート (CSS) と関連づけるという処理命令である。
あるXML文書内に記述された特定の処理命令について、その処理命令をプログラマーが意図したとおりの処理を実行させるためには、そのXML文書を処理するアプリケーションソフトウェア側がその処理命令に対応する必要がある。
XML文書 (およびSGML文書) においてCDATAセクションとは、文字列データのみで構成されておりマークアップされたデータは含まれていないと、XMLプロセサが解釈するようマークされた、要素の内容を構成する文字列データの一部である。CDATAセクションは、文字列データを表現するための単なる代替構文である。 CDATAセクションとして宣言された文字列データと、"<" と "&" を "<" と "&" で表現する通常の構文で記述した文字列データとの間に、意味的な違いはない。
CDATAセクションは次の記述で始まる。
そしてCDATAセクションの内容が続き、次の記述が最初に出現したところでCDATAセクションは終わる。
CDATAセクションの内容の文字列は全て文字列データとして解釈され、マークアップや実体参照や文字参照として解釈されることはない。
次の例で「送信者」の開始タグと終了タグはマークアップとして解釈される。
しかし次のように記述した場合は、
次のように記述したものと同等に解釈される。
すなわち、「送信者」タグは「星新一」の文字列と同列に位置づけられ、いずれも文字列データとして解釈される。
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CDATAセクションの内容の文字列は全て文字列データとして解釈され、マークアップや実体参照や文字参照として解釈されることはない。
次の例で「送信者」の開始タグと終了タグはマークアップとして解釈される。
しかし次のように記述した場合は、
次のように記述したものと同等に解釈される。
すなわち、「送信者」タグは「星新一」の文字列と同列に位置づけられ、いずれも文字列データとして解釈される。
文字参照 ð が要素の内容で出現した場合は、一つのUnicode文字 00F0 ("ð") として解釈される。しかしCDATAセクション内で出現した場合は、8つの文字からなる文字列として解釈される。 すなわち、アンパサンド、#マーク、文字x、数字0、数字0、文字F、数字0、セミコロンの8つの文字からなる文字列として解釈される。
整形式XML文書は、とりわけ、次に示す規則に適合しなければならない。
要素の名前ではアルファベットの大文字と小文字とが区別される。例えば、次の例は整形式である。
しかし次の例は整形式ではない。
XML文書のスキーマを設計する際に、XMLの要素の名前を注意深く選択すると、そのスキーマに準拠したXML文書のデータの意味を、第三者に伝えるために有効であろう。XMLの要素の名前を注意深く選択することにより、そのスキーマに準拠したXML文書は、人間にとって読みやすいものとなる。
XMLの要素と属性の名前を、体が名を表すように注意深く選択決定することで、人間がXML文書を読む際に、要素と属性の意味を、外部の説明文書を参照することなく、よりよく理解できるようになる利点が生まれる。ただしこのような作業を行うことは、XML文書の冗長性が増えることでもある。
人によっては、XML文書を書く際の労力が増えることを、好まない場合がある。またファイルサイズも大きくなることになる。ただし圧縮技術をXML文書に適用してファイルサイズを小さくすることは可能である。
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人によっては、XML文書を書く際の労力が増えることを、好まない場合がある。またファイルサイズも大きくなることになる。ただし圧縮技術をXML文書に適用してファイルサイズを小さくすることは可能である。
整形式XML文書を正確に書くためには、ここまで述べたことよりずっと多くの規則にしたがう必要がある。例えば、XML名前空間を使うことや、XMLでの「名前」として使うことができる正確な文字集合を使って、XML文書を書くことなどである。とはいえ、ここまで述べた整形式文書に関する概略を理解しておけば、多くのXML文書を読み理解しあるいは多くのXML文書を書くために必要な基礎は、身についたといえる。
XML文書の正当性を自動的に検査するための方法を説明する。
あるXML文書が、整形式XML文書としての条件のみを満たした文書であるか、それとも妥当なXML文書としての条件をも満たした文書であるかを、判別することは、比較的容易である。というのも、整形式XML文書であるための規則と、XMLの妥当性検証のしくみについては、XML文書を扱うツールの移植性を考慮して設計されているからである。つまりこの設計方針は、XML文書を扱うツールであれば、どのようなXML文書でも扱うことができるということである。
独立したツールを使い、XML文書の正当性を自動的に検査する例を示す。
妥当なXML文書について詳しく説明する。
XMLでは、要素に名前を付けることができ、階層構造をとることができ、スキーマ言語 (Document Type Definition など) により用途に沿うように定義されたスキーマを使うことで要素と属性の意味を公開し説明することができる。XMLのこうした特徴により、目的に応じたXMLに準拠したマークアップ言語を創るための、構文的な基礎が成り立っている。
スキーマは、制約の集合を記述することにより、XML文書の構文上の規則を単に補足するのみである。スキーマは、多くの場合、要素と属性の名前を限定し、各要素が内容とするものの階層構造を規定し、属性の内容を規定する。例えば、「誕生日」という名前の要素では、「月」という名前の一つの要素と「日」という名前の一つの要素をもつことができ、「月」要素と「日」要素のそれぞれは文字列データのみをもつことができる。
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スキーマは、制約の集合を記述することにより、XML文書の構文上の規則を単に補足するのみである。スキーマは、多くの場合、要素と属性の名前を限定し、各要素が内容とするものの階層構造を規定し、属性の内容を規定する。例えば、「誕生日」という名前の要素では、「月」という名前の一つの要素と「日」という名前の一つの要素をもつことができ、「月」要素と「日」要素のそれぞれは文字列データのみをもつことができる。
スキーマに定義された制約には、データ型の割り当てを含むことができる場合がある。 データ型を割り当てることにより、データ型が割り当てられた情報がどのように処理できるかを、規定することができる。 例えば、「月」要素の文字列データは、そのXML文書で採用したスキーマ言語の機能に準拠して、「1」から「12」までの数字のみが妥当であるという形で、定義することができる可能性がある。ここでスキーマ言語の (データ型に関する) 機能とは、おそらく特定の方法で形式にしたがって記述しなければならないということだけでなく、別のデータ型の値であるかのように処理されることを未然に防ぐことを、意味する。
何らかのスキーマに準拠したXML文書は、整形式であるということに加えて、妥当 (valid) であるということが成り立つ。
XMLのスキーマは、XMLの文書型 (文書の種類、文書の論理的構造) を記述したものである。 多くの場合スキーマは、その文書の構造と内容に関する制約という形で表現される。XMLのスキーマは、XML仕様で規定されている、整形式XML文書としての基本的な制約に加え、それ以上の制約をXML文書に課すことができる。XMLのスキーマ言語は、標準規格のものもプロプライエタリなものも含めて、こうしたスキーマを表現するという目的のもと、数多く存在している。いくつかのスキーマ言語では、スキーマ自身をXML文書として記述する。
スキーマ言語の記述能力はスキーマ言語ごとにさまざまである。例えばスキーマ言語の一つである Document Type Definition (DTD) では、XML文書がとるべき構造の主な規則として、そのDTDに準拠したXML文書で使うことができる要素の名前、要素の内容モデル、要素で指定できる属性の名前、属性の値のデータ型を、記述することができる。
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スキーマ言語の記述能力はスキーマ言語ごとにさまざまである。例えばスキーマ言語の一つである Document Type Definition (DTD) では、XML文書がとるべき構造の主な規則として、そのDTDに準拠したXML文書で使うことができる要素の名前、要素の内容モデル、要素で指定できる属性の名前、属性の値のデータ型を、記述することができる。
なお、要素の内容モデルとは、要素の内容に出現可能な要素やデータとその順番、および要素の出現回数を規定したもののことをいう。
Standard Generalized Markup Language (SGML) やXMLなどの汎用的なデータ記述言語が世に出る前は、ソフトウェア設計者は、複数のプログラムの間でデータの受け渡しをするために、自分自身でファイルフォーマットを定義するか、ちょっとしたコンピュータ言語を定義しなければならなかった。このため受け渡しするデータの詳細な仕様やその他の文書を書かなければならなかったし、文書の書き手を別途に確保しなければならないこともあった。
XMLが一定の構造をもち厳密な構文解析の規則をもつことで、ソフトウェア設計者は構文解析の作業を標準的なソフトウェアツール (妥当性検証器、バリデータ) に任せることができる。そしてXMLには、用途に特有の言語を開発するための一般的な、データモデル指向の枠組みがある。 このためソフトウェア開発者は、比較的高水準の抽象度において、自分たちが扱うデータの規則の開発に専念するだけでよい。
XML文書をスキーマに照らして妥当性検証を行うための、十分にテストされたツールが、数多く存在している。XML文書をスキーマに照らして妥当性検証を行うためのツールを、妥当性検証器 (バリデータ) という。妥当性検証器は、スキーマに表現された制約にXML文書が準拠しているかについて、自動的に妥当性検証を行う。 妥当性検証器は、XMLプロセサ (XMLパーサ) に含まれていることもあれば、XMLプロセサとは別に提供されていることもある。
これまでに述べたスキーマの使い方とは別の使い方も存在する。 例えば、XMLエディタは、XML文書の編集を支援するためにスキーマを使うことができる。こうしたXMLエディタでは、妥当な要素名や妥当な属性名を提示することなどができる。
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これまでに述べたスキーマの使い方とは別の使い方も存在する。 例えば、XMLエディタは、XML文書の編集を支援するためにスキーマを使うことができる。こうしたXMLエディタでは、妥当な要素名や妥当な属性名を提示することなどができる。
XMLのための最も歴史の古いスキーマ言語は Document Type Definition (DTD、文書型定義) である。DTDは、XMLの前身であるSGMLから引き継がれた。DTDは XML 1.0 標準に含められているため、ほとんどあらゆるXMLプロセサがDTDを扱うことができる。しかし2007年現在ではDTDを使うことは限定的な範囲にとどまっているようである。その理由は次のとおりである。
DTDは現在も多くの用途で使われている。その理由は、一定の人々にとってはDTDは他の新しいスキーマ言語よりも読みやすく書きやすいと考えられているからである。
XML Schema は、World Wide Web Consortium (W3C) により開発された、DTDの後継となる新しいスキーマ言語である。 非公式には、XSDと呼ばれることもある。XSDは、XML Schema のインスタンス (スキーマ) を意味する "XML Schema Definition" の頭字語である。
XML Schema は、豊富なデータ型を扱うことができるスキーマ言語である。XML文書の論理的構造について、DTDより詳細な制約を記述することができる。そしてDTDより詳細な妥当性検証の枠組みのもとで、妥当性検証が行われる。他にも、XMLによるマークアップ言語のスキーマの記述能力において、DTDと比べて非常に高いという長所も備えている。
また、XML Schema によるスキーマ自体を、XMLに準拠した形式を使って記述する。XML Schema のスキーマ自体がXMLに準拠することで、スキーマを編集したりスキーマに何らかの処理を行うために、普通のXMLツールを使うことができるようになる。
ただし、XML Schema の妥当性検証器を実装する作業には、単にXML文書を読むことができる能力よりも、非常に多くの知識と能力を必要とする。
XML Schema に対しては賛否両論がある。XML Schema に対する批判の一部を示す。
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ただし、XML Schema の妥当性検証器を実装する作業には、単にXML文書を読むことができる能力よりも、非常に多くの知識と能力を必要とする。
XML Schema に対しては賛否両論がある。XML Schema に対する批判の一部を示す。
RELAX NGは人気のあるもう一つの新しいスキーマ言語である。2001年12月にOASIS (構造化情報標準促進協会) で仕様が策定された。ISO (国際標準化機構) にて定められた国際標準でもある。ISOでは、文書スキーマ定義言語 (DSDL) の一部分を構成する仕様として位置づけられている。
RELAX NGのスキーマの記述方法は、2つの形式がある。XMLに準拠した構文 (XML構文、xml syntax) と、XMLに準拠しない短縮構文 (compact syntax) である。短縮構文は、読みやくすることとより書きやすくすることを目指している。ただし、短縮構文で記述されたスキーマをXML構文のスキーマに変換する方法と、その逆の変換を行う方法は、予め定義されているので、ジェームズ・クラークが開発した Trang conversion tool を使えば、標準のXMLツールを使う利便を享受することができる。
RELAX NGはXML Schemaよりも簡潔なスキーマ定義と簡潔な妥当性検証の枠組みを、備えている。そのためRELAX NGは、XML Schema と比べて、使いやすく、またRELAX NGの妥当性検証器を実装することも容易になっている。
RELAX NGもまた、データ型フレームワークプラグインを使う機能を備えている。 RELAX NG でスキーマを記述する人は、例えば、XML文書でXML Schemaのデータ型の定義に適合させたいと考えるかもしれない。 そして RELAX NG では、データ型フレームワークプラグインを使うことにより可能となっている。
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RELAX NGもまた、データ型フレームワークプラグインを使う機能を備えている。 RELAX NG でスキーマを記述する人は、例えば、XML文書でXML Schemaのデータ型の定義に適合させたいと考えるかもしれない。 そして RELAX NG では、データ型フレームワークプラグインを使うことにより可能となっている。
ISO 文書スキーマ定義言語 (DSDL; Document Schema Description Languages) 標準は、小規模なスキーマ言語の広範なセットを共に提供する。DSDLを構成する複数の仕様のそれぞれが、特定の問題に対応するために特化されている。DSDLはRELAX NGのXML構文と短縮構文、スキマトロン、データ型ライブラリ言語、文字レパートリ記述言語、文書スキーマ再命名言語、名前空間に基づく検証委譲言語 (NVDL) を、含んでいる。DSDLスキーマ言語群はXML Schemasを支持するベンダの支援は2007年の時点ではまだ受けていない。DSDLは出版のための機能が欠如していることに対する、出版業界の一定の草の根の反応でもある。
いくつかのスキーマ言語では、特定のXML文書の構造を記述する能力に加えて、個々のXML文書をその特定のXML文書構造に適合するように変換する機能も、限定的ながら備えている。
DTDとXML Schemaはこの変換機能を備えている。 DTDと XML Schema では、XML文書に属性の既定値を与えることができる。RELAX NGとスキマトロンは、意図的にこの機能を外している。 例えば、XML情報集合を正確に扱うことが、RELAX NGとスキマトロンの仕様策定時に変換機能を外した理由の一つである。
XML文書を視覚的に表示するための方法を説明する。
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DTDとXML Schemaはこの変換機能を備えている。 DTDと XML Schema では、XML文書に属性の既定値を与えることができる。RELAX NGとスキマトロンは、意図的にこの機能を外している。 例えば、XML情報集合を正確に扱うことが、RELAX NGとスキマトロンの仕様策定時に変換機能を外した理由の一つである。
XML文書を視覚的に表示するための方法を説明する。
XML文書は、その文書の内容をどのように視覚的に表示するかという情報を、一切含んでいない。 Cascading Style Sheets (CSS) や Extensible Stylesheet Language (XSL) のようなXMLのためのスタイルシート言語を使うのでなければ、ほとんどのウェブブラウザは普通のXML文書を生のXMLテキストとして描画する。いくつかのウェブブラウザは「ハンドル」をつけて表示する (例えば、余白に + と - の符号を表示する)。ハンドルを使うことにより、XML文書構造の部分木を、マウスクリックで展開したり折りたたんだりすることができる。
CSSを使ってウェブブラウザでXML文書を描画するためには、XML文書は次のような要領でスタイルシートへの参照を含めなければならない (XMLの処理命令を使ってスタイルシートを使って描画する旨を指定している)。
この方法は、HTML文書におけるスタイルシート指定の方法とは異なる。HTML文書では <link/> 要素を使ってスタイルシートを指定する。
XML文書を視覚的に表示するために、Extensible Stylesheet Language(XSL、拡張可能なスタイルシート言語)を使うこともできる。XSLを使う場合は、XML文書をXHTML/HTML文書の構造に変換するか、もしくはウェブブラウザで視覚的に表示することができる他の文書の構造に変換する。
クライアント側でXSL Transformations (XSLT) のスタイルシートを指定するためには、XML文書に次のようにXSLTスタイルシートへの参照を含めることが、必要である(XMLの処理命令を使って実現している)。
クライアント側のXSLTスタイルシート処理機能は、現在では多くのウェブブラウザが備えている。
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クライアント側でXSL Transformations (XSLT) のスタイルシートを指定するためには、XML文書に次のようにXSLTスタイルシートへの参照を含めることが、必要である(XMLの処理命令を使って実現している)。
クライアント側のXSLTスタイルシート処理機能は、現在では多くのウェブブラウザが備えている。
別の方法として、このような利用者が常用しているウェブブラウザの能力に依存する方法を採らずに、サーバ側でXSLを使ってXML文書を視覚化可能な形式に変換する方法も、行われている。利用者は、「舞台の裏側で」何が行われているかを、意識する必要はない。実際に目にするものは、よく整形され視覚化された文書だけである。
XMLを拡張する技術を説明する。
XML文書はさまざまなMIMEタイプで配布することができる。RFC 3023 は、"application/xml" および "text/xml" のMIMEタイプを定義する。 "application/xml" と "text/xml" のMIMEタイプは、そのデータがXML文書の形式をとっているということのみを述べているだけであり、そのXML文書の論理的構造については何も述べていない。 "text/xml" を使うことに対しては、符号化に関する問題が生じる可能性があるとの批判があり、現在では非推奨とされている。RFC 3023 では、加えて、XML文書を "application/" で始まり、"+xml" で終わるMIMEタイプで配布することを勧めている。例えば、AtomのXMLデータに対しては、"application/atom+xml" のMIMEタイプで配布するのである。
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XML名前空間 (Namespaces in XML) は、一つXML文書内で、異なる複数のボキャブラリ(スキーマ)に由来する要素と属性を、名前の衝突を発生させることなく、含めることができるようにするための仕様である。World Wide Web Consortium (W3C) から、1999年1月14日に Namespaces in XML 1.0 が勧告された。XML文書に異なる複数のボキャブラリに由来する要素と属性を含める場合、ボキャブラリのそれぞれに名前空間をわりあてることにより、要素名の衝突と属性名の衝突の問題を、解決することができる。
一つの名前空間において定義された要素の名前は、一意でなければならない。
顧客への参照と注文された商品への参照を含む簡単なXML文書の例を考える。顧客要素と商品要素は、ともに「識別番号」という名前の子要素をもつことがあるだろう。識別番号要素への参照は、顧客要素の子要素の識別番号要素も商品要素の子要素の識別番号要素も同じ要素名をもつので、あいまいである。しかし2つのボキャブラリを区別する2つの名前空間のもとで識別番号要素を使う場合、顧客要素の子要素の識別番号要素と商品要素の子要素の識別番号要素は意味的に明確に異なる2種類の要素となる。
名前空間は、XMLの予約属性である xmlns を使って宣言される。xmlns属性の属性値はIRI (Internationalized Resource Identifier) である必要があり、通常はURI (Uniform Resource Identifier) である。
例を示す。
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名前空間は、XMLの予約属性である xmlns を使って宣言される。xmlns属性の属性値はIRI (Internationalized Resource Identifier) である必要があり、通常はURI (Uniform Resource Identifier) である。
例を示す。
この例の "http://www.w3.org/1999/xhtml" を名前空間名という。ここで注意すべきこととしては、名前空間の宣言で記述されたURIは、実際にインターネット上の住所として解釈されるわけではないということである(自由に考えよう、URIほど便利なものが必ずインターネットのアドレスをささなければいけないなどと、誰が決めたのか)。例えば、http://www.w3.org/1999/xhtml自体には何のコードもない。このURIの文書では、人間の読者に対してXHTMLについて簡単に説明しているだけである。 ("http://www.w3.org/1999/xhtml" のような) URIを名前空間の識別子として使うことで、("xhtml" のような)単純な文字列を名前空間名として使うよりも、異なる名前空間が意図せずして同じ名前空間名を使ってしまう危険性を低減する。名前空間の識別子は、ウェブの住所(アドレス)の慣習にしたがう必要はない。
名前空間の宣言は短い接頭辞を含むことができる。この名前空間接頭辞を使うことで、異なるボキャブラリに由来する要素と属性を識別することができる。
名前空間接頭辞を使う例を示す。
XML名前空間を使ったXML文書の例を示す。
このXML文書は、次の2つの名前空間のボキャブラリから構成されている。
なおこのXML文書は、あるXML文書をXHTML文書に変換するXSLTスタイルシートである。
XML名前空間を使う場合、そのXML名前空間のボキャブラリが定義されていることが必要であるわけではない。しかしXML文書でXML名前空間を使う場合に、そのXML名前空間のボキャブラリを定義しておくことは、そのXML名前空間のURIのもとで正しい文書構造を定義しているスキーマに関連づけるために、行われることが多い。
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XML名前空間を使う場合、そのXML名前空間のボキャブラリが定義されていることが必要であるわけではない。しかしXML文書でXML名前空間を使う場合に、そのXML名前空間のボキャブラリを定義しておくことは、そのXML名前空間のURIのもとで正しい文書構造を定義しているスキーマに関連づけるために、行われることが多い。
プログラマやアプリケーションソフトウェアがXML文書を処理する手段としては、これまで次に示す3つの技法が伝統的に使われてきた。なお、この節の説明で使うAPIとはアプリケーションプログラミングインタフェースのことをさす。
さらに、近年に開発され使われるようになった、XML文書を処理する技法を示す。
Simple API for XML (SAX) は、字句解析を行いイベント駆動で処理を行う API である。SAXを使うとXML文書は文書の最初から順次読み込まれ、その内容はプログラマが実装したハンドラオブジェクトの様々なメソッドへのコールバックとして報告される。SAXを使ったXML文書処理は高速であり、少ないコンピュータ資源を効率的に使って非常にサイズの大きいXML文書を処理することが可能である。
SAXを使うことに伴う問題は、XML文書に対してランダムアクセスを行って情報を取り出すことが難しいことである。そのため、SAXを使うに際し、プログラマはXML文書のどの部分が現在処理対象となっているか把握する為の機構を実装しなければならない。
SAXは、処理対象となるXML文書中のある種類の情報がどの部分に出現するかに依らず、常に同じように処理されると保証できる場合に用いるのが望ましい。
Document Object Model (DOM) は、インタフェース指向のAPIであり、XML文書のおのおのの部分を表現する節オブジェクトの集まりからなる木構造であるかのように、XML文書全体に対してナビゲーションを行うことを想定している。DOMでは、XML文書に対してランダムアクセスを行って情報を取り出すことが、簡単にできる。
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Document Object Model (DOM) は、インタフェース指向のAPIであり、XML文書のおのおのの部分を表現する節オブジェクトの集まりからなる木構造であるかのように、XML文書全体に対してナビゲーションを行うことを想定している。DOMでは、XML文書に対してランダムアクセスを行って情報を取り出すことが、簡単にできる。
DOMにおけるXML文書全体に相当する Document オブジェクトは、XML文書をXMLプロセサが処理することにより生成することもできるし、プログラマがプログラミングすることによって生成することもできる。DOMにおける Node (節) のさまざまな型のデータ型は、DOM仕様においては抽象的にインタフェースとして定義されている。Node のデータ型の実装は、プログラミング言語に固有の言語バインディングを提供する。 DOMの実装は、サイズの大きいXML文書を扱う場合はたくさんのメモリを使う。なぜならDOMの実装は、一般的にはXML文書全体からオブジェクトの木構造を構築してメモリにロード(展開)し、その後にDOMを介した処理をできるようにしているからである。
Javaでは、標準ライブラリを構成するいくつかのパッケージでDOMが実装されており、Javaのプログラマは標準ライブラリのDOMを使うことができる。DOMの仕様は、World Wide Web Consortium (W3C) で策定されているため、DOMで中核をなす Node やDocument などのインタフェースや、直列化 (出力) などの機能を提供するためのインタフェースはパッケージ org.w3c.dom.* に収められている。
Extensible Stylesheet Language (XSL) 技術におけるフィルタは、XML文書に対して、視覚的に出力したり印刷出力できるよう変換処理を行うことができる。
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Extensible Stylesheet Language (XSL) 技術におけるフィルタは、XML文書に対して、視覚的に出力したり印刷出力できるよう変換処理を行うことができる。
Pull Parsing は、XML文書を、最初から順番に読み込み、Iterator パターン のデザインパターンを使って項目 (item) の一連の流れとして扱う、近年に徐々に普及してきた技法である。 Pull Parsing の技法により、再帰下降パーサを実装することができる。 再帰下降パーサでは、パースを実行するプログラムは、パースの対象となるXML文書の構造と似ている。 そしてパースの中間結果を取得することができる。
パースの中間結果を、パースを実行するメソッド内の局所変数 (ローカル変数) として使うことができる。 あるいは、低水準のメソッドの引数として渡したり、高水準のメソッドへの戻り値として返すことができる。 Pull Parsing の技法を提供する実装としては次のものがある。
例えば、JavaのStAXフレームワークでは、本質的な「反復子」 (イテレータ) を作成して使うことができる。
Pull Parsing で作成される「反復子」はXML文書中のさまざまな要素、属性、データを順番に訪れる。 「反復子」を使うプログラムは、処理中に現在の項目 (例えば、要素の開始、要素の終了、テキスト) を調べ、その特性 (例えば、要素の名前、名前空間、属性値、テキスト内容) を調査する。 そして反復子に「次の」項目へ移動するよう指示することもできる。 プログラムは、このようにXML文書を走査するようにして、文書から情報を取り出すことができる。
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Pull Parsing の技法の特筆すべき長所は、XML文書をパースするDOMの技法と比べて非常に高速であり、メモリ使用が非常に少ないことである。 もう一つの長所は、再帰下降の手法は、パースを実行するプログラム内で、データを型づけされた変数として保持することに適していることである。 SAXでは、例えば、プログラマが自分で処理中の要素の祖先となる要素群を格納するスタック内に中間データを保持するコードをプログラミングする必要があることが多い。 これに対し、Pull Parsing の技法を使ってXML文書を処理するプログラムは、SAXを使うプログラムよりも、非常に単純で理解し易く保守が容易になることが多い。
XML文書を処理するもう一つのAPIは、XMLデータバインディングであり、XMLデータバインディングを使うと、XML文書を、その文書型に対応した、強く型づけされたプログラミング言語データ構造 (プログラムのソースコード) を、生成することができる。インタフェース指向のDOMとは対照的な手法である。データバインディングの実現例を次に示す。
OpenOffice.org、AbiWord、およびAppleのiWorkなどのアプリケーションソフトウェアのネイティブファイルフォーマットは、XMLである。
従前、オフィススイートには各ソフトの特有のバイナリ形式としてデータが保存されていた。しかしながらこれでは互換性が低く、様々な情報をデータベースとして利用するオフィススイートでは不都合が生じていた。 そのため、データの標準化を進めて互換性を高めるため、各オフィススイートはXML形式でデータを出力する機能や、そもそも標準保存形式をXMLベースとするものが増えてきた。
OpenOffice.orgはXMLベースの保存形式を当初より標準としていた(英語版バージョン1.0は2002年5月1日リリース)。また、OpenOffice.orgに限らず、どのオフィススイートでも利用できるOpenDocument形式が国際標準化機構(ISO)によって標準規格として認定されている。
もう一つのオフィススイート用の保存形式である Office Open XML も、ISOにより標準規格として認定されている。
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もう一つのオフィススイート用の保存形式である Office Open XML も、ISOにより標準規格として認定されている。
マイクロソフトの Microsoft Office では Microsoft Office XP のバージョンからXML形式への対応を始め、Microsoft Office 2003 で独自の定義の XML Schema がサポートされるに至った。 Microsoft Office 2007 ではデフォルトの保存方式がXMLとなった(Office Open XML)。Microsoft Office 2007 のいくつかの機能では、XMLファイルを利用者が指定したスキーマ (ただしDTDではない) に沿って編集することができるようになっている。 またマイクロソフトは、Microsoft Office 2003 のためのファイルフォーマット互換性キットを公開している。 この互換性キットを使うことにより、以前のバージョンの Microsoft Office で作成された文書をXMLに準拠した新しいフォーマットで保存することができる。
エディタについては現在、多くのXMLエディタが使えるようになっている。
XMLインフォメーションセット(英: XML Information Set, Infoset)またはXML情報集合 (—じょうほうしゅうごう) は、XML文書の抽象的なデータモデルを「情報項目」 (information item) の集合を使って規定している。 World Wide Web Consortium (W3C) から、2001年10月24日にXML情報集合仕様が勧告された。 XML情報集合の仕様における定義は、整形式XML文書内の情報を参照する必要がある他の仕様において使われることが想定されている。
一つのXML文書には、そのXML文書が整形式でありかつXML名前空間の制約に準拠している場合、一つのXML情報集合がある。 XML情報集合を構成するためには、そのXML文書が妥当なXML文書であることは、必須要件ではない。
一つのXML情報集合には、次に示す11種類の情報項目がある。
XML情報集合の Second Edition (第2版) が2004年2月4日に勧告された。
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一つのXML文書には、そのXML文書が整形式でありかつXML名前空間の制約に準拠している場合、一つのXML情報集合がある。 XML情報集合を構成するためには、そのXML文書が妥当なXML文書であることは、必須要件ではない。
一つのXML情報集合には、次に示す11種類の情報項目がある。
XML情報集合の Second Edition (第2版) が2004年2月4日に勧告された。
情報集合への追加情報すなわち情報集合に対する改変は、スキーマによる妥当性検証を行う際に、情報集合を改変することをいう。 例えば、情報集合に属性の既定値 (デフォルト値) を追加することなどがある。情報を追加された情報集合は、スキーマ検証後情報集合あるいはPSVI (post-schema-validation infoset) と呼ばれる。
情報集合への追加情報については、賛否両論がある。 情報集合に情報を追加することに否定的な見解としては、情報集合への追加情報はモジュール性を侵害し相互運用性の面での問題を引き起こす危険があるとする。 なぜなら、同じXML文書を扱う複数のアプリケーションソフトウェアは、受け取る情報が妥当性検証を行うかどうかに依存してしまうからである。 アプリケーションソフトウェアが、妥当性検証を行う場合に受け取る情報と、妥当性検証を行わない場合に受け取る情報が、異なってしまうのである。
XML Schema は、XML情報集合への追加情報を扱うことができる。 RELAX NGは、情報集合への追加情報を扱わない。 RELAX NG では、情報集合への追加情報に否定的な立場をとっている。
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XML Schema は、XML情報集合への追加情報を扱うことができる。 RELAX NGは、情報集合への追加情報を扱わない。 RELAX NG では、情報集合への追加情報に否定的な立場をとっている。
デジタルメディアの出版を行ってきた人々は、1980年の後半—インターネットが広く使われるようになるより前の時期—には既に、動的に情報を視覚化するための技術として、汎用的なマークアップ言語である Standard Generalized Markup Language (SGML) が多くの用途に適していることを、理解していた。 SGMLはいくつかの分野で普及していたが、仕様が複雑で処理系の開発が難しく、またSGML文書の処理が重いという欠点があった。1990年代半ばまでには、SGMLを実際に使っていた一定の人々は、新しく現れた World Wide Web (ウェブ) を経験した。 そうした人々は、ウェブが発展することにより直面するいくつかの問題に対して、SGMLが解決策を提供すると、強く考えるようになった。 Dan Connolly は、自分が1995年にWorld Wide Web Consortium (W3C) のスタッフになった時に、SGMLをW3Cのアクティビティの一覧に追加した。 このアクティビティの作業は、1996年の中頃にサン・マイクロシステムズのジョン・ボサックが、このアクティビティに関する宣言を起草しアクティビティの共同作業者を募ることで、始まった。 ボサックは、SGMLとウェブの双方を経験していた人々の小さなコミュニティと良好な関係を築いていた。 ボサックは、自分の作業においてマイクロソフトから支援を受けた。
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XMLの仕様は、11人のメンバーからなるワーキンググループにより編集され、だいたい150人から構成される Interest Group のメンバーから支援を受けて作成された。 技術的な論議が Interest Group のメーリングリストで提起され、提起された論議は合意形成により解決された。合意形成ができなかった場合は、ワーキンググループのメンバーの投票による多数により解決された。 このアクティビティで行われた設計上の決定とその根拠の記録は、Michael Sperberg-McQueen が1997年12月4日に編集した。 このアクティビティではジェームズ・クラークが技術リーダとして貢献した。 クラークの貢献として特筆されるのは、空要素 "<empty />" の導入と、この技術の名称 "Extensible Markup Language" (XML) の命名である。 この技術の名称として、他に提案され吟味されたものの一部を次に示す。
XML仕様のワーキンググループではジョン・ボサックが議長を務めた。 このワーキンググループではジェームズ・クラークが技術リーダを務めた。 ワーキンググループの共同エディタは、もともとはティム・ブレイと Michael Sperberg-McQueen であった。 このアクティビティのプロジェクトの途中で、ブレイはネットスケープ・コミュニケーションズとのコンサルティングの契約を結んだ。 このブレイとネットスケープの契約に対しては、マイクロソフトが強く抗議した。 ブレイは、エディタの役割を一時的に辞することを要請された。 このことに関して、ワーキンググループでは激しい議論が行われた。 この議論は、最終的にはマイクロソフトの Jean Paoli が第3の共同エディタに就くことで解決した。 なおXMLワーキンググループには、日本人としてはただ一人村田真がメンバーとして1997年に参加した。
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XMLワーキンググループは、直接会って活動したことは数回しかなかった(最初の会議は1997年8月22日)。 XML仕様の設計は、電子メールと週に一度の電話会議の双方を有機的に活用することにより、成し遂げられた。 XML仕様の設計では、SGMLの欠点を解決すべく文法を簡素化した。 XML仕様における設計上のいくつかの大きな決定は、1996年の7月から11月までの間の12週間の真剣な作業のなかで行われた。 この12週間の作業の後 (1996年11月) に、XMLの最初のワーキングドラフトが公表された。 その後も1997年をとおして設計作業は続けられ、XML 1.0 は、1998年2月10日にW3Cの勧告となった。
XML 1.0 は、ワーキンググループが目標としていた次の目標を達成したと、評価する人々が多い。
技術者にとってはXMLはSGMLよりも習得しやすい技術であり、また処理系の開発が容易になったことで低い費用でXML技術を利用できるようになった。 現在ではXMLは広く普及している技術である。
XMLの前身であるSGMLと同様にXMLでも、いくつかの冗長な構文要素があり、要素記述子の繰り返しを仕様に含んでいる。 文書を短くすることは、XMLワーキンググループでは、XMLの構造において本質的な問題とは見なされなかった。
XMLは、ISO標準 Standard Generalized Markup Language (SGML) のサブセットである。 XMLのほとんどはSGMLから変更されずに採り入れられている。 XMLがSGMLから採り入れられている技術的な要素には次のものが含まれる。
XMLがSGMLから採り入れなかった技術要素としては、SGML宣言がある (XMLでは文書の文字符号化方式としてUTF-8とUTF-16を採用している)。
XMLの他の技術的起源としては、次の3つが挙げられる。
XML仕様の設計に関する議論のなかで開発された革新的な考え方には、次のものが含まれる。
2010年1月現在の時点では、XMLには2つのバージョンがある。
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XMLがSGMLから採り入れなかった技術要素としては、SGML宣言がある (XMLでは文書の文字符号化方式としてUTF-8とUTF-16を採用している)。
XMLの他の技術的起源としては、次の3つが挙げられる。
XML仕様の設計に関する議論のなかで開発された革新的な考え方には、次のものが含まれる。
2010年1月現在の時点では、XMLには2つのバージョンがある。
XML 1.0 と XML 1.1 は、要素名と属性名に使うことができる文字集合において異なっている。XML 1.0 では、 Unicode 2.0 で定義された文字集合のみ要素名および属性名として使うことができる。Unicode 2.0 の文字集合には、世界で使われているほとんどの文字が含まれている。しかし Unicode 2.0 の文字集合には Unicode 2.0 より新しいバージョンで追加された文字は含まれていない。こうした Unicode の新しいバージョンで追加された文字としては、モンゴル語、クメール語 (カンボジア語)、アムハラ語、ビルマ語などの文字が、含まれる。
XML 1.1 においては、ほとんどのUnicode文字をXML文書の文字列データや属性値として使うことができる。また Unicode の現在のバージョンで定義されていない文字でさえ、使うことができる。 XML 1.1 の方式では、いくつかの文字については使うことができないが、その他の全ての文字は使うことができる。 一方で XML 1.0 では、仕様で明示的に規定された文字集合のみを、XML文書の文字列データや属性値として使うことができる。 このため XML 1.0 では、Unicode の新しいバージョンで追加される文字を扱うことはできない。
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XML文書の文字列データや属性値について、XML 1.1 では XML 1.0 より多くの制御文字を使うことができる。 しかし「堅牢性」の観点から、XML 1.1 で使えるようになった制御文字の多くは、文字参照としてXML文書内に記述しなければならない。 XML 1.1 で使えるようになった制御文字には、2つの改行コードが含まれる。 この2つの改行コードは、XML 1.1 の処理系では空白記号として扱われる。 制御文字のうちこの空白記号として扱われる制御文字のみが、XML 1.1 で文字参照を使わずに直接にXML文書に記述することができる。
現在、XML 2.0 に関する議論が行われている。 XML-SW (SW は、skunk works スカンクワークスの意味) が、XMLの最初の設計者の一人によって書かれた。 XML-SW には、XML 2.0 はどのようなものかということについての、いくつかの提案を含んでいる。 その内容は次のとおりである。
World Wide Web Consortium (W3C) では、XML Binary Characterization (XMLバイナリ表現) のワーキンググループが活動しており、同ワーキンググループでは、XML情報集合をバイナリ形式に符号化するために、ユースケースと特性を調査する予備研究を行っている。 このワーキンググループは、公的な標準を制定することが認可されているわけではない。 XMLは定義上明確にテキストに基づいているため、ITU-TとISOは、それぞれが定めるバイナリインフォメーションセットに対して、混乱を避けるために Fast Infoset の名前を使っている (参照: ITU-T Rec. X.891 | ISO/IEC 24824-1)。
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Extensible Markup Language
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2005年の10月に、Scientigoという小さな企業が、XMLの使用に対して同企業の2つの特許 U.S. Patent 5,842,213 と U.S. Patent 6,393,426 の対象になるという主張を、公的に表明した。 この2つの特許は、「特定の『階層構造ではない』統合されていない中立的な形式での、[データの]モデリングと格納と転送」を対象としている。 特許申請によると、この2つの特許は1997年と1999年に出願された。 Scientigoの最高経営責任者 (CEO) である Doyal Bryant は、この2つの特許を「金銭に換える」という願望を述べたが、同社は「世界を敵にするつもりはない」と言明した。 Bryant は、Scientigoは自社の2つの特許についていくつかの大企業と話し合っていると述べた。
XMLを使う人々や企業に在籍していない専門家たちは、Scientigoの主張に対して懐疑的で批判的な立場で反応した。 一定の人々は、Scientigoをパテント・トロールであると述べた。 ティム・ブレイは、この2つの特許がXMLを対象とするという主張は「ばかげている」と述べた。
XMLに関係する多くの先行技術がSGMLを含めて存在している。
多くの論者がXMLに対してさまざまな批判を行ってきた。 こうした批判は、XMLの長所と潜在的な欠点に対する言及を含んでいる。
先述したISOの標準群のほかに、XML関連では次の文書が発行されている。
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テオ・アンゲロプロス
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テオ・アンゲロプロス(Theo Angelopoulos)ことテオドロス・アンゲロプロス(ギリシャ語:Θόδωρος Αγγελόπουλος、Theodoros Angelopoulos、1935年4月27日 - 2012年1月24日)は、ギリシャ・アテネ出身の映画監督。
1935年、アテネで生まれ、子どもの頃に第二次世界大戦や1940年代後半の国内の政情不安を体験。アテネ大学法学部を卒業後、兵役を経てフランスのソルボンヌ大学、高等映画学院に留学。帰国後は映画雑誌で批評活動を4年間展開した後、1968年に短編ドキュメンタリー映画『放送』を自主製作して映画監督としてデビュー。
1970年に初の長編作品『再現』を監督した後、ギリシャの現代史を題材にした3部作『1936年の日々』(1972年)、『旅芸人の記録』(1975年)、『狩人』(1977年)を発表し、世界的な名声を獲得する。1980年に『アレクサンダー大王』でヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞を、1988年に『霧の中の風景』でベネチア国際映画祭銀獅子賞を、1995年に『ユリシーズの瞳』でカンヌ国際映画祭審査員特別賞を、1998年に『永遠と一日』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。
「20世紀三部作」の第1部『エレニの旅』(2004年)においては、舞台をバルカン半島以外にも広げ、新たなる展開を示した。20世紀三部作は、当初『トリロジア』という題名の1本の長編となる予定であったが、上映時間が膨大になりすぎるため、三部作として製作されることとなったという。2009年に第2部『エレニの帰郷』を発表。第3部『THE OTHER SEA(もう一つの海)』の撮影中だった2012年1月24日、アテネ郊外のトンネル内でオートバイにはねられて頭を強打し、運ばれた先の病院で死亡した。享年76。
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Microsoft Windows
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Microsoft Windows(マイクロソフト ウィンドウズ)は、マイクロソフトが開発・販売するオペレーティングシステム (OS) の製品群である。グラフィカルユーザインタフェース (GUI) を採用している。Windows発売以前では高価なワークステーション(ハイエンドパソコンを上回る性能のデスクトップコンピュータ)でしか実現されていなかったマルチタスクやGUIを中心とした使い勝手の良さを、一般消費者が入手しやすい標準的な規格のパソコンに順次取り込んで行き、一般向けOSのシェアのほとんどを占めるに至り、今や大きな知名度を持つ。
マイクロソフトが展開するOSのブランド名である。コマンド入力が中心でシングルタスクでしか動作しないMS-DOS(CUI)の代替として開発された、1995年発売のWindows 95で人気に火が付き、2000年代以降は世界で最も普及したOSとして、組み込みシステムやスマートフォン、サーバ、スーパーコンピュータまであらゆる機器にインストールされるようになった。ゲーム業界にも進出しており、ドリームキャストやXboxやアーケードゲームにもWindows CEが使われている。Windowsは一般消費者におけるデファクトスタンダードの地位にあると言え、組み込み機器やモバイル端末を除いたパーソナルコンピューターのOSとしては、ほとんどの人にとって人生で最初に触れるOSでもある。
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Microsoft Windows
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1990年代前半までのパソコンではシングルタスク(同時に1つのアプリケーションしか動かせない)かつ文字入出力を中心とした操作体系が普通であった。1985年から1995年にかけてMS-DOSの上で動くWindows 1.0からWindows 3.xまで開発されたものの、パソコンのCPUのシングルコア16bit、十数MHzから三十数MHz、メインメモリが数百kBから十数MBといった性能の低さやグラフィック表示機能の貧弱さが原因で、ウィンドウの表示自体が重荷であり(パソコン向けにウィンドウアクセラレータという拡張カードなども発売された)、ワークステーションで行えるようなウィンドウ切り替えによる並行作業は実用的ではないと見做されていた。従って、性能を要求するソフト(ゲームソフトや資料作成用ソフトなど)についてはWindowsを停止し、MS-DOSで実行することが主流となっていた。この当時、パソコン自体が数十万円は下らない程に高価で、加えてコマンドなどの専門知識が必要であることも鑑みると、非IT企業や家庭への導入にはかなり特殊な理由が必要となり、パソコンの普及のためにはユーザーが技術的詳細に触れなくてもパソコンの能力が発揮できるOSが必要不可欠であったが直感的な操作を実現する上での性能不足は否めなかった。
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Microsoft Windows
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しかし、1990年代前半のパソコン向け32bitCPUの普及と動作周波数の向上とメインメモリの容量増加で状況が変わりつつあり、PC-UNIXの開発が開始されるなど、ワークステーションの真似事をパソコンに行わせることが実用的になりつつあった。そのような状況下で、企業・家庭を問わずパソコンを容易に扱えるようにするべくWindows 95の開発は進められた。Windows 95では家庭でもなんとか手が届く価格のパソコンにも搭載され始めた32bitCPU(特にIntel 80386以降のIA-32系統のCPU)の機能を活かして、百万円を優に超えるほど高価なワークステーションで提供されていたマルチタスク、マルチメディア、インターネット接続機能などをパソコンでも動作可能な形で次々と取り込んで行き、あらゆる情報を統合して閲覧・編集・整理・送受信できる個人所有可能なコンピュータを実現したことで、Windows 95では本当の意味でデジタル化された日常生活を実現可能にした。1995年当時、SunやSGIのワークステーションや、クリエイターに人気の高級PCであるMacintoshと比較した場合のWindows 95搭載PCの価格の低さは世界に衝撃を与え、大ブームを引き起こした。ようやくGUIとインターネット接続機能が簡単に使えるパソコンが庶民の手に届く価格(とはいっても日本では平均24万円台とまだ高額)になったことで、1990年代後半にはパソコン用OSのシェアで他を大きく引き離してトップになっていた(2009年10月にはインターネット上で使用されているクライアントの市場シェアの約90%を得ている)。DirectXの搭載により、専用のアクセラレータが利用できるようになり、高品質な画面描画や音声出力が可能になった。Windows 95の時点で従来の主力OSであったMS-DOSは16bitコードの互換機能としてWindowsの背後に隠蔽されるようになり、Windows 9x系の終了と共に開発が停止された。Windows 2000では一般向けでも完全な32bitOSであるWindows NT系に移行した。
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パソコン用OSとしては、マイクロソフト社自身によるオフィススイートの提供やインターネット対応は勿論のこと、SteamやNetflixと言った一般向け娯楽配信サービスから、事務作業、設計、シミュレーション、ソフトウェア開発と言ったプロフェッショナル用途まで、多数のサードパーティーがアプリ開発に参画し、全ての用途を包括する環境が形成されたため、強力なプラットフォームに成長した。バージョンアップの過程では、MS-DOSに由来するカーネルの16bitコードとシステムリソースの制約が原因でブルースクリーンが多発したり、処理の効率化が不十分で動作が激しく重いバージョンが幾つかリリースされ、ユーザーからも不評を買っていたが、最新のWindows 10はOSとして成熟し、安定して軽快に動作するようになった。(正確にはアップデートによるソフトの動作に支障をきたす例が増えた)2023年11月時点の最新安定版は、デスクトップ版はWindows 11 バージョン 23H2、およびWindows 10 バージョン 22H2、サーバ版はWindows Server 2022、モバイル版はWindows 10 Mobile バージョン 1607、エンベデッドシステム版はWindows 10 IoTである。
Windowsの一般的な知名度は高いが、1960年代に開発が始まり、現代的なOSの始祖となったUNIX系OSとは全く異なる構造のOSであり、OSの歴史からすると特殊な存在であることには留意する必要がある。
2021年12月1日時点で、Windowsは次の製品系統が展開されている。
組み込み機器向けのWindowsとしてWindows Embeddedと呼ばれるOS群が開発されていた。2015年からは後継となるWindows 10 IoTが開発されたが、現在はそちらもサポートが終了している。
Windowsは1981年9月に開始したInterface Managerというプロジェクトから始まる。1983年11月にWindowsが発表されたが、それから2年後の1985年11月までリリースされなかった。
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Windowsは1981年9月に開始したInterface Managerというプロジェクトから始まる。1983年11月にWindowsが発表されたが、それから2年後の1985年11月までリリースされなかった。
Windows 1.0はMS-DOS上で動くアプリケーションの一種でシェルに過ぎなかった。MS-DOSの扱える640KBのコンベンショナルメモリをさらにWindowsのシステムに占有されたため、実際にアプリケーションを動かすためのフリーメモリがほとんど残らず実用には程遠かった。Windows 1.0は、複数のウィンドウを画面にウィンドウ自体を重ねて表示せずに、タイル状に表示した。ダイアログ ボックスだけは、ウィンドウに重ねて表示できた。
1987年にリリースされたWindows 2.0はウィンドウの重ね合わせが可能となった。MS-DOSから利用出来るメモリ容量を拡張するEMSメモリを利用することによって、一応は640KB以上のメインメモリが利用できるようになり、1.0に比べて実用性が大幅に高まった。しかし、ゲームなどの重いアプリケーションを実行するにはまだ実用的ではなかった。
1980年代のWindowsは機能だけ見た場合にはMS-DOSで動くウィンドウマネージャの一種であり、OSと呼ぶには不足している機能が多かった。
1990年に発売されたWindows 3.0は、操作感の改良やタスク管理、メモリ管理など、各種機能が網羅的に強化された。日本では、当時のDOS/Vの流行とともにその事実上の後継であるWindows 3.1が爆発的に売れるようになった。それまでは各アーキテクチャ毎に実質的に個別のアプリケーションソフトが必要だったが、パソコンのアーキテクチャの相違をWindowsで吸収することにより、一つの操作方法と一つのアプリケーションソフトが複数のアーキテクチャのパソコンで共有できるようになった。アーキテクチャそれぞれの強みは意味をなさなくなり、単純な性能と価格の比較でアーキテクチャの淘汰が行われた。1990年代後半に至ると、PC/AT互換機とその後継アーキテクチャが存続する事実上唯一のアーキテクチャとなった。
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各社から発売される非純正のアプリケーションソフトも徐々に増え、不足していたWindowsに追加するネットワーク機能なども他社から供給されるようになってきた。1990年から1995年にかけて、Windows 3.0とWindows 3.1は全世界で1億台、日本国内でも400万台が出荷され、Windowsは事実上の標準の地位を確立した。Windows 3.1ではオプションとしてWin32sが存在し、一部の32ビットアプリケーションが使用可能になった。
この当時、Windowsのようなウィンドウマネージャの実行自体が負荷の高い処理であり、ゲームなどのグラフィックを扱うアプリケーションではメインメモリが不足することから、MS-DOS専用の作品が多かった。リソース不足への対応として、アプリケーションの性質に応じてWindowsとMS-DOSを切り替えて利用しなければならず、まだ一般向けとは言い難いものがあった。
1995年秋にWindows 95が発売され、一般のパソコンでハイカラー(16bitカラー)以上の美麗なGUIを本格的に利用可能にしたことと、インターネット対応を謳ったことで世界的なヒット商品となった。Windows 3.xとは異なりOSの大部分が32ビット化されており、各アプリケーションが固有のメモリ空間を持つなど設計が大きく改善されているが、16ビットアプリケーションとの互換性のため不安定な面も残っていた。MS-DOSは起動時と32ビットドライバがない場合のレガシードライバとして使われるだけでOSそのものは原則としてMS-DOSを使用していない。Windows 3.1までのプログラムマネージャとファイルマネージャはWindows エクスプローラーに統合された。また、Windowsのスタートボタンなど新しいGUIや、TCP/IPなどのネットワーク機能を標準装備。16ビットアプリを除きほぼ完全なプリエンプティブ・マルチタスクが可能となった。MS-DOSはWindowsの背後に隠蔽され、DOSプロンプトやDOSモードへの切り替え以外では表に出て来なくなった。
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Windows 95の成功により、競合したMac OSやOS/2とのシェアの差は拡大した。特に日本ではネットワーク標準搭載のWindows for Workgroupsが発売されていなかったこともあり、Windows 95の発売された1995年は、パソコンやインターネットの普及の元年とも言われた。その後のWindowsシリーズではGUIは大きく変更されず、多くの操作においてWindows 95の操作性が基盤となった。
1998年にWindows 95にInternet Explorer 4.0の統合を行ったWindows 98がリリースされた。翌年にWindows 98の小改良を施したWindows 98 Second Edition (Windows 98 SE) がリリースされた。
2000年に最後のWindows 9x系であるWindows Meがリリースされた。Windows 9x系はWindows 98 SEを最後としてWindows NT系のWindows 2000に統合する計画もあったが、最終的にはWindows 2000は上級者向けとしてProfessionalエディションを一番下のエディションとして発売され、代わりにホームユーザー向けとしてWindows Meが発売された。
Windows 9x系のOSはMS-DOSを使用せずアプリケーションからハードウェアを直接アクセスすることも原則として使用できなくなったが、DOSプロンプト内など一定の条件で使用することも可能となっており、これは過去のソフトウェアとの互換性や処理負荷の軽減といったメリットをもたらしたが、不安定な動作を引き起こすことがありブルースクリーンが出てしまうような現象が度々発生した。
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Windows 9x系のOSはMS-DOSを使用せずアプリケーションからハードウェアを直接アクセスすることも原則として使用できなくなったが、DOSプロンプト内など一定の条件で使用することも可能となっており、これは過去のソフトウェアとの互換性や処理負荷の軽減といったメリットをもたらしたが、不安定な動作を引き起こすことがありブルースクリーンが出てしまうような現象が度々発生した。
NTは高可用性が要求されるビジネス向けの市場のためにリリースされた。Windows 9xの開発の終了により、9xの役割も要求されるようになった。最初にリリースされたWindows NT 3.1から、NT3.5(1994年)、NT3.51(1995年)、NT4.0(1996年)と、ほぼ1年ごとにリリースされた。2000年にWindows 2000がリリースされ、NTが消費者用としても以前に比べて採用されるようになった。2001年に消費者向けの用意された初めてのNTカーネル搭載のOSであるWindows XPがリリースされた。2003年にWindows Server 2003がリリースされた。それまでマイクロソフトはセキュリティ問題を軽視していたことで社会問題へと発展し、その回答として見た目などは変えずに全面的に作り直したWindows XP Service Pack 2を提供することになった。
Windows XP Service Pack 2の開発と、1994年から利用していた内部システムの全面刷新に手間取り、それまで2、3年間隔で発売していたWindowsだったが、Windows XPの発売から5年が経過した2006年にWindows Vistaがリリースされた。2008年にWindows Server 2008がリリースされた。その後もXPは消費者を中心に人気を博し、Windows 10がリリースされた後でも利用者が増えたが、その6ヶ月後、XPのシェアはようやく10に追い抜かれた。
NTのGUIは、同時期にリリースされた消費者向けのWindowsと似たインタフェースを採用した。NTは用途や要求に対応するエディションが複数あり、Windows XPでは以前に比べて一気に増えた。
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NTのGUIは、同時期にリリースされた消費者向けのWindowsと似たインタフェースを採用した。NTは用途や要求に対応するエディションが複数あり、Windows XPでは以前に比べて一気に増えた。
Windows NT 3.1からNT 4.0まで対応していた、PowerPCやDEC Alpha、MIPS R4000は64ビットプロセッサとしても使用できたが、NTは32ビットプロセッサとして使用した。64ビット用も存在したが、出荷されなかった。
本格的に64ビットに対応したのは、Intel Itaniumからであり、Windows XP 64-Bit EditionとWindows Server 2003 for Itanium-based Systemが出荷された。これは主にサーバと高度な性能のワークステーション向けのリリースであり、それ以外は64ビットプラットフォームはなかった。しかし、AMD x86-64 が発表されると一般ユーザーが容易に64ビットに移行できる基礎環境が整い、OS単体での販売は行われなかったものの2005年にWindows XP Professional x64 EditionとWindows Server 2003 x64 Editionsがリリースされた。x64に対応したことにより、ワークステーションとしてItaniumをサポートしていたWindows XP 64-Bit Editionは一切の対応を終了した。Windows Vistaでは64ビットに本格的に移行するためにそれまで一部に限られた出荷から、ユーザーのオーダーに応じた64ビットのディスクの送付、パッケージへの32ビット用と64ビット用の同時封入といった対応が始まった。サーバーエディションは32ビット版の提供がWindows Server 2008を最後に終わり、Windows Server 2008 R2からは64ビット版のみ提供されている。クライアントエディションでは32ビット版の提供はWindows 10で終わり、Windows 11では64ビット版のみ提供されている。
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Windows CEは主に組み込み用途を中心とした用途で使用されており、モバイル端末やカーナビゲーションシステム、セガ製ゲーム機のドリームキャストで採用されている。2020年までは、電子辞書Brainなどにも搭載されている。
ただし、システムに若干の改変を加えるために、一部のアプリケーションの動作に支障をきたすなど問題を引き起こすこともある。また、特定のサービスパックのバージョンに依存するソフトウェアも存在する。現にWindows XPにSPを導入したことが原因で、ヤマハ製のサウンドカードが搭載されたパソコンでサウンドが鳴らなくなるトラブルもあった。これらの問題から、特に企業においては適用されないこともあるが、マイクロソフトは強く適用を推奨している。
Windowsのバージョンやエディションなどによっては存在しない製品形態もある。
このほか、MSDNサブスクリプション、TechNetサブスクリプションでもWindowsのライセンスが提供されている。ただし、それぞれソフトウェア開発・検証、Windowsの評価などと利用目的に制限がある。
過去のWindowsにおいてはメディアやキーとライセンスは不可分であり、調達元が異なるものでの代用が難しかったため、Windowsの調達でもっとも一般的であるOEM版によるプレインストールPCなど、Windows標準のインストールメディアが付属しない調達形態ではリカバリなど一部の機能について使用に大きな制限があった。
この制限については、2017年現在のWindows 10ライセンスでは不可分とされる記述はなくなり、また、ダウングレード権においては任意の調達元のメディアやキーが利用できるなど、徐々に緩められている。
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この制限については、2017年現在のWindows 10ライセンスでは不可分とされる記述はなくなり、また、ダウングレード権においては任意の調達元のメディアやキーが利用できるなど、徐々に緩められている。
Windowsはパーソナルコンピュータ市場では、1990年代後半よりデファクトスタンダードの地位を得た。このため対応するコンピュータ(メーカー)、周辺機器、アプリケーションも多く、またユーザー数、操作方法の情報なども多い。Windowsが普及した背景には、マイクロソフト自身は一部の周辺機器を除いてハードウェアを製造せず多数のハードウェアメーカーへのOEM供給路線を続けたこと、ライバルのMacintoshやOS/2の必要とするハードウェアが当時は高価だったこと、オフィスソフトであるMicrosoft Office(Office自体はMacintoshでも動作する)や専用のマルチメディアAPIであるDirectXで作成されたゲームプログラムが市場に広く受け入れられ、キラーアプリケーションとなったこと、20世紀末期から21世紀にかけてのダウンサイジングの潮流に乗ったこと、ネットワーク機能やPOSIXサブシステムなどの極めて少数のコンポーネントを除き、完全な独自設計となっており、Windows製品以外との互換性や移植性が低く、他のプラットフォームへの移行が非常に困難であることなどが挙げられる。
近年はモバイル端末の進化により若い世代はあまり個人でパーソナルコンピュータを使用しなくなっており、それらを含めたシェアに関しては比較的厳しい状況にある。
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近年はモバイル端末の進化により若い世代はあまり個人でパーソナルコンピュータを使用しなくなっており、それらを含めたシェアに関しては比較的厳しい状況にある。
Windowsはマイクロソフトによる独自仕様のソフトウェア製品(プロプライエタリソフトウェア)であり、その製品構成や販売手法をめぐり2009年時点でもいくつかの国で独占禁止法訴訟が起きている。独占の影響を回避するため、官公庁などの公的機関でLinuxなどオープンソースソフトウェアのOSの採用の動きや、オープンフォーマットなどWindows専用のオフィスソフトに縛られないファイルフォーマットの採用の動きがあり、またOSの役割を低下させるクラウドコンピューティングなどの動きもある。上記のようなマイクロソフトによる独占状態の影響もあり、フリーソフトウェア財団は「自由なソフトウェア」というテーマを掲げ、たびたび「脱Windowsキャンペーン」を行っている。
OS市場の独占によるマイクロソフトの強靭な企業体力や統一された操作性が功を奏し、従業員教育にかかるコストが低下したことや、同一系統のプラットフォーム間におけるアプリケーションの互換性がある程度確保されていることに加え、サービス水準合意 (SLA) を締結すれば、競合他社より高品質なサポートを受けることが出来るため、金融機関などのインフラ系企業などを中心に独占状態による悪影響よりも良い影響のほうが大きいと考える者が多い。前述のメリットを活かし、さまざまな社会インフラの運用にも幅広く利用されているだけでなく、冒頭でも述べた通り、マイクロソフトによるほぼ完全な独自設計であることから他のOSとの互換性や移植性が非常に低く、非常に有用かつ代用が効かないアプリケーションや周辺機器を数多く抱える製品でもあるため、政財界からは電力会社や公共交通機関などのインフラ産業と同等の扱いを受けることも珍しくない。日本を含むいくつかの国や地域では、独占禁止法の適用除外の対象と見做され、政府機関との随意契約を締結するケースすら存在する。
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Microsoft Windows
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また、日本や韓国など、いくつかの国や地域ではマイクロソフトとクライアントOSおよびウェブブラウザに関するSLA契約を独占的に締結しているだけでなく、2000年代頃においてはWindows APIを用いた専用のクライアントソフトやActiveXコントロールを用いていたため、電子政府サービスにWindowsと推奨ブラウザのInternet Explorerを用いるしかないという状況があった(Windowsマシンを持っていないユーザーは、ネットカフェや、街頭に設置されている専用の端末を用いてサービスを利用しなければならない)。
日本においては他社のOSやブラウザからのアクセスが原因で電子政府システムに障害が発生した場合には、民事および刑事上の責任を負う可能性がある。日本国内の金融機関も、マイクロソフトと、OSやブラウザに関するSLAを独占的に締結している事業者が多く、指定以外のOSやブラウザのバグによる重大事故への対策の観点から、macOS、Linux、スマートフォンなどからサービスを利用する行為を禁じている事例が少なくなかった。
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舞台
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舞台(ぶたい、英: stage)とは、演劇やダンス、伝統芸能や演芸など、舞台芸術の表現者が作品を演じるための、一定の空間。転じて、舞台芸術に属する作品のジャンルを指し「舞台」と呼ぶこともある。また、演壇などの、舞台に類似する機能をもった一定の空間や機構を指し、舞台と呼ぶことがある。
ここから派生して、特定の人物や集団が盛んに活動を展開する場を指し、抽象的な意味において、舞台と呼ぶこともある。
機構としての舞台や、舞台の様々な様式については、劇場を参照。
人類史のどの段階で初めて舞台が現れたかは、はっきりとは分かっていない。西洋の場合、記録に残る最も古い舞台は、古代ギリシャ演劇の野外劇場である。これはすり鉢型の地形を利用した巨大構造物で、舞台は底の部分につくられた。観客は見下ろすような位置から舞台全体を見ることができた。この様式は古代ローマにも引き継がれ、その様式を踏襲した楕円形の劇場建造物なども生み出された。その代表的なものにはコロッセウム等がある。
日本においては、舞楽のための舞台が、一定の様式を持った舞台としては最古のものである。舞楽は雅楽の伴奏で舞う舞踊、舞踊音楽で、奈良時代に中国大陸や朝鮮半島、ベトナムなどから渡来、また平安時代には日本でも作られたもので、貴族の嗜み、娯楽、舞踊芸術として、また伝承が断絶してしまった伎楽と共に仏教の法会などで演じられた。舞楽の舞台は約4.5間四方の欄干(高欄、こうらん)が付いたもので、南北両側に演者が上り下りするための階段が設けられている。舞楽が演じられる際には、その中にさらに3間四方の敷舞台が置かれた。
舞楽以前にも様式を持った舞台が存在した可能性も否めない。少なくとも、岩などの自然の地形を利用した舞台と、そこで演じられる民俗芸能的なものは、確実に存在したと思われる。
史実ではないが、古事記や日本書紀などで語られる日本神話には、天岩戸のエピソードのなかに、舞台らしきものの記述が見られる。天岩戸に籠もったアマテラスを引き出すために、アメノウズメノミコトは半裸になりながら、伏せた器の上で踊った。この時の伏せた器は、踏み叩くことによって音を出す打楽器であると共に、舞台としての役割を果たしている。
農村舞台(のうそんぶたい)とは、神社の祭礼等で歌舞伎・人形浄瑠璃等を上演することを目的に日本の農村に設けられた舞台。
農村歌舞伎舞台。
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舞台
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農村舞台(のうそんぶたい)とは、神社の祭礼等で歌舞伎・人形浄瑠璃等を上演することを目的に日本の農村に設けられた舞台。
農村歌舞伎舞台。
重要有形民俗文化財に指定されている農村舞台には以下がある。
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5W1H
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5W1Hは、一番重要なことを先頭にもってくるニュース記事を書くときの慣行である。欧米ではふつう「Five Ws」、「Five W's and One H」、または略して単に「Six Ws」と呼ばれるが、日本では更に「1H」を足して「5W1H」(ご・ダブリュ・いち・エイチ)とし「六何の法則」とも呼ばれる。
ニュース記事の最初の段落はリードと呼ばれる。ニューススタイルの規則では、リードには以下の「5W」の多くを含むべきとされている。すなわち、
である。しかし日本においては、「5W」にさらに下記の「1H」を含む「5W1H」であるべきであるとされる。
日本では、教育現場で国語や英語の文法や文学作品読解の指導に使われることもある。また、情報取材のあり方やその提示の方法、歴史の叙述などノンフィクション全般にわたって意識されるべき必須事項としてしばしば取り上げられる。
英国の児童文学者で詩人のラドヤード・キップリングが1895年に発表した『ジャングル・ブック』には、登場する少年が虎の縞模様はどうしてできたかという話から「動物はどうして人間に恐怖を感じるようになったか?」など、さまざまな物語があった。その後、1902年に空想的な「なぜなの?ものがたり」(pourquoi:仏語:なぜ? - stories:物語)シリーズと呼べる4から8歳の子供向けのさまざまな現象や出来事を書いた多くの物語(原題:Just So Stories for Little Children)を出版した。それぞれの物語はバラッド形式の詩的文章を盛り込んでいたが、そのなかでも「象のこども(原題:The Elephant's Child)」は次のような詩で始まっている。
また、その本の挿絵には「W」の文字の波形の上3点と下2点に並んだベッドのマット上の5個ボタンと枕元(または足下)から見たベッドの形の「H」が描かれた。
場合により、
の1つを付け加えて、「6W1H」と呼ばれることもある。
場合により、
の2つを付け加えて、「5W3H」と呼ばれることもある。manyとmuchの違いは、manyが一瞥で数えられる場合に用いられるのに対し、muchは計算・計量が必要な場合であること。
時々、
の1つを付け加えたものが「5W1H1R」と呼ばれることがある。
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5W1H
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場合により、
の1つを付け加えて、「6W1H」と呼ばれることもある。
場合により、
の2つを付け加えて、「5W3H」と呼ばれることもある。manyとmuchの違いは、manyが一瞥で数えられる場合に用いられるのに対し、muchは計算・計量が必要な場合であること。
時々、
の1つを付け加えたものが「5W1H1R」と呼ばれることがある。
複数人がWho・What・When・Where・Why・How(必ずしもその全てではない)の部分だけを書き、一斉に出して(あるいはそれをあらかじめ混ぜておいてランダムに引き)出来上がった文章のナンセンスさを楽しむ「5W1Hゲーム」という言葉遊びがある。
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素木しづ
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素木 しづ(しらき しづ、1895年3月26日 - 1918年1月29日)は、日本の小説家。本名上野山志づ(うえのやま しづ)。
1895年(明治28年)、札幌に生まれる。昆虫学者・素木得一の妹。庁立札幌高等女学校(現北海道札幌北高等学校)卒業後、結核性関節炎が悪化し右足を切断。1913年(大正2年)、小学校から同期だった森田たまに数日遅れて森田草平門下に入る。同年処女作『松葉杖をつく女』を、翌年『三十三の死』を発表。新進女流作家としての地位を築く。1915年(大正4年)画家の上野山清貢(うえのやま きよつぐ)と結婚し(婚姻届を出したのは1917年(大正6年))の年末、子(茂登山櫻子)をもうける。1918年(大正7年)、肺結核のため伝染病研究所で死去。
なお、同年代の女流作家・尾崎翠は『新潮』1916年10月号に、「最も期待する作家・素木しづ氏について」という文章を寄せており、浅からぬ関心を抱いていたと思われる。
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南部修太郎
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南部 修太郎(なんぶ しゅうたろう、1892年(明治25年)10月12日 - 1936年(昭和11年)6月22日)は、日本の小説家。
内務省の土木技師である父常次郎の長男として、宮城県仙台市で生まれる。1899年(明治32年)、長崎市立勝山尋常小学校入学、1905年(明治38年)父の東京転勤に伴い、赤坂小学校高等第3年級に転学。1906年(明治39年)、私立芝中学校に入学。在学中に腸チフスや結核を患うなど病弱であったが、在学中に回覧雑誌『荒浪』を作成して小説執筆を試みる。1912年(大正元年)、慶應義塾大学文学科予科に入学し、1914年(大正3年)に文学科本科へ進学。大学在学中はロシア文学に傾倒する。1916年(大正5年)、井汲清治とともに「井部文三」の筆名で「タゴオル哲学と其背景」を、南修の筆名でチェーホフ『駅路』の翻訳、そして代表作となる「修道院の秋」を発表する。
1917年(大正6年)3月、慶應義塾大学を卒業すると『三田文学』の編集主任となり、1920年(大正9年)まで務める。この間、小島政二郎から芥川龍之介を紹介され、芥川との交流が始まる。1918年(大正7年)の「小人の謎」(『赤い鳥』掲載)以降、童話も発表した。これらの一部は作品集『鳥籠』、『月光の曲』に収録されている。1919年(大正8年)には南部の代表作となる「猫又先生」「黒焦げの人形」「一兵卒と銃」などが発表される。
1923年(大正12年)、府立第一商業学校の校長陶山斌二郎の長女菫と結婚、この頃から『婦人雑誌』『少女雑誌』への執筆活動が中心となる。1924年(大正13年)長男淳一郎、1926年(大正15年)次男亮二郎が誕生。同年、復刊した『三田文学』の編集員を水上瀧太郎と小島政二郎とともに務める。
1936年(昭和11年)1月、石坂洋次郎の第1回三田文学賞授与に尽力する。同年6月22日、脳溢血により逝去。法名は修文院釋樂邦。43歳没(満年齢)。墓所は東京都南区南青山の青山霊園1種イ22号1側にある。死後刊行された『三田文学』には、水上瀧太郎や川端康成らが追悼文を寄せた。
芥川龍之介を師と仰ぎ、小島政二郎、滝井孝作、佐佐木茂索とともに「龍門の四天王」と呼ばれた。慶應義塾大学で友人だった理財科の秋岡義愛が川端康成の従兄だったため、中学時代の川端と文通していた。
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南部修太郎
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芥川龍之介を師と仰ぎ、小島政二郎、滝井孝作、佐佐木茂索とともに「龍門の四天王」と呼ばれた。慶應義塾大学で友人だった理財科の秋岡義愛が川端康成の従兄だったため、中学時代の川端と文通していた。
南部は文筆家として経済的に恵まれたが、病が絶えず、持病の喘息、チフス、肺炎などで若い頃には命を落としかけている。モダニズム文学的な作風で流行作家としては活躍したものの、死後は著作が絶版して久しく、作家としては師の芥川のように成功を収めたとはいえない。現在では多くの作品は初出誌にあたる他ない状況であり、作品入手は比較的困難な作家といえる。
「」内が南部の作品
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水野仙子
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水野 仙子(みずの せんこ、1888年(明治21年)12月3日 - 1919年(大正8年)5月31日)は、日本の小説家。本名、服部テイ。筆名、服部水仙、服部貞子、服部水仙子、水野仙など。
服部直太郎とセイとの二男三女の末子として、福島県岩瀬郡須賀川町(現・須賀川市)に生まれた。燃料などを商う旧家だった。
1903年(明治36年)(15歳)、須賀川尋常高等小学校(現・須賀川市立第一小学校)を最優秀の成績で卒業し、須賀川裁縫専修学校に入った頃から、『少女界』誌に投稿した。長兄の歌人躬治(もとはる)が選者でいた。卒業後裁縫女塾へ通い、1905年から、河井酔茗の『女子文壇』誌に投稿し入選した。投稿仲間の愛称は『お貞さん』だった。1908年からは『女子文壇』に、全投書の掲載を約束された。
1909年(明治42年)(21歳)、『文章世界』誌に発表した『徒労』が編集主任の田山花袋に激賞されて上京し、田山家に寄寓して内弟子となった。そして、翌年の『お波』(中央公論2月号)、『娘』(同11月号)あたりで、投稿少女から一人立ちの作家となった。この年の11月、同じ花袋門下で『蒲団』のヒロインのモデルとして知られる岡田美知代が、永代静雄と別居した際に、代々木初台で同居する。
1911年、6年越しの文学仲間、川波道三と結婚した。花袋とは疎隔した。この年創刊された『青鞜』の社員となって作を載せたが、青鞜社の『新しい女たち』とは馴染まなかった。
1915年(大正4年)9月、前田晁に勧められて読売新聞記者となり、身上相談を受け持ったが、半年後肋膜炎を病んで退社。肝臓病、腹膜炎を併発し、療養したが、1918年(30歳)再発した。病床で有島武郎の作品の批評を書いて、武郎との文通が始まった。
その9月から、次姉ケサが勤める草津温泉の聖バルナバ医院へ入院し、翌1919年(大正8年)5月、亡くなり、雑司ヶ谷墓地に葬られた。
1920年9月、夫道三編集の『水野仙子集』が、叢文閣から刊行された。題字尾上柴舟、序文田山花袋、跋文有島武郎、装丁岸田劉生である。仙子の作品の約三分の一、22篇を納めている。
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三島霜川
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三島 霜川(みしま そうせん、1876年7月30日 - 1934年3月7日)は、日本の作家、演劇評論家。
富山県中田町(現:高岡市)に漢方医の長男として生れる。本名、才二。
家業を継がせようという父の意に反し上京、尾崎紅葉に師事した。22歳の時、出世作『埋れ井戸』を発表。1907年に発表した『解剖室』と『平民の娘』が好評で迎えられ、中堅作家としての地位を得た。
ところが次回作として期待された『虚無』の手ひどい不評を契機に、創作活動は急速に衰え、文壇の圏外へと脱落した。
以来彼の活動は、家庭小説など通俗小説、児童向け歴史もの、『演藝畫報』に寄せる劇評や感想に移り、同誌に数年にわたって連載された『大正役者藝風記』は、没後中央公論社から出版され、名著と称えられた。 ほかに千山楼主人の筆名を用い、また三島才二の本名で芸能関係の古典籍を編纂した。
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6月
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6月(ろくがつ)は、グレゴリオ暦で年の第6の月に当たり、30日間ある。
日本では水無月(みなづき)ともいう。ただし、本来は陰暦6月の異称である。
英語名では June という。ローマ神話のユピテル(ジュピター)の妻ユノ(ジュノー)から取られた。ユノが結婚生活の守護神であることから、6月に結婚式を挙げる花嫁を「ジューン・ブライド」(June bride、6月の花嫁)と呼び、この月に結婚をすると幸せになれるといわれる。しかしながら、少なくともヨーロッパのカトリック教徒の多い諸国では、ギリシャ神話やローマの異教の神々がヨーロッパの人々の生活に影響を与えるというのは考えにくいという説もある。
日本におけるジューン・ブライドは、6月の雨が多くジメジメした薄暗い雰囲気で結婚する人が少ない事に困ったブライダル業界が1970年代ごろから始めた物であり、それまでは知られていなかった(日本と違い、ヨーロッパの6月は長い冬が明けて花が咲き始める時季で、世間一般に開放的で明るいムードが漂う)。
夏の初め(初夏)である。北海道を除く各地では梅雨の時期であり降水量が多い。
水無月の由来には諸説あるが、水無月の「無」は「の」を意味する連体助詞「な」であり「水の月」であるとする説が有力である。神無月の「無」が「の」で、「神の月」を意味するのと同様と考えられる。田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月「水張月(みずはりづき)」「水月(みなづき)」であるとする説もある。
文字通り、梅雨が明けて水が涸れてなくなる月であると解釈されることもあるが、これは俗説(語源俗解)である。他に、田植という大仕事を仕終えた月「皆仕尽(みなしつき)」であるとする説、などもある。
日本では12月と並んで、6月は祝日がない月として知られている。
これは皇室由来の節目の日もなく、庶民の生活も農繁期でハレの行事がなかった点が影響している。
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6月
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文字通り、梅雨が明けて水が涸れてなくなる月であると解釈されることもあるが、これは俗説(語源俗解)である。他に、田植という大仕事を仕終えた月「皆仕尽(みなしつき)」であるとする説、などもある。
日本では12月と並んで、6月は祝日がない月として知られている。
これは皇室由来の節目の日もなく、庶民の生活も農繁期でハレの行事がなかった点が影響している。
一部で時の記念日(6月10日)などの休日化を目指す動きがある。また、沖縄県では沖縄戦の組織的戦闘が終結した6月23日に、沖縄戦の戦死者を弔う「慰霊の日」を設け、地方公共団体の施設の休日としている。過労死弁護団全国連絡会議は労働者の過労死が6月に多いため、厚生労働省に2001年6月8日、祝日のない6月に祝日を新設することを申し入れたことがある。しかし、この一方で「日本は諸外国より祝日が多すぎる(日本は2016年時点では祝日が16日であるのに対し、アメリカは10日、イギリスは8日、フランスは13日)。これ以上祝日を制定しないで欲しい」「祝日にふさわしい日がない」などの理由により、祝日の制定に否定的な意見があり、祝日を所管する内閣府も6月に祝日の制定することを検討していない。
なお1993年には、皇太子徳仁親王と小和田雅子の結婚の儀により、6月9日が休日とされた。
フィクション作品では漫画『ドラえもん』でドラえもんのひみつ道具の1つである「日本標準カレンダー」を使って独自に祝日を制定するエピソードがある。
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電子メール
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電子メール(でんしメール)あるいはEメール(英: electronic mail、email)は、コンピュータネットワークを使用して、まるで郵便による手紙のように文章(や添付したファイルや写真データなど)のやりとりをすること、およびその技術。
インターネットの初期からある通信手段であり、UUCPやSMTPなどのプロトコルを介して、メールを相手サーバに届けられる。電気的な信号で送受信を行うので、地球の裏側にいる相手に送る場合でも隣の部屋にいる相手に送る場合でも、かかる時間は一般的には数十秒から数分程度である。
一方で、インターネットの普及以前にコンピュータでの通信手段として広く行われていた、いわゆるパソコン通信でも、加入者同士で文書のやり取りを行うシステムが「電子メール」として提供されていた。ただし、パソコン通信では、一般的に、通信が1つのパソコン通信システム内にとどまっていたので、他のシステムとの間での電子メールの交換機能などの相互通信機能はほとんどなかった。また、各パソコン通信システムごとに独自のシステムが構築されていた事が多かったので、ユーザインターフェイス等についても互換がなかった。しかしその後、インターネットの普及に伴って、大手パソコン通信システムとインターネット間で相互に通信が可能にもなった。メール友達(メル友)も、流行になった時期があった。
電子郵便とも言った。
英語では1990年代や2000年代あたりでは「e-mail」とハイフンを入れて表記することが一般的だったが、2010年代や最近の英語ではemailとハイフンも省略することが増えている。
なお、以下では「広義のメール」と記載が無い物はRFCに準拠した、UUCP、SMTPのプロトコルを使用した電子メールについてのみ記述する。それ以外の電子メールについては上記の各関連項目を参照のこと。
個々の電子メールのアドレスは、「john_smith@examplecompany.com」のような形で表現される。
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電子メール
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なお、以下では「広義のメール」と記載が無い物はRFCに準拠した、UUCP、SMTPのプロトコルを使用した電子メールについてのみ記述する。それ以外の電子メールについては上記の各関連項目を参照のこと。
個々の電子メールのアドレスは、「john_smith@examplecompany.com」のような形で表現される。
実際に電子メールを使うためには独自ドメイン名(上の例では「examplecompany.com」)を得て、ドメイン名を管理するDNSサーバやメールサーバに(手動であれ、自動であれ)登録することで送受信できるようになる。かつては、加入インターネットプロバイダや勤務先・通学先の企業・学校などのアドレス(アカウント)が多かったが、『Yahoo!メール』や『gmail』が普及してからはむしろそれらのアドレスのほうが多数派になっている。
一通の電子メールの容量について、理論的には制限はないが、メールサーバ設置者(多くはプロバイダだがそれ以外もある)が設定している容量(「送受信可能な最大容量」などと表現されている)の制約を受ける。プロバイダごとにまちまちである。小さい容量では、ダイヤルアップ接続時代の名残の数メガバイト(MB)程度のものから、ブロードバンドが一般化してからは10~20MB程度が一般的で、一部のプロバイダでは100MB程度としている。数Gギガバイト(GB)程度に設定するプロバイダもある。
日本の主要プロバイダの例としては、たとえばOCNでは10MBまで、So-netが20MBまで、Biglobeが100MBまでである。これ以上の大容量のデータのやり取りはできない。そのため、別の手段でデータを転送しメール本文ではその受け取り方法を記載する。メールクライアントによってはこの作業を自動的に行うものもある(gmailなど)。別の手段の具体的な例としてFTPやP2P、HTTP等によるオンラインストレージ、ファイル転送サービス、アップローダー、宅配便などでメディアを送るなどが使用される。
gmailの受信メールは一通50MBまで(送信のほうに関しては25MB超の添付ファイルはGoogleドライブや他のファイル共有サービスを使用を求める)。
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電子メール
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gmailの受信メールは一通50MBまで(送信のほうに関しては25MB超の添付ファイルはGoogleドライブや他のファイル共有サービスを使用を求める)。
電子メールの送受信を行う時に一般ユーザの側が使うアプリケーションソフトに関しては、1990年代などはもっぱらパソコンにインストールした電子メールクライアントソフトで送受信を行った。
2000年代や2010年代あたりからウェブブラウザでサーバにアクセスしてアカウントにログインしてウェブページ上で送受信を行う方式(ウェブメール)も広まった。このウェブメール方式は、POP3、IMAP4、SMTPなどの細かい設定が不要であり、 社内の他部署や出先や旅先など自分のパソコンを持ち歩いていない状態でも、インターネットのウェブサイトにブラウザでアクセスできるパソコンがあれば自分の個人的なアドレスで電子メールの送受信ができる利点がある。またコンピュータウィルスが含まれているファイルが添付されているウィルスメールが送られてきた場合でもそれの影響を遮断しやすく、また悪意で意図的に大容量のメールを送って他者を困らせようとする者がいる場合でもそれの悪影響を遮断しやすい(メールのタイトルと容量だけ確認して、必要なメールだけ選んで中身を読んで、怪しいと思えるメールなどはメールの実体を自分のパソコンに受信せずに済ますこともできる)など、つまりコンピュータセキュリティ上のメリットや運用上のメリットもある。
無料アドレス(フリーメールサービス)の場合は、ウェブブラウザを使ってウェブページ上で、送受信を行うウェブメールがほとんどである。
現在、インターネットでは、メールサーバ間での通信およびクライアントからの送信には、一般にSMTPが使われる。古くは、また現在でも希に、UUCPが使われる。メールは、数々のサーバをリレーのように経由して目的のメールサーバに伝えられる。なお、電子メールには、送信者の使用メールソフトや経由サーバーなどのヘッダーと呼ばれる情報が付属されている。
メールサーバからメールを読み出す場合には、POP、IMAPなどのプロトコルが用いられる。メールの書式については、RFC 5322で規定がある。また、英字以外の文字・言語やテキスト以外の情報をメールで送るなどのためにMIMEが規定されている。
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電子メール
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メールサーバからメールを読み出す場合には、POP、IMAPなどのプロトコルが用いられる。メールの書式については、RFC 5322で規定がある。また、英字以外の文字・言語やテキスト以外の情報をメールで送るなどのためにMIMEが規定されている。
元来のメールの文字コードはUS-ASCIIのみであったが、上記MIMEの規定により様々な文字コードが使えるようになった。
かつての日本のJUNETではJIS規格に基づく規則を決めて日本語を扱えるようにした。この規則をMIMEの枠組みで再定義したものがISO-2022-JPである。現在の日本語メールでは、このISO-2022-JPが広く用いられている。
RFC 2277では、出来るだけ広く知られた文字コードを選ぶように注意を促している。これはUTF-8が普及するまでの暫定的なものであるが、その期間は50年であるかもしれないので事実上は永遠と考えてよいとも書かれている。
元来は、メールは文章程度のプレーンテキスト形式の物のみであったが、上記MIMEの規定および普及に伴って、メール本文をHTMLにより記述したHTML形式のメールも、RFCに規定されて一般にも使われるようになった。Microsoft Windowsの標準メールクライアントであったOutlook Expressの初期設定ではメールの作成時にHTML形式が選ばれていたため、送受信の機会も多くなった。
HTML形式のメールは、メール本文がHTMLで記述できるのでメールにウェブページと同様の表現力を持たせられる利点がある。携帯電話・PHSでも、cHTML形式のメールが一般向け仕様のサービスとして提供されているものもある。
その一方で、ただし「HTMLメールを表示する事」は「ブラウザでWebページを表示する事」と技術的には根本的な違いはないため、メール中のHTML情報を展開し表示するためのレンダリングエンジンのセキュリティホールを突いて、メールを見る(プレビューする)だけでコンピュータウイルスが侵入する被害を受けたり、迷惑メール・架空請求メール等で画像タグを埋め込んだメールを送りつけて表示させ、情報を収集(ウェブビーコンと言う)して悪用するなど、セキュリティ上の問題が相次いだ。
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電子メール
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対策としては、ウイルス対策・迷惑メール対策のソフトを導入するか、HTML形式のメールをフィルタリング機能で受信を拒否する・ゴミ箱フォルダへ振り分けるなどがある。また、HTMLメールの表示に対応していないメールクライアントもあって、断り無くHTML形式のメールを送信しても正しく受信されないおそれがある。
なお、あるファイルデータをメールに添付して送る場合、添付ファイルとしてMIMEなどによってテキスト化(エンコード)をしてメール本文に埋め込んで送信して、受信側で元のデータファイルに復元(デコード)する方法が取られる。添付ファイルには、コンピュータウイルスも仕込み可能なので、受信時に添付ファイルを自動的に開く設定になっていると、やはりコンピュータウイルスが侵入する被害を受けるなどの危険もある。
一通一通それぞれのメールは、本文とは別に、ヘッダーフィールドと呼ばれる各種の特殊な情報が記載された領域を持つ。ほとんどのメールクライアントでは、何らかの方法(メールクライアント毎に異なる)によって、このヘッダーフィールドの情報を参照可能である。この情報は、脅迫メールやスパムなどのメールが届く場合などに、送信元の特定などに威力を発揮する。ただし、偽装も可能で必ずしもすべてのヘッダフィールドを付加する必要はないので、完全には判断できない。
ヘッダーフィールドは フィールド名:フィールド値という形で記載される。
メールを送信する際の機能として、Cc(写し受信者)とBcc(秘密受信者)の2種類ある。メールの本来の送信先は一般的にTo:に指定して送信するが、本来の送信先以外にも一応複製を送っておきたい相手などがいるという場合にこの機能を使用する。
メールを初めて利用する人はもちろん、それなりに使い慣れている人にしても、この機能の本来の使用方法を理解していない事も多い。この機能を使うに当たっては、よく理解して使えばとても便利であるが、私用・公用に限らず、Cc機能とBcc機能の違い・それぞれに指定されて送信された相手に見える自分以外の送信先をよく理解して使わないと、例としてメールアドレスの個人情報漏洩など、色々な意味で問題を起こす事となる。
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電子メール
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メールを初めて利用する人はもちろん、それなりに使い慣れている人にしても、この機能の本来の使用方法を理解していない事も多い。この機能を使うに当たっては、よく理解して使えばとても便利であるが、私用・公用に限らず、Cc機能とBcc機能の違い・それぞれに指定されて送信された相手に見える自分以外の送信先をよく理解して使わないと、例としてメールアドレスの個人情報漏洩など、色々な意味で問題を起こす事となる。
また、Bccとして指定したメールアドレスを他の受信者に見せたり、ヘッダー内の別領域に書くなどの欠陥を持つメールソフトが存在するので、Bcc機能を理解していてもあえて使わない利用者も居る。
テキスト形式のメッセージを電気的に伝える方法は1800年代中頃のモールス信号による電報に遡る事が出来る。1939年のニューヨーク万国博覧会では、IBMが将来郵便に替わる高速の自社用電波を用いた通信で、祝福の文書をサンフランシスコからニューヨークに送った。第二次世界大戦中、ドイツが使用したテレタイプ端末は、その後テレックスが世界的に普及する1960年代末まで使われた。アメリカには同様なTWXがあり、1980年代末まで重要な通信方法の位置を占めた。
歴史的に「electronic mail(エレクトロニック・メール)」という用語は一般的に電子化された送信文書全般を指して用いられた。例えば、1970年代前半にはファクシミリによる文書送信を指す用語として用いられる例もあった。
電子メールはインターネットに先行して開発された。既存の電子メールシステムはインターネットを作るに当たって重要な道具となった。
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電子メール
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歴史的に「electronic mail(エレクトロニック・メール)」という用語は一般的に電子化された送信文書全般を指して用いられた。例えば、1970年代前半にはファクシミリによる文書送信を指す用語として用いられる例もあった。
電子メールはインターネットに先行して開発された。既存の電子メールシステムはインターネットを作るに当たって重要な道具となった。
最初の電子メールは1965年、メインフレーム上のタイムシェアリングシステムの複数の利用者が相互に通信する方法として使われ始めた。1970年代初頭までに、アメリカ国防総省の自動デジタル・ネットワーク(英語版) (AUTODIN) は1350台の端末間を繋ぎ、1件あたり平均3000文字のメッセージを月間3000万件取り扱えるようになった。AUTODINは18台の計算機化された大きな切替装置が運用を支え、さらに約2500台の端末を繋げるアメリカ共通役務庁(英語版)のアドバンスト・レコード・システムとも接続された。正確なところは不明だがその類の機能を持つ最初のシステムとして、SDC(ランド研究所からのスピンオフでSAGEのソフトウェア開発を行った会社)のQ32システムがある。マサチューセッツ工科大学は1961年にCTSSを導入し、複数の利用者が離れた端末から電話回線を使って中央システムにログインし、ディスクにファイルを保存し共有できる体制を整えた。 電子メールは間もなく利用者が異なるコンピュータ間で情報をやり取りするための「ネットワーク電子メール」に拡張された。1966年には異なるコンピュータ間で電子メールを転送していた(SAGEでの詳細は明らかではないが、もっと早い時期に実現していたかもしれない)。
ARPANETは電子メールの発展に多大な影響を与えた。その誕生直後の1969年にシステム間電子メール転送の実験を行ったという報告がある。BBN社のレイ・トムリンソンは1971年にARPANET上の電子メールシステムを開発し、初めて@を使って利用者名と機器とを指定できるようにした。ARPANET上では電子メール利用者が急激に増大し、1975年には1000人以上が利用するようになっていた。
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電子メール
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ARPANETは電子メールの発展に多大な影響を与えた。その誕生直後の1969年にシステム間電子メール転送の実験を行ったという報告がある。BBN社のレイ・トムリンソンは1971年にARPANET上の電子メールシステムを開発し、初めて@を使って利用者名と機器とを指定できるようにした。ARPANET上では電子メール利用者が急激に増大し、1975年には1000人以上が利用するようになっていた。
その他にも、1978年までにUNIXメールがネットワーク化されUUCPとなり、1981年にはIBMのメインフレームの電子メールがBITNETで接続された。
ARPANETでの電子メールの利便性と利点が一般に知られるようになると、電子メールの人気が高まり、ARPANETへの接続ができない人々からもそれを要求する声が出てきた。タイムシェアリングシステムを代替ネットワークで接続した電子メールシステムがいくつも開発された。例えばUUCPやIBMのVNETなどがある。
全てのコンピュータやコンピュータネットワークが直接相互に接続されるわけではないので、電子メールのアドレスには情報の伝達「経路」、つまり送信側コンピュータから受信側コンピュータまでのパスを示す必要があった。電子メールはこの経路指定方法でいくつものネットワーク間(ARPANET、BITNET、NSFNET)でやり取りすることができた。UUCPで接続されたホストとも電子メールをやり取りすることが可能であった。
経路は「バングパス」と呼ばれる方法で指定された。あるホストから直接到達可能なホストのアドレスを書き、そこから次に到達可能なホストのアドレスをバング(感嘆符=!)で接続して書いていくアドレス指定方式である。
CCITTは、種々の電子メールシステムの相互運用を可能とするために 1980年代にX.400標準規格を開発した。同じ頃、IETFがもっと単純なプロトコルSimple Mail Transfer Protocol (SMTP) を開発し、これがインターネット上の電子メール転送のデファクトスタンダードとなった。インターネットに各家庭から接続するようになった現代では、SMTPを基礎とする電子メールシステムの相互運用性は逆にセキュリティ上の問題を生じさせている。
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電子メール
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1982年、ホワイトハウスはアメリカ国家安全保障会議 (NSC) 従事者のために IBM の電子メールシステム Professional Office System (PROFシステム)を採用した。1985年4月、このシステムがNSC従事者向けに完全動作するようになった。1986年11月、ホワイトハウスの残りの部分もオンライン化された。1980年代末ごろまではPROFシステムだけだったが、その後は様々なシステムが導入されている(VAX A-1(オールインワン)や、cc:Mailなど)。
日本では1984年からJUNETが大学間の接続を始めており、その後企業の研究機関も含めて接続が広がった。当初はASCII文字のみの想定であったが、後に JUNET において、電子メールなどで日本語(漢字)使用を可能とする文字符号化方式ISO-2022-JPが開発されている(電子メール#文字コード)。
1980年代後半時点におけるUNIX上でのメール作成時の日本語入力システム(FEPとも呼ばれた)としては、UNIX環境にてWnnを使用する方法があった(日本語入力システムとしては、後にCannaも出開発された)。それとは別に、MS-DOS にてシリアルポート経由での通信を目的としたKEK-Kermit等を起動してパソコンをUNIX端末としておき、日本語入力システムとしてATOKあるいは松茸を利用して、パソコン側で漢字コードまでを生成し、KEK-Kermit等でパソコンローカル側の漢字コードである Shift JIS をUNIX側で指定された漢字コードであるEUC又はJIS等に変換しつつ、UNIX側に送り込むことでUNIX上でのメール作成時の漢字入力手段とする方法もあった。逆に、UNIX側で受け取った漢字入り電子メールをUNIX端末としているパソコン側で表示する際、パソコン側で受診した漢字コードは KEK-Kermit等によって再びShift JISに変換されてから表示されていた。
これに続く時代にて大学や企業にてパソコンが直接 Ethernet 接続されるようになり、また、一般家庭にもダイヤルアップ接続が拡大する中、様々な種類の電子メールクライアントが出現する。
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電子メール
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これに続く時代にて大学や企業にてパソコンが直接 Ethernet 接続されるようになり、また、一般家庭にもダイヤルアップ接続が拡大する中、様々な種類の電子メールクライアントが出現する。
電子メールのトラフィックの多くは実はスパムメールである。バラクーダネットワークスの報告によると、2007年中に送信されたメールのうち90%から95%がスパムメールであったという。大量に送信されるこれらのスパムメールはメールサーバに過大な負荷を与え、メール配送遅延の原因となることもある。たとえば2004年7月下旬から8月上旬にかけて、大手インターネットプロバイダ@niftyで、海外から大量に送信されたスパムメールによりメールサーバに断続的な負担が掛かり、メールの受信に支障が生じる状態が続いた。(2010年10月ロシアで摘発されたスパムメール業者は1日500億通を発信していたという。)
また近年、トロイの木馬などのマルウェアに感染したコンピュータ群によって引き起こされるDDoS型のスパム送信の割合が急激に増加しており、ますますメールサーバに多大な負荷を及ぼすものとされている(→ボットネットを参照)。
スパム以外のトラフィック増大要因として、いわゆる「年賀メール」(元旦前後に発生する大量の挨拶メール)の類もある。特に携帯電話等のメール機能は「即時の意思疏通を図る手段」としてチャット的に利用される場合があるため、一般の電子メールに比べ大量かつ集中的に送信されやすく、これを原因とした配送遅延や輻輳が問題になる場合もある。この対策として、各通信事業者が年越時間帯の利用自粛を呼び掛けたり発信制限を行ったりすることもある。かつてパソコン通信が全盛だった時代には、処理の集中を防ぐため、あらかじめ年賀メールをサーバに予約送信しておき元旦に順次配送するといったサービスも提供されていた。
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電子メール
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なお、電子メールの配送システムの多くは、メールサーバに一定以上の負荷が掛かると送信を保留し一旦スプールに保存し後に(例えば数時間後に)再送信を試みる仕組みになっているため、トラフィックが一定量を超えると配送の極端な遅延が起こる。この遅延はメール1通毎に起こるため、同時期に送ったメールであっても、あるものは数秒で届きあるものは数時間で届くということになり、これを理解していない利用者の間ではメールを「送った」「送らない」で揉める恐れもある。
一時的なトラフィックの増大でスプールに保存された保留メールは、多くの場合時間の経過と共に処理され正常に戻るが、メールサーバの能力が十分でないと再送処理自体が間に合わなくなり、送信者に失敗通知が返送されることもある。なお、失敗通知すら返送されず「消滅」することは原理的にありえない。メールサーバは能力が追い付かない場合メールの受信(SMTPコネクション)自体を拒否するからである。よく年賀メール等で「トラフィック増大が原因であるプロバイダのメールの紛失が起きた」と、あたかも不可抗力であるが如き報道を目にするが、正確にはそのプロバイダのメールサーバの管理が適切でなく、混雑時の処理が正しく動作していないシステム不良である。
同時多発テロ時には、ニューヨーク周辺間のメールが1日遅延するなどした他、2009年には南アフリカでケープタウンとヨハネスブルグ間700kmで実験が行われ、電子メールより伝書鳩の方が早く情報を伝達できた。
スパムメール対策としてサーバ上、クライアント上でのフィルタリングが普及してきたが、誤検知により通常のメールがスパムであると判断されてしまい、不着となる問題が増えている(→電子メールフィルタリングを参照)。
文字だけのやりとりに見られる問題(炎上、Flaming)は電子メールにおいても見られる。メールの真意、感情が相手に伝わらず、度々揉め事に発展するケースが挙げられている。英語圏では、メールの真意を読み取り間違え、感情に任せて送るメールの呼称(スラング)にFlame Mailというものがある。
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電子メール
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文字だけのやりとりに見られる問題(炎上、Flaming)は電子メールにおいても見られる。メールの真意、感情が相手に伝わらず、度々揉め事に発展するケースが挙げられている。英語圏では、メールの真意を読み取り間違え、感情に任せて送るメールの呼称(スラング)にFlame Mailというものがある。
電子メールにおけるテキストベースな平文は、サーバーやネットワーク上でスニッフィング(傍受)される可能性が高くセキュリティーの観点から好ましいとは言えない。フィル・ジマーマンが開発し、公開した暗号ソフトウェア(Pretty Good Privacy:PGP)のプラグインなどを導入することで安全性を高められる。
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8月
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8月(はちがつ)は、グレゴリオ暦で年の第8の月に当たり、31日間ある。
日本では、旧暦8月を葉月(はづき)と呼び、現在では新暦8月の別名としても用いる。葉月の由来は諸説ある。木の葉が紅葉して落ちる月「葉落ち月」「葉月」であるという説が有名である。他には、稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」という説や、雁が初めて来る「初来月(はつきづき)」という説、南方からの台風が多く来る「南風月(はえづき)」という説などがある。また、「月見月(つきみづき)」の別名もある。
英語名 August は、ローマ皇帝アウグストゥスに由来する。アウグストゥスは紀元前1世紀、誤って運用されていたユリウス暦の運用を修正するとともに、8月の名称を「6番目の月」を意味する Sextilis から自分の名に変更した。よく見かけられる通説に、彼がそれまで30日であった8月の日数を31日に増やし、その分を2月の日数から減らしたため2月の日数が28日となったというものがある。これは11世紀の学者ヨハネス・ド・サクロボスコが提唱したものであり、8月の名称変更以前からすでに2月は短く、8月は長かった事を示す文献が複数発見されているため、この通説は現在では否定されている(詳細はユリウス暦を参照)。
閏年の場合、8月はその年の2月と同じ曜日で始まる。
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PAW法
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PAW法 (英: projector augmented wave method) は第一原理電子構造計算の手法の一つ。擬ポテンシャル法とLAPW法を一般化した手法であり、より効率的に密度汎関数計算を行うことを可能とする。P. E. Blöchlが1994年に発表した手法で、数ある全電子計算手法の中でも新しい。
価電子波動関数はイオンコア近傍では、コア波動関数との直交性を保つために短い波長で振動することが多い。このことは、波動関数を正確に表現するために多くのフーリエ成分(グリッドを用いる手法では細かいメッシュ)を必要とするため計算コスト上の問題となる。 PAW法ではこの問題を、短波長で振動する波動関数を、計算コスト的により扱いやすい長波長で滑らかな波動関数に変形し、この滑らかな波動関数から全電子の特性を計算することを可能とすることで解決する試みである。全電子計算の手法であるため、内核付近の記述や、光学応答の計算に適している。このアプローチは、シュレーディンガー描像からハイゼンベルク描像への転換にある意味で似ている。
ある線形変換 T {\displaystyle {\mathcal {T}}} により、仮定上の擬波動関数 | Ψ ~ ⟩ {\displaystyle |{\tilde {\Psi }}\rangle } が全電子波動関数 | Ψ ⟩ {\displaystyle |\Psi \rangle } に変換されるものとする。
「全電子」波動関数はコーン・シャム一粒子波動関数であり、多体波動関数ではないことに注意。イオンコア近傍以外では | Ψ ~ ⟩ {\displaystyle |{\tilde {\Psi }}\rangle } と | Ψ ⟩ {\displaystyle |\Psi \rangle } が一致するようにするため、線形変換を以下のように書くものとする。
ここでは T ^ R {\displaystyle {\hat {\mathcal {T}}}_{R}} はある球形の原子 R を含む補正領域 Ω R {\displaystyle \Omega _{R}} でのみ非零であるとする。
各原子の周辺では、擬波動関数を擬部分波により展開するのが便利である。
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PAW法
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ここでは T ^ R {\displaystyle {\hat {\mathcal {T}}}_{R}} はある球形の原子 R を含む補正領域 Ω R {\displaystyle \Omega _{R}} でのみ非零であるとする。
各原子の周辺では、擬波動関数を擬部分波により展開するのが便利である。
T {\displaystyle {\mathcal {T}}} は線形な変換であるから、係数 c i {\displaystyle c_{i}} はプロジェクタ関数と呼ばれる関数の集合 | p i ⟩ {\displaystyle |p_{i}\rangle } との内積により表現される。
ここで ⟨ p i | φ ~ j ⟩ = δ i j {\displaystyle \langle p_{i}|{\tilde {\phi }}_{j}\rangle =\delta _{ij}} とする。全電子部分波は | φ i ⟩ = T | φ ~ i ⟩ {\displaystyle |\phi _{i}\rangle ={\mathcal {T}}|{\tilde {\phi }}_{i}\rangle } と書かれ、典型的には孤立原子におけるコーン・シャム・シュレーディンガー方程式の解と一致するように取る。 よって、線形変換 T {\displaystyle {\mathcal {T}}} は次の三つの量で記述される。
そして、次のように陽に書き下せる。
補正領域の外側では擬部分波は全電子部分波と一致する。領域の内側では、適当な滑らかな接続関数、たとえば多項式やベッセル関数の線形結合により表わされる。
PAW法は通常、コア状態はイオンのおかれた環境により影響されないとするフローズンコア近似と共に用いられることが多い。事前に計算されたPAWデータのオンラインリポジトリがいくつか存在する。
PAW変換により、全電子波動関数を陽にメモリ上に展開することなく、擬波動関数から全電子の可観測量を計算することが可能となる。このことは、原子核近傍の波動関数に強く依存するNMRなどの特性を計算する際に特に重要である。まず、ある作用素の期待値は次のように定義される。
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PAW法
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PAW変換により、全電子波動関数を陽にメモリ上に展開することなく、擬波動関数から全電子の可観測量を計算することが可能となる。このことは、原子核近傍の波動関数に強く依存するNMRなどの特性を計算する際に特に重要である。まず、ある作用素の期待値は次のように定義される。
ここで、全電子波動関数から擬波動関数に | Ψ ⟩ = T | Ψ ~ ⟩ {\displaystyle |\Psi \rangle ={\mathcal {T}}|{\tilde {\Psi }}\rangle } のように変換すると、以下を得る。
「擬作用素」をチルダで表わすこととして、次のように定義することができる。
もし A ^ {\displaystyle {\hat {A}}} が局所的でふるまいの良い作用素であれば、 T {\displaystyle {\mathcal {T}}} の定義式を代入して下のような PAW 作用素変換を得ることができる。
ここで、添字 i , j {\displaystyle i,j} は全原子についてのプロジェクタを走るものとする。通常、同一の原子上の添字のみを足し上げ、オフサイトの寄与は無視することが多い。これを「オンサイト近似」と呼ぶ。
原論文で、 Blöchl は補正領域の内部に局在した任意の作用素 B ^ {\displaystyle {\hat {B}}} についてのこの等式には自由度があると述べている。つまり次のような項が付け加わる。
このことはPAW法において擬ポテンシャルを実装して原子核によるクーロンポテンシャルをより滑らかなポテンシャルに置き換える際の基礎ととらえることができる。
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ウルトラソフト擬ポテンシャル
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ウルトラソフト擬ポテンシャル(ウルトラソフトぎポテンシャル、英: ultrasoft pseudopotential)は、1990年Vanderbiltが考案した第一原理擬ポテンシャルである。これまであったノルム保存型擬ポテンシャルでは、ノルム保存という条件が足枷となって、これ以上平面波基底の数を減らすことが困難となっていた。
ウルトラソフト擬ポテンシャルでは、このノルム保存の条件を課さないことにより、より少ない平面波基底で電子状態の計算が可能となる。ノルム保存を緩和した代償として、固有値問題ではなく、より複雑な一般化固有値問題を解く必要がある。しかし、平面波基底の数を削減できることの方が効果が大きく、より高速な計算が可能になる。
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KKR法
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KKR法(KKRほう)とは、J. Korringa, W. Kohn, N. Rostokerらにより考案された全電子計算法のこと。
彼らの名前の文字からKKR法と呼ばれるが、計算手法の基礎にグリーン関数が用いられることからグリーン関数法とも呼ばれる。
電子の散乱理論を基礎においており、グリーン関数とCPA近似との相性のよさから、この手法によりはじめてCPA近似が第一原理計算に導入され合金の計算などを可能にした。
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9月
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9月(くがつ)は、グレゴリオ暦で年の第9の月にあたり、30日間ある。 夏と秋の境目とした季節である。
日本では、旧暦9月を長月(ながつき)と呼び、現在では新暦9月の別名としても用いる。長月の由来は、「夜長月(よながつき)」の略であるとする説が最も有力である。他に、「稲刈月(いねかりづき)」が「ねかづき」となり「ながつき」となったという説、「稲熟月(いねあがりづき)」が略されたものという説がある。また、「寝覚月(ねざめつき)」の別名もある。
英語での月名 September は、ラテン語表記に同じで、これはラテン語で「第7の」という意味の septem の語に由来しているのに不一致が生じているのは、紀元前153年に、それまで3月を年の始めとしていた慣例を1月に変更したにもかかわらず、名称を変えなかった為であり、7月と8月にローマ皇帝の名が入ってずれたというのは俗説である。これは7月がガイウス・ユリウス・カエサルによって Julius に改める以前は Quintilisといい、これがラテン語で「第5の」という意味の quintus の語に由来していて、既にずれが発生していたことからもわかる。
日本の学校年度や会計年度は大半が4月始まりであるが、世界に目を向けると9月を採用している国が多い(アメリカ合衆国、カナダ、ヨーロッパ、中華人民共和国など)。
9月はその年の12月と同じ曜日で始まる。
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平面波
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平面波(へいめんは、英: Plane wave)とは、等位相面が波数ベクトルを法線ベクトルとする等値平面から成る周期関数のことである。
平面波と呼ばれる関数には、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」がある。「時間変数を持たない平面波」は、周期関数のフーリエ級数展開や、フーリエ変換、時間発展のないシュレーディンガー方程式の計算に用いられる。「時間変数を持つ平面波」は、波動方程式の解として現れる。
通常、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」は、区別されずに混同されて用いられるが、異なるものなので、曖昧さを回避する観点から区別が必要な場合には、用語を使い分けることにする。それぞれの用語の定義は以下に行う。
また、本稿では、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」の総称として「平面波」という用語を用いることにする。
実数または複素数に値を取る実 d 変数関数 Ψ が時間変数を持たない平面波であるとは、周期 2π の実1変数の周期関数 f と、波数ベクトルと言われる d 次元実定数ベクトル k(但し k ≠ 0)を用いて、
と表されることを意味する。
時間変数を持つ平面波は、波動方程式の固有解に現れる。
実数または複素数に値を取る関数 Φ が時間変数を持つ平面波であるとは、空間変数 x (d 次元実数ベクトル)と時間変数t (実数)と、周期 2π の実1変数の周期関数 f と、波数ベクトル k(d 次元実定数ベクトル、但し k ≠ 0)と、角振動数 ω≠ 0 を用いて、
であることを意味する。
尚、本稿では、時間変数と空間変数をX = (x , t) のように分ける。つまり、変数の最後の成分を時間変数と考える。
物理的には、空間変数 x と時間変数 t は異なるものであるが、数学ではどちらも単なる変数である。この意味において、d 次元の時間変数を持つ平面波は、d + 1 変数の時間変数を持たない平面波と見做すことができる。
時間変数を持つ平面波
に対して、新たに K を、空間成分 k と、時間成分 −ω を並べた d + 1 次元の実数ベクトルとする。即ち、
とする。但し、ki は、波数ベクトル k の第 k 成分を意味する。
又、X = (x, t)とする。このとき、
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平面波
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時間変数を持つ平面波
に対して、新たに K を、空間成分 k と、時間成分 −ω を並べた d + 1 次元の実数ベクトルとする。即ち、
とする。但し、ki は、波数ベクトル k の第 k 成分を意味する。
又、X = (x, t)とする。このとき、
のように書くことが出来る。この意味において、d 次元の時間変数を持つ平面波は、n + 1 変数の時間変数を持たない平面波と見做すことができた。
正弦平面波は、正弦波の多次元への拡張の1つで、代表的な平面波である。正弦平面波には、実正弦平面波と複素正弦平面波がある。正弦平面波のことを単に平面波ということもあるが、正弦平面波ではない平面波もある。
実正弦平面波は、数学的には振幅 A、波数ベクトル K、位相項 δ の3つの定数/定数ベクトルで特徴付けられる。一般に d 次元の実正弦平面波は、時間変数を持たない形で書くと
時間変数を持つ形で書くと
で表される。
ここで、波数ベクトルや時間・空間変数は、それぞれ
である。
実正弦平面波は重ね合わせの計算などが面倒であることから、計算上のテクニックとして、実正弦平面波の値域をオイラーの公式を用いて複素数域に拡張した複素正弦波が発案された。古典物理では、複素平面正弦波は実正弦平面波の重ね合わせを計算するための便宜にすぎないが、量子力学では複素平面正弦波を用いなければ説明がつかない現象があるため、計算上の便宜のためだけのものではない。
複素正弦平面波は数学的には、振幅 A(複素定数)、波数ベクトル K(実定数ベクトル)、位相項 δ(実定数)の3つの定数/定数ベクトルで特徴付けられる。一般に、d 次元の複素正弦平面波は、
の形で表される。
aj , θj (j = 1, 2, ... , m )を実定数(ただし aj ≥ 0)としたときに、重ね合わせ
を計算する問題を考える。
オイラーの公式より、複素数をベクトルのように表記して
と見なすことができる。
式(2-1)の右辺に、ベクトルの平行四辺形則を適用すると
としたときに、
が成り立つ。従って、重ね合わせ(1)を計算する問題は、式(2-2)の2つの式を求める問題に帰着される。ここで、 θj (j = 1, 2, ... , m ) は実定数なので、
が成り立つ。 は複素共役を意味する。このことに注意して、a の展開を行うと
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と見なすことができる。
式(2-1)の右辺に、ベクトルの平行四辺形則を適用すると
としたときに、
が成り立つ。従って、重ね合わせ(1)を計算する問題は、式(2-2)の2つの式を求める問題に帰着される。ここで、 θj (j = 1, 2, ... , m ) は実定数なので、
が成り立つ。 は複素共役を意味する。このことに注意して、a の展開を行うと
が成立する。式(2-3)と、条件aj ≥ 0 を考え併せると、式(2-2)は、
と変形できる。従って、重ね合わせを計算する問題は、式(2-2’)を求める問題に帰着される。計算上の便宜としての複素正弦波を持ち出す最大の理由は、式(2-2)から(2-2’)(特に振幅の関係式)が導き出せることにある。
一般には、これ以上簡単な形に変形することは難しいが、いくつかの特殊な場合には振幅の項あるいは位相項の片方あるいは両方がより簡単な形になる。例えば
のときには、
となる。この問題は、2つの位相差のある平面正弦波の重ねあわせの問題である。
平面波展開(または平面波近似)は、1変数のフーリエ級数展開を多変数関数に拡張した概念で、多変数の周期関数を正弦平面波からなる級数に展開する手法である。以下では、まず一番簡単な場合、即ち、正方格子を周期として持つ2変数関数の場合について平面波展開を考え、その後、一般の場合の平面波展開について説明する。
簡単のため、F (x, y ) が、標準正方格子を周期格子とする場合の平面波展開を、1変数のフーリエ級数に帰着することを考える。
以下の定理が成り立つ:
定理 (一番簡単な場合の平面波展開) ― F(x , y) が、周期 E1 , E2 を持つL 関数であるとき、
が成立する。但し、E1 , E2 は、それぞれ、2次単位行列の第一列、第二列である。即ち、E1 , E2 は、R の標準基底とする。
尚、周期性の定義等、用語の定義を知らずとも、計算の流れのみから本ケースの証明は理解が可能であると思われるため、定義などは後回しにする(一般の場合を考える際に、再定義する)。又、1変数のフーリエ級数についての諸議論は既知とする。以下、3つのステップに分け証明を行う。
y を固定して(定数として)考えると、F (x, y ) は、x についての一変数関数である。この関数を fy(x) と書くことにする。即ち、
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y を固定して(定数として)考えると、F (x, y ) は、x についての一変数関数である。この関数を fy(x) と書くことにする。即ち、
とする。fy(x) は周期1の周期関数である。従ってfy(x) が [0,1] 閉区間で L 関数であれば、fy(x) を 1変数関数の意味でフーリエ級数展開することが可能である。
具体的には cn を、
とすると、
のように級数展開可能である。
前述の cn は y を固定するごとに定まるので、cn は y についての関数と考えることが出来る。cn の定義により、cn もまた、y について(1変数の意味で)周期1の周期関数である。
実際、F(x, y) は、周期 E2 を持つため、F(x, y) = F(x, y + 1) である。従って、
である。
実は、cn(y) もまた L 関数であるため、cn(y) も1変数関数の意味でフーリエ級数展開可能である。すなわち
とすると、
となる。
式(3-1)に式(3-2)を代入すると、
を得る。
F を実数値あるいは複素数値の実 d 変数関数とし、τ を d 次元の実定数ベクトルとする。このとき、τ が F の周期であるとは、任意の d 次元実数ベクトル x に対し F(x + τ) = F(x)であることを意味する。
定理1 ― F を実数値あるいは複素数値の実 d 変数関数としたとき、
ここで、τ が F の周期であったとしても、√2τ や τ/2 が F の周期であるとは限らない。
定理1から帰納的に以下の定理2が示される。
定理2 ― τ1, τ2, ..., τl が F の周期で、z1, z2, ..., zl が整数であるとき、
もまた、F の周期である。
前節の定理1と定理2は、周期が格子状の空間(Z-加群)をなすことを主張している。以下、格子について補足を行う。
d 次元標準正方格子 Z d {\displaystyle \mathbb {Z} ^{d}} を、以下のように定義する。即ち、d 次元標準正方格子は、成分全てが整数となるような d 次元実数ベクトルを全て集めることによって出来た集合である。
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もまた、F の周期である。
前節の定理1と定理2は、周期が格子状の空間(Z-加群)をなすことを主張している。以下、格子について補足を行う。
d 次元標準正方格子 Z d {\displaystyle \mathbb {Z} ^{d}} を、以下のように定義する。即ち、d 次元標準正方格子は、成分全てが整数となるような d 次元実数ベクトルを全て集めることによって出来た集合である。
Z d {\displaystyle \mathbb {Z} ^{d}} は、 R d {\displaystyle \mathbb {R} ^{d}} の標準基底 e1 , ... , ed の Z 結合で生成される。即ち、 Z d {\displaystyle \mathbb {Z} ^{d}} の点 z は、n 個の整数 z1 , ... , zd によって、
のように展開することが出来る。この展開は、一意的である。
又、d 次正則行列 A に対し、 A Z d {\displaystyle A\mathbb {Z} ^{d}} を、
と定め、d 次元正則行列 A によって生成された格子空間と呼ぶ。 A Z d {\displaystyle A\mathbb {Z} ^{d}} は、A の列ベクトル A1 , ... , Ad のZ結合で生成される。即ち、 A Z d {\displaystyle A\mathbb {Z} ^{d}} の点は、n 個の整数 z1 , ... , zd によって、
のように表すことが出来る。即ち、標準格子空間 Z d {\displaystyle \mathbb {Z} ^{d}} 上の点 z は、行列 A によって、必ず A Z d {\displaystyle A\mathbb {Z} ^{d}} に移すことが出来る。但し、Aj は、A の第 j 列ベクトルである。即ち Aj = Aej である。
さらに、ユニットセルの概念を定義する。T1 , ... , Td を d 次元実数ベクトル空間 R d {\displaystyle \mathbb {R} ^{d}} の基底とする。このとき、
を、T1 , ... , Td が張るd 次元平行六面体、あるいはユニットセルという。
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さらに、ユニットセルの概念を定義する。T1 , ... , Td を d 次元実数ベクトル空間 R d {\displaystyle \mathbb {R} ^{d}} の基底とする。このとき、
を、T1 , ... , Td が張るd 次元平行六面体、あるいはユニットセルという。
特に、d 重周期関数 F に対し、T の列ベクトル全て、即ち T1 , ... , Td が F の周期となるような d 次正則行列
が定まる。本稿では、このような T を、F の周期行列と言うことにする。また、 T Z d {\displaystyle T{\mathbb {Z} }^{d}} を、F の周期格子という。
簡単な計算から以下の定理が判る。
定理 (周期関数の標準化) ― T を、d 次元正則行列とし、実 d 変数関数 F が T の列ベクトル全て、即ち T1, T2, ..., Td を F の周期とするような d 重周期関数とする。この時、
とすると、H(y) は、e1, ..., ed のすべてを周期とするような d 重周期関数である。
この定理により、周期行列が存在するようなd 重周期関数の問題は、すべて、標準正方格子を周期格子として持つような周期関数の問題に帰着されることが判る。
平面波の周期性について、以下の命題が成り立つ。
命題1 ― 実数または複素数に値を持つ実 d 変数関数 Φ を時間変数を持たない平面波であるとし、K ≠ 0 を Φ の波数ベクトルとするとき、
即ち、命題1は、K の直交補空間の点は皆、波数 K の平面波 Φ の周期であることを主張している。
命題2 ― 実数または複素数に値を持つ実 d 変数関数 Φ を時間変数を持たない平面波、K ≠ 0 を Φ の波数ベクトルとするとき、
以下の定理より、d 重周期関数 F と同じ d 重周期を持つ平面波を沢山作る方法が与えられる。
定理 (逆格子の存在) ― T と G を、d 次実正則行列、p1, ... pd を整数とする。さらに、T と G の間に
の関係が成立するとする。ここで、E は d 次単位行列である。さらに、Φ は、波数 G(p1, ... pd) の平面波とする。
このとき、T1, T2, ... , Td は全て Φ の周期となる。但し、
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定理 (逆格子の存在) ― T と G を、d 次実正則行列、p1, ... pd を整数とする。さらに、T と G の間に
の関係が成立するとする。ここで、E は d 次単位行列である。さらに、Φ は、波数 G(p1, ... pd) の平面波とする。
このとき、T1, T2, ... , Td は全て Φ の周期となる。但し、
である。Tj, Gj はそれぞれ T および G の第 j 列ベクトルを意味する。
非相対論的な量子論では、自由粒子のエネルギー固有状態は平面波となる。また自由粒子のハミルトニアンと運動量が可換であるため、運動量の固有状態も平面波である。つまりエネルギーと運動量についての同時固有関数となっている。量子論においても平面波は、基底関数として様々な場面で用いられるが、本来1に規格化されるべき2乗積分が有限の値を持たないこと、時間的・空間的に無限の彼方まで広がっており非現実的であること等の問題も抱えている。
波動関数は、基底関数で展開した形で記述することができる。この時に用いられる基底の1つに平面波基底(英: Plane wave basis)がある。バンド計算における表式化が比較的簡単で(それ故、プログラムも構築し易い)力やストレスの計算も他の基底(局在基底など)を使った場合より容易に実現が可能である。また、平面波基底では、Pulay補正項の問題が回避できることも利点のひとつである。
欠点として、例えば波動関数や電荷密度への寄与の s, p, d 軌道毎への分割や、ユニットセル内の特定の原子の電荷を求めることが困難になることが挙げられる。
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11月
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11月(じゅういちがつ)は、グレゴリオ暦で年の第11の月に当たり、30日間ある。秋と冬の境目とした季節であることもある。
日本では、旧暦11月を霜月(しもつき)と呼び、現在では新暦11月の別名としても用いる。「霜月」は文字通り霜が降る月の意味である。他に、「食物月(おしものづき)」の略であるとする説や、「凋む月(しぼむつき)」「末つ月(すえつつき)」が訛ったものとする説もある。また、「神楽月(かぐらづき)」、「子月(ねづき)」の別名もある。
英語での月名 November は、「9番目の月」の意味で、ラテン語で「第9の」という意味の novem の語に由来している。実際の月の番号とずれているのは、紀元前46年まで使われていたローマ暦が3月起算で、3月から数えて9番目という意味である。
11月はその年の3月と同じ曜日で始まる。また、平年は2月とも同じ曜日で始まる。
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量子電磁力学
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量子電磁力学(りょうしでんじりきがく、英語: Quantum electrodynamics, QED)とは、電子を始めとする荷電粒子間の電磁相互作用を量子論的に記述する場の量子論である。量子電気力学と訳される場合もある。
量子電磁力学では、荷電粒子間に働く電磁相互作用を光子という粒子の受け渡しによるものと考える。荷電粒子と光子は量子的な場(場の演算子)として扱われる。電子の場は4成分のディラック場、光子の場はベクトル場である。
電子は電荷をもっており、この電荷が時空の各点で(つまり、常に連続的に)保存することを理論に要請すると、光子を表す場が自然に定義される。この要請はゲージ変換と呼ばれる場の量の変換に対して理論が持つべき対称性(ゲージ不変性) として表され、それを保証する場(光子場)をゲージ場と呼ぶ。ゲージ場は厳密に質量が0である。光子の質量が0という事実(光速度不変の原理)は、このように、電子の電荷の保存と結びついている。
量子電磁力学のゲージ変換にまつわる理論の構造は、まず粒子場を用意し、理論にゲージ不変性を要求することによって粒子間の相互作用を導くというゲージ原理の考え方を導き、電磁相互作用以外の相互作用においても、場の理論の構築の際の基礎とされている。
量子電磁力学は特殊相対性理論と量子力学を結びつけたポール・ディラックの電子論(ディラック方程式)では説明できない水素原子の 2s と 2p 準位のずれ(ラムシフト)などを説明できるとされる。
1927年、ポール・ディラックは粒子の生成消滅演算子という概念を導入することで電磁場の量子化に初めて成功し、これが量子電磁力学の創始となった。ただし、生成消滅演算子は別の人間が創りだしたものである。その後、ヴォルフガング・パウリ、ユージン・ウィグナー、パスクアル・ヨルダン、ヴェルナー・ハイゼンベルクらの尽力により量子電磁力学の定式化が始まり、1932年のエンリコ・フェルミの論文によりエレガントな定式化がほぼ完成した。しかし、量子電磁力学の根幹には重大な問題が残っていた。
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量子電磁力学
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このような問題で当時の物理学は混乱を極めたが、1943年、朝永は相対論的な共変性を満たす超多時間論を見出し、湯川らが指摘した因果律の破れを無限大の補正を加えて回避した。 同論文で、くりこみで本質的な役割を果たす相互作用表示を提示したことも重要である。(戦後、シュウィンガーも相互作用表示を朝永と独立に見出す)。朝永振一郎は、超多時間論や相互作用表示を基に、「くりこみ原理」の厳密な式を求めていく。
第二次世界大戦を経てマイクロ波技術の進歩により水素原子のエネルギー準位の縮退からのずれ(ラムシフト) や電子の異常磁気モーメントをより精密に測定することが可能になると、これらの実験により既存の理論では説明することのできない現象の存在が明らかとなった。1947年、ハンス・ベーテは、質量と電荷に無限大の補正を加えることで、無限大がうまく相殺し最終的に有限の物理量が導出されることを示す論文を提出したが 、非相対論での簡易計算であった。朝永の超多時間論や、朝永表示(相互作用のない表示)は戦争のためアメリカには伝わっていず、また、ファインマンの経路積分がない当時、この問題の解決は困難であった。
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量子電磁力学
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朝永グループを率い、繰り込みを完成しようとしていた朝永振一郎は、ラムシフト発見に驚くとともに、ベーテの1947年の非相対論的な計算が、朝永のP-F変換の延長上にあることを見出し、みずからの試みが正しいことを確信し、相対論的なくりこみ理論の完成を急いだ。また、ファインマン、シュウィンガー、ダイソンは、ラムシフトを契機に繰り込みに向かい、経路積分や相互作用表示(1943年の朝永と同じもの)を見出し、これらを元に繰り込みを目指した。そして、朝永振一郎、ジュリアン・シュウィンガー、リチャード・ファインマン、フリーマン・ダイソンらが摂動展開の全てのオーダーにおいて観測される物理量が有限となるような定式化を完成させた。問題発生から繰り込みによる解決までの20年、超多時間論・相互作用表示・経路積分を経て、繰り込みは建設された。これらの業績により朝永、シュウィンガー、ファインマンの3人は1965年にノーベル物理学賞を受賞した。ファインマンによるファインマン・ダイアグラムを用いた数学的なテクニックは朝永、シュウィンガーの演算子を用いる計算方法とはかなり異なるように見えたが、後にダイソンはこの二つのアプローチが数学的に等価であることを証明した。
繰り込みは場の量子論における基本的な概念の一つであり、理論の妥当性を保証するために必要不可欠な操作である。繰り込みの導入によって物理的な矛盾は解消できたが、ファインマン自身はその数学的な妥当性については最後まで満足せずに、"shell game"(「いんちき」)、"hocus pocus"(「奇術」)のようだと自著で述べている。 また、超多時間論で「湯川-ディラックの因果律の破れ」の問題は回避されたが、超対称性を世界で最初に提起した宮沢弘成は、場の量子論における因果律の破れは最終的な解決にいたっていないと主張している。
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量子電磁力学
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量子電磁力学はその後に発展する場の量子論に関する数々の理論の基礎的なモデルとして採用されている。1964年にフランソワ・アングレール、ロベール・ブルー、ゲラルド・グラルニク、カール・リチャード・ハーゲン(英語版)、トム・キッブル(英語版)、ピーター・ヒッグスによってヒッグス機構が考案された。さらに、1961年にシェルドン・グラショウが電弱統一理論の基礎を構築し、これらの理論と自発的対称性の破れ、南部=ゴールドストーンの定理などを組み合わせることで1967年、スティーヴン・ワインバーグとアブドゥッサラームがそれぞれ独立の研究で電磁相互作用と弱い相互作用を一つの相互作用へと統一することに成功し、電弱統一理論が初めて完成した。一方、強い相互作用を記述する量子色力学は、1971年のヘーラルト・トホーフトによる非可換ゲージ場のくり込み可能性の証明や1973年のH. デビッド・ポリツァー、デイビッド・グロス、フランク・ウィルチェック による漸近的自由性の研究によって強い相互作用の基礎理論としての地位を固めた。
数学的には、量子電磁力学(以下、QEDと表記)はU(1)対称性を持つ可換ゲージ理論である。電荷を持つ物質場同士の相互作用を媒介するゲージ場は電磁場である。
電磁場 A と相互作用する物質場 ψ についてのQED作用積分は以下のように表される。
S Q E D [ ψ , A ] = ∫ d 4 x L m a t t e r ( ψ , D ψ ) + ∫ d 4 x L A ( ∂ A ) {\displaystyle S_{\mathrm {QED} }[\psi ,A]=\int d^{4}x\,{\mathcal {L}}_{\mathrm {matter} }(\psi ,{\mathcal {D}}\psi )+\int d^{4}x\,{\mathcal {L}}_{A}(\partial A)}
ここで、 L m a t t e r {\displaystyle {\mathcal {L}}_{\mathrm {matter} }} は物質場のラグランジアン密度であり、微分は D ψ {\displaystyle {\mathcal {D}}\psi } は共変微分
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量子電磁力学
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ここで、 L m a t t e r {\displaystyle {\mathcal {L}}_{\mathrm {matter} }} は物質場のラグランジアン密度であり、微分は D ψ {\displaystyle {\mathcal {D}}\psi } は共変微分
D μ ψ j ( x ) = ∂ μ ψ j ( x ) − i e A μ ( x ) Q j ψ j ( x ) {\displaystyle {\mathcal {D}}_{\mu }\psi _{j}(x)=\partial _{\mu }\psi _{j}(x)-ieA_{\mu }(x)Q_{j}\psi _{j}(x)}
に置き換えられる。e は電磁相互作用の結合定数で素電荷である。 Qj は物質 ψj の U(1) チャージである。 L A ( ∂ A ) {\displaystyle {\mathcal {L}}_{A}(\partial A)} は電磁場の運動項であり、
L A ( ∂ A ) = − 1 4 F μ ν F μ ν {\displaystyle {\mathcal {L}}_{A}(\partial A)=-{\frac {1}{4}}F_{\mu \nu }F^{\mu \nu }}
である。 F μ ν = ∂ μ A ν − ∂ ν A μ {\displaystyle F_{\mu \nu }=\partial _{\mu }A_{\nu }-\partial _{\nu }A_{\mu }} は電磁場テンソルである。
物質場が質量 m のディラック場の場合は
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量子電磁力学
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である。 F μ ν = ∂ μ A ν − ∂ ν A μ {\displaystyle F_{\mu \nu }=\partial _{\mu }A_{\nu }-\partial _{\nu }A_{\mu }} は電磁場テンソルである。
物質場が質量 m のディラック場の場合は
L m a t t e r ( ψ , D ψ ) = ∑ j ( i ψ ̄ j γ μ D μ ψ j − m j ψ ̄ j ψ j ) = ∑ j ( i ψ ̄ j γ μ ∂ μ ψ j − m j ψ ̄ j ψ j + e A μ Q j ψ ̄ j γ μ ψ j ) {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathcal {L}}_{\mathrm {matter} }(\psi ,{\mathcal {D}}\psi )&=\sum _{j}\left(i{\bar {\psi }}_{j}\gamma ^{\mu }{\mathcal {D}}_{\mu }\psi _{j}-m_{j}{\bar {\psi }}_{j}\psi _{j}\right)\\&=\sum _{j}\left(i{\bar {\psi }}_{j}\gamma ^{\mu }\partial _{\mu }\psi _{j}-m_{j}{\bar {\psi }}_{j}\psi _{j}+eA_{\mu }Q_{j}{\bar {\psi }}_{j}\gamma ^{\mu }\psi _{j}\right)\end{aligned}}}
となる。 ψ ̄ = ψ † γ 0 {\displaystyle {\bar {\psi }}=\psi ^{\dagger }\gamma _{0}} はディラック場の共役場で、 γ μ {\displaystyle \gamma ^{\mu }} はガンマ行列である。
ディラック場についてのラグランジュの運動方程式を計算すると
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量子電磁力学
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となる。 ψ ̄ = ψ † γ 0 {\displaystyle {\bar {\psi }}=\psi ^{\dagger }\gamma _{0}} はディラック場の共役場で、 γ μ {\displaystyle \gamma ^{\mu }} はガンマ行列である。
ディラック場についてのラグランジュの運動方程式を計算すると
i γ μ ∂ μ ψ i − m ψ i − e A μ Q i γ μ ψ i = 0 {\displaystyle i\gamma ^{\mu }\partial _{\mu }\psi _{i}-m\psi _{i}-eA_{\mu }Q_{i}\gamma ^{\mu }\psi _{i}=0}
となる。第3項を右辺へ移行して
i γ μ ∂ μ ψ i − m ψ i = e A μ Q i γ μ ψ i {\displaystyle i\gamma ^{\mu }\partial _{\mu }\psi _{i}-m\psi _{i}=eA_{\mu }Q_{i}\gamma ^{\mu }\psi _{i}}
とすれば、左辺が通常のディラック方程式、右辺がディラック場と電磁場との相互作用項となる。
また4元電流密度は
j μ ( x ) = − δ S m a t t e r [ ψ , A ] δ A μ ( x ) = ∑ j e Q j ψ ̄ j γ μ ψ j {\displaystyle j^{\mu }(x)=-{\frac {\delta S_{\mathrm {matter} }[\psi ,A]}{\delta A_{\mu }(x)}}=\sum _{j}eQ_{j}{\bar {\psi }}_{j}\gamma ^{\mu }\psi _{j}}
である。
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天体
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天体(、英語: object、astronomical object)とは、宇宙空間にある物体のことである。宇宙に存在する岩石、ガス、塵などの様々な物質が、重力的に束縛されて凝縮状態になっているものを指す呼称として用いられる。
惑星は、恒星の周りを公転する天体のうち、中心で核融合を起こすほどには質量が大きくなく、自分で光を放たない天体である。ただし、太陽の周りを公転する天体については、重力平衡に達するのに十分な質量を持ち、かつ軌道上から他の天体を排除しているもののみが惑星である。
準惑星は、太陽の周りを公転する天体のうち、重力平衡に達するのに十分な質量を持つが、軌道上から他の天体を排除していないものである。
太陽系小天体は、太陽の周りを公転する天体のうち、重力平衡に達するのに十分な質量を持たないものである。
衛星は、惑星、準惑星、太陽系小天体の周りを公転する天体である。衛星の周りを公転する天体は孫衛星とも呼ばれる。
恒星はガスが自己重力によって球状にまとまり、中心の核融合反応によってエネルギーを放出している天体である。 光度階級により、主系列星、準巨星、巨星、輝巨星、超巨星のように分類され、各階級は青いO型から赤いM型までOBAFGKMの順に分類される。
星団は恒星の集団である。
星雲は星間ガスが濃く集まり、我々から観測できる状態にある天体である。
銀河は数多く(典型的な銀河は数千億個)の恒星や星雲・惑星、星間ガスからなる天体である。
銀河団は数百から数千個の銀河が重力的に束縛された状態にある天体である。
超銀河団は更に複数の銀河団同士が重力で引き合ってできている大規模な天体である。
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天文現象
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天文現象()とは、天(この「天」には空や大気圏の上層部や宇宙空間までもが含まれる)に現れる様々な現象の総称。これを文様(模様、綾)に見立てて天文といい、周期的な変化を調べて暦や卜占に利用した。『易経』賁の卦の「天文を観て以て時の変を察す」、繋辞伝の「仰いで以て天文を観、俯して以て地理を察す。是の故に幽明の故を知る」に由来するとされる。天象()とも。
これらは観天望気の対象であったが後に気象とは区別されて天体観測が専らとなり、特に惑星の運行は洋の西と東を問わず天文学者により詳細に調べられた。望遠鏡の発明により太陽や月以外も明確に天体として認識されるようになると、物理学の一分野として発展を遂げ(→天体物理学)、以降の天文学は恒星を含む宇宙の諸現象を研究する自然科学の分野となった。一方の卜占からは学問的な裏付けが排除されたが、信仰や迷信の一部として現代でも広く残る。
現代の天体観測は実業のみでなくレクリエーションにもなっている(天体観望)。
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マフィンティンポテンシャル
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マフィンティン・ポテンシャル(英: Muffin-Tin potential、MTポテンシャル)とは、APW法、LMTO法、KKR法等、全電子によるバンド計算手法で用いられるポテンシャルである。マフィンティンポテンシャルは、原子核部分を記述する球対称なポテンシャル部分と、それ以外(格子間領域)の平らな部分とからなる。この平らな部分は通常、V = 0(マフィンティンゼロと言う)とするが、手法によってゼロとしない場合がある。
マフィンティンという名称は、ポテンシャルの形がマフィンという菓子を焼くための器具(今川焼きやたこ焼きを焼く鉄板のようなもの)の形と似ていることからつけられた。
原子核ポテンシャルに球対称性を課さないものが、フルポテンシャルによる手法である。
マフィンティンポテンシャルにおいて、原子核部分を記述する、球対称なポテンシャル部分のことをマフィンティン球(マフィンティンきゅう、Muffin-tin sphere)といい、この部分の半径をマフィンティン半径(マフィンティンはんけい、Muffin-tin radius)という。通常、周りの他のマフィンティン球部分と重ならない範囲で、なるべく大きな値をとるようにする(接するのが最大)。マフィンティン球同士が重なることはない。
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12月
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12月(じゅうにがつ)は、グレゴリオ暦で年の第12の月(1年の最終月)に当たり、31日間ある。
日本では、旧暦12月を「師走」、「師馳」(しわす・しはす)または「極月」(きわまりづき・ごくげつ・ごくづき)と呼んできた。
今では「師走」及び「極月」は、新暦12月の別名としても用いられる。
英語での月名 December は、「10番目の月」の意味で、ラテン語で「第10の」という意味の decem の語に由来している。 実際の月の番号とずれているのは、紀元前46年まで使われていたローマ暦が3月起算で(そのため年末の2月は日数が少ない)、3月から数えて10番目という意味である。
グレゴリオ暦の12月1日はその年の9月1日と同じ曜日になる(→365日)。
明治時代に日本が太陰暦から太陽暦に変更した際に、政府が年末の給料を削減するために12月の日数を2日とした(明治5年12月2日の翌日を明治6年1月1日とした)。
「しはす」の語源は、古いことなのでわからない。「大言海」は、「歳極(トシハツ)ノ略轉カト云フ、或ハ、萬事爲果(シハ)つ月ノ意、又、農事終ハル意カ」と言い、また「十二箇月ノ名ハ、スベテ稻禾生熟ノ次第ヲ逐ヒテ、名ヅケシナリ」(「睦月」の項)と言っている。
なお、僧侶(師は、僧侶の意)が仏事で走り回る忙しさから、という平安時代からの説(色葉字類抄)があるが、これは語源俗解(言語学的な根拠がない、あてずっぽうの語源のこと)による宛て字であり、平安時代にはすでに、「しはす」の語源はわからなくなっていた(民間語源#日本語における民間語源)。
日本国語大辞典は、語源については記述していない。末尾に次の9説を列挙するのみである。
このほか、様々なミュージシャンによるクリスマスソングが多数発表されている。
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ゼビウス
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『ゼビウス』(XEVIOUS)は、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)から1983年1月に発表されたアーケードゲーム。ジャンルは縦スクロールのシューティングゲームである。
発表時のキャッチコピーは「プレイするたびに謎が深まる! 〜ゼビウスの全容が明らかになるのはいつか〜」である。
『ギャラクシアン』(1979年)や『ギャラガ』(1981年)などと並ぶナムコシューティングの名作として大ヒットし、タイトーの『スペースインベーダー』(1978年)に次ぐ売り上げを記録。後にさまざまなパソコン、家庭用ゲーム機に移植された。
当時のシューティングゲームは、横移動だけコントロールできる自機から弾を発射して、並んでいる敵をすべて消すと一面クリアーというゲームしか無かったが、ゼビウスはこれらのシューティングゲームとは一線を画す高いクオリティを持っていた。
スクロールする背景や空中と地上に分けて現れる敵も当時としては斬新であり、最後に強敵のボス(ラスボス)が出現するという王道のパターンを作ったゲームの元祖でもある。森や砂漠、海などの自然を舞台としたステージ展開とキャラクターの銀色のグラデーションによる表現など、当時の主流だった原色中心とは違うハイセンスな色使いが特徴。
また、遠藤雅伸によって作りこまれた世界観やストーリーが最前面に出され、戦う理由やゲーム以外にも楽しむ要素を明確にしたのが最大の特徴である。
また、プレイの仕方で難易度が変化(自機の動きに応じて軌道を変える敵キャラクターが現れたり現れなかったり、ある地上物を破壊しないと難易度が上がったりする)したり、隠れキャラクターや隠しコマンドなど当時では初となる要素も多数持ち、当時のプレイヤーだけでなくゲームクリエイターでさえ驚愕させるほどの作品だった。
ファミリーコンピュータに移植された際には、ファミコン初のキラーソフトとも呼ばれた。発売から9か月後にはゲームの難易度調整方法や隠しコマンドが発見されて大きな反響を呼び、これらを掲載した雑誌『コンプティーク』はわずか数日で完売となり、ゲーム雑誌各社にはこれら隠しコマンドに関する問合せで1日中、電話が鳴り続けたという。
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ゼビウス
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ファミリーコンピュータに移植された際には、ファミコン初のキラーソフトとも呼ばれた。発売から9か月後にはゲームの難易度調整方法や隠しコマンドが発見されて大きな反響を呼び、これらを掲載した雑誌『コンプティーク』はわずか数日で完売となり、ゲーム雑誌各社にはこれら隠しコマンドに関する問合せで1日中、電話が鳴り続けたという。
これを機にユーザーがファミコンゲームに、隠れキャラクター、隠れ技、隠しコマンドを求める傾向が強まり、それに応じて隠しコマンドのページに力を注ぐ傾向がみられるようになり、これらの要素はファミコンソフトのデファクトスタンダードともなった。
なお、究極の裏技「ゼビウス総攻撃」(ファミコンロッキー 魔の2千機攻撃)のやり方はYouTubeで解説を見ることができる。
自機「ソルバルウ」を操り、敵ゼビウス軍の戦闘機や地上兵器を破壊し侵攻していく。ステージ(エリア)には空中と地上の概念が存在し、空中の敵(空中物)には対空攻撃武器「ザッパー」、地上の敵(地上物)には対地攻撃武器「ブラスター」で攻撃する。ザッパーは画面内に3発までの連射が可能。ブラスターは単発で、自機前方の照準を合わせて攻撃する。ブラスターで破壊可能な敵が照準に重なると、照準の十字の端が赤く点滅するので、攻撃の手掛かりにすることができる。また、複数の地上物が隣接している場合、その中間を狙ってブラスターを落とすと1発で2つ以上、最大4つまでの地上物を同時に破壊できる。
登場キャラクターは20種類以上で、それぞれに明確な性格付けがなされている。地上物は基本的に出現位置が固定されているため、対応をパターン化しやすい一方、空中物は自機の操作に対応して動きを変え、また一部の場面を除き、プレイの内容次第で登場する敵の種類が変化するため即興的な対応も必要となる。獲得ポイントは地上物の方が高めに設定されている。
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ゼビウス
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登場キャラクターは20種類以上で、それぞれに明確な性格付けがなされている。地上物は基本的に出現位置が固定されているため、対応をパターン化しやすい一方、空中物は自機の操作に対応して動きを変え、また一部の場面を除き、プレイの内容次第で登場する敵の種類が変化するため即興的な対応も必要となる。獲得ポイントは地上物の方が高めに設定されている。
エリアは全部で16種類。各エリアのマップは、1枚の大きな「全体マップ」からエリア1列分を抜き出し、地上物を配置する方式で作られている。1エリアの長さはおよそ7.1画面分で、エリア同士は森で区切られている。エリアの途中で自機がやられた場合、その位置がエリアの7割以上を侵攻していれば次のエリアから、7割未満であればミスしたエリアの最初からプレイ再開となる。エリア16の次はエリア7へ戻り、以降はエリア7~16のループとなる。エリア16は極めて難易度が高く、これを安定してクリアできるようになれば、カウンターストップ到達も間近とされる。
標準設定では、スコアが2万点・6万点に達すると残機が1機ずつ追加。以降6万点ごとに1機ずつ追加される。自機を全て失うとゲームオーバー(コンティニュー不可)。スコアが上位5位以内であれば、ネームエントリーへ移行する。ネームはアルファベット10文字まで入力可能で、レバーで文字を選択し、ザッパーボタンで入力する。ブラスターボタンで小文字も選択可能。
本作にはバックストーリーとして、開発者遠藤雅伸が執筆した三部構成のSF短編小説「ファードラウト」(以下、短編版)が存在する。当時の雑誌・書籍等では、ゲーム開発に先んじて書かれたものとして紹介されていたが、後に著者本人によるメイキングや他の開発者の発言等から、実際は開発と並行して設定が起こされ、ゲームがほぼ完成してから小説として執筆されたことが明かされている(※開発参照)。
以下のストーリーの内容(名称、年代等)は主に記述がより詳細な『小説ゼビウス ファードラウトサーガ』(1991年/双葉社)(以下、小説版)に基づく。
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