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美学
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近代以前の日本には、西洋のような一貫した形での思索の集大成としての「美学」は無い。しかし、いき、わびなどの個別の美意識は、古くから存在しており、また茶道や日本建築、伝統工芸品などを通して、さまざまな形で実践されてきた。また、歌論、能楽論、画論などの個別の分野での業績はあるものの、孤立した天才の偉業という色彩が濃く、一枚岩の美学ではない。これらの美意識は、自然と密接に関連しているが、西洋美学は、近代以前はもっぱら「人間」を中心に据えた「芸術」のために発展した。そのため、日本の美意識は、西洋美学の視点からは、十分に記述・説明することができない。近代以前の日本の事物について、「芸術」という視点を持つ美学から論じると、学問的文脈を無視した議論となり、慎重を期すべきである。日本人自身も、日本の美意識を、明快に定義・説明することが困難であるのが現状である。今後、複数の視点を生かした研究が待たれる。
歴史的に見ると、日本神話の天の岩戸の挿話は、民族の危機が歌舞(うたまい)の芸術によって救われたという意味であり、日本民族の歴史に占める比重の大きさを示唆する。ここにおける理想的人間は「明(あか)き浄(きよ)き直(なお)きこころ」(宣命)という内面の曇りの無いことに結晶し、罪はみそぎと祓いとによって水の果て、風の果てに消散されるとする宗教的呪術的心情には、美と清さとがなんらかの形において一致するという美学的思考が胎生している。アメノウズメの踊りに関する記述には、乳房や女陰に関する言及もある。
日本において美学的思考が初めて意識的に理論化されたのは、『古今和歌集』「仮名序」においてである。紀貫之は「仮名序」で、和歌は純粋な心の結実であるとした(「やまと歌はひとつ心を種としてよろずの言の葉とぞなれりける」)。そして和歌は天地開闢の時から出来したと述べ、和歌に結集する芸術は、「生きとし生けるもの」の生の表現がヒトにおいてその精華を開花させたものであるとした。
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美学
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日本において美学的思考が初めて意識的に理論化されたのは、『古今和歌集』「仮名序」においてである。紀貫之は「仮名序」で、和歌は純粋な心の結実であるとした(「やまと歌はひとつ心を種としてよろずの言の葉とぞなれりける」)。そして和歌は天地開闢の時から出来したと述べ、和歌に結集する芸術は、「生きとし生けるもの」の生の表現がヒトにおいてその精華を開花させたものであるとした。
この歌論が芸術批評、創作指標として理論化されたのは、藤原公任の『新撰髄脳』、『和歌九品』以降においてであり、後者の9分法は仏教における九品蓮台によると思われるが、基本的には中国唐代の画論における品等論の影響が推定される。藤原公任によって最高の歌格とされた「あまりの心」は、藤原俊成、壬生忠岑、そして鴨長明によって「余情(よせい)」として深度化され、幽玄と関係づけられた。
そのころ歌風は、「たけ」、「長高様」(崇高あるいは壮美)、「をかし」(趣向の面白さに由来する美)など、美的カテゴリーの細分化がおこなわれ、「和歌十体」として体系化された。歌人の西行(1118年-1190年)は2300首の、美意識にあふれた和歌をよんだと伝えられている。
藤原定家は、「むかし貫之歌のたくみにたけおよびがたくことばづよくすがたおもしろき様をこのみて余情妖艶の体をよまず」(『近代秀歌』)として、「あはれ」(優美)の範疇を開拓した。
藤原定家によって重んじられた幽玄様、右心体の趣を禅的思想で深めた正徹は、「いかなる事を幽玄体と申すべきやらむこれぞ幽玄体とてさだかに詞にも心にも思ふ斗りいふべきにはあらぬ也」と、名状しがたい悟入の境地と芸術の奥義とが照応していることを指摘した(『正徹物語』)。
ここから芸道の精神が生まれ、演劇論としては、能の世阿弥の『花鏡』の「動十分心動七分身」(心を十分に動かして身を七分目に動かせ)という余情演技、「せぬが所が面白き」という「為手(して)の秘する所」を中心とする能の幽玄論の「かたちなき姿」を尊重する秘伝につながる。
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美学
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ここから芸道の精神が生まれ、演劇論としては、能の世阿弥の『花鏡』の「動十分心動七分身」(心を十分に動かして身を七分目に動かせ)という余情演技、「せぬが所が面白き」という「為手(して)の秘する所」を中心とする能の幽玄論の「かたちなき姿」を尊重する秘伝につながる。
これは、技法上の修練が必要であることに理解を示したうえでの、俳人の松尾芭蕉による、「俳諧は三尺の童にさせよ初心の句こそたのもしけれ」(『三冊子』)という、「気」の芸術の主張につながる。この内面的な自発性は、『笈の小文』によれば、西行の和歌、宗祇の連歌、雪舟の絵、千利休の茶を貫く風雅の精神である。
このことを別の側面から保証するように、文人画家の池大雅は、絵画でいかなることが困難であるかと質問されて、「ただ紙上に一物もなきところこそなしがたし」と答えたという(桑山玉洲『絵事鄙言』)。
この気の芸術の神秘主義は、宇宙的生命の自己表現から出発する日本の美学思想に起源するが、多分に、中国思想、仏教思想の影響がある。
一方、これに対して、純粋な日本的精神による美学を主張したのは国学者の本居宣長である。本居宣長(『石上私淑言』)は、「事にふれてそのうれしくかなしき事の心をわきまへしるを物のあはれを知るといふ也」と述べて、事象と自我との接触としての経験において事象の本質を認識したうえで成立する感動を、「物のあわれ」と規定した。そして、これを知る人を「心ある人といひ知らぬを心なき人といふ也」(同上)として、すなわち「もののあわれ」を知ることが人間が人間たるゆえんであるとした。「なべて心に深く感ずる事は人にいひきかせてはやみがたき物」(同上)であるのだから、感動の表現は人間的な必然となる。」その表現手段の粋は、「鳥虫に至るまでも(中略)おのれおのれが歌謡をなすものを人間として一向詠む事あたはざるは恥ずべきことのはなはだしきにあらずや」(『あしわけおぶね』)というように、和歌である。宣長は儒教の教えとは鋭く対立し、芸術の自律性の主張した点においても、近代精神を先取する側面があった。
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美学
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このように美と芸術を重視する思想的伝統があるために、西洋美学の摂取も成功したのであり、西周、森鷗外以後においては、東洋の伝統に立ち茶道における老荘の美学的世界観を主張した岡倉覚三の『茶の本』、および西洋美学の方法で歌論を研究してその側面から範疇論を補足した大西克礼の『幽玄とあはれ』は注目すべきである。近現代の文化人としては三島由紀夫、谷崎潤一郎、泉鏡花、江戸川乱歩らが美意識にあふれた作品を発表した。戦後の60年代以降、寺山修司、大島渚らがその美学を引き継いだと解釈することも可能である。
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島
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島(しま)とは、一般的には周囲を海や湖で囲まれた陸地のことをいい、内陸部のものを含む。
地理学上は大陸よりも小さい陸地をいう。具体的には、世界で最も小さい大陸のオーストラリア大陸の面積より小さく、四方を海洋・湖などの水域に囲まれた陸地のことである。海洋法に関する国際連合条約では「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」と定義されている。
島嶼(とうしょ)、アイランド(英: island)ともいう。「嶼」は小島を意味する漢字である。
地理学上、大きな陸塊が大陸、小さな陸塊が島に分類される。
現在、世界最小の大陸はオーストラリア大陸、最大の島はグリーンランドである。右図にこれらの陸塊の比較を示す。グリーンランドに次いで世界で2番目に大きい島はニューギニア島で、以下、3位がボルネオ島、4位がマダガスカル島、5位がバフィン島、6位がスマトラ島、7位が本州、...... と続く(島の一覧 (面積順)を参照)。
居住者のいる島を有人島、いない島を無人島という。世界最大の無人島は、カナダのデヴォン島である。面積は、カナダの島の中で第6位、世界の島の中で第27位で、それより狭い中で人口最大の台湾島(38位)や、人口2位の九州本島(36位)より広い。
複数の島がまとまって存在する場合、集団になっているものを諸島、塊状のものを群島、列状のものを列島などと呼ぶ場合もある。日本の国土地理院が1990年に刊行した「新版日本国勢地図」では諸島について「二つ以上の島の集団をいう。そのうち列状をなすものを特に列島という。」と定義している。ただし、諸島と群島に関しては概念としては同じで、明確に区分できるわけではない。
諸島・列島・群島とは逆に、周囲に島がない場所に孤立して存在する島を孤島という。ギネス世界記録に認定されている「世界一孤立した有人島」は南大西洋上のトリスタンダクーニャ島である。
日本の琵琶湖の竹生島、宍道湖の嫁ヶ島など、湖の中にある島もある。また、川の中にある島もあり、中州とも呼ばれる。世界最大の川の中の島は、ブラジルのバナナル島である。面積は、世界の島の中で第49位で、同第50位四国の約1.08倍の面積である。同国中部トカンチンス州のアラグアイア川にある島である。
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島
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日本の琵琶湖の竹生島、宍道湖の嫁ヶ島など、湖の中にある島もある。また、川の中にある島もあり、中州とも呼ばれる。世界最大の川の中の島は、ブラジルのバナナル島である。面積は、世界の島の中で第49位で、同第50位四国の約1.08倍の面積である。同国中部トカンチンス州のアラグアイア川にある島である。
領土がすべて島から成る国を島国と呼ぶ。非独立国を含める場合、世界最大の島国はデンマーク領で本国からの高度な自治が存在するグリーンランドとなる。独立国のみに限る場合、インドネシアが世界最大の島国であり、マダガスカル、パプアニューギニア、日本、...... と続く。国際連合の加盟国193ヶ国中では島国は47ヶ国である(2011年時点 en:Island_country)。
島の定義に関しては海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第121条の定義が使われることが多い。
この条件から外れると領海を形成するために有効な領土ではなくなる。日本が沖ノ鳥島に消波ブロックなどを設置し、波浪による侵食によって満潮時に水没しないようにしているのはこのためである。
同条約同条2項では「島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。」とされている。一方3項では「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」としている。すなわち、広義の「島」であっても狭義の「島」と「岩」に条約上の扱いが分かれるので注意が必要である(この場合の「岩」は領土であり領海は持つ)。
以上の国際条約とは別に各国、各地域、各機関で様々な定義が行われている。スコットランドでは島は「人が住み、最低一頭の羊を養える牧場がある」ものという定義がある。日本の海上保安庁は「満潮時に海岸線の延長距離が100m以上の陸地」を島と定義している一方、国土地理院は「航空写真に写る陸地」を島と定義している。また、国土地理院の定義では島未満の地形として、暗礁や洗岩、干出岩、水上岩からなる岩礁がある。国連訓練調査研究所(UNITAR)は1966年に「島」を「海洋に囲まれた人口100万人以下の小島嶼」と定義し統計を公表している。
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島
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島は地形によって分類されることもある。国際連合環境計画(UNEP)のダール博士が編集した『島嶼総覧(Island Directory: Basic environmental and geographic information on the significant islands of the world)』は世界環境保全モニタリングセンター(WCMC)からデータを受けた世界の約2.000の海洋有人島のデータを提供しているが、地形の分類例として環礁(Atolls)、低地島(Low islands)、隆起サンゴ礁(Raised coral islands)、火山島(Volcanic islands)などがある。
刺胞動物門花虫綱などの造礁サンゴの骨格が堆積して裾礁(きょしょう)となり、それが隆起して形成された島である。マリアナ諸島や小笠原諸島の島々のように火山島とサンゴ礁が複合した裾礁、メラネシアやポリネシアの島々のような堡礁や環礁など段階によってバリエーションがある。
大陸島(Continental islands)は大陸棚の上にある島であり、海進や沈下などによって大陸と切り離された陸地である。
大陸島は大陸に並んで形成されることが多く、弧状の配置になることも多い。このようなプレート境界(沈み込み帯)に位置する列島を島弧、あるいは弧状列島とも言う。島弧はマントル対流の沈み込みによって地殻が盛り上がって生成する。このような島は弓状に分布することが多く、島弧と呼ぶ。島弧は太平洋プレートの周辺(環太平洋火山帯)に目立つ。以下に北極側から反時計回りに記す。
火山噴火によって形成された島を火山島といい、特に大陸棚ではなく海洋底から直接海面に達している島を洋島という。
海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく3つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。
大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドとマダガスカル島である。
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島
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火山噴火によって形成された島を火山島といい、特に大陸棚ではなく海洋底から直接海面に達している島を洋島という。
海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく3つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。
大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドとマダガスカル島である。
大陸はプリュームによるマントル対流によって、数センチメートル/年程度の速度で移動している。約6億年前の古生代石炭紀に、先行する超大陸が南北に分離した。それぞれ、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸と呼ばれる。ゴンドワナ大陸は現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいた。1億6000万年前からゴンドワナ大陸自体も数次にわたって分裂を続けた。7000万年 - 9000万年前の中生代白亜紀後期の最後の分裂の際、インド亜大陸と分離したのがマダガスカル島である。そのため動植物の分布がアフリカ大陸とは異なっている。
ローラシア大陸は、現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸、グリーンランドを含んでいた。約5000万年前(新生代第三紀)に、グリーンランドは北アメリカ大陸と分離した。
大陸棚に存在する島を陸島という。海退時や隆起によって大陸と陸続きになりがちで、海進、沈下などの原因により大陸と切り離されることで孤立した陸地である島となる。地質構造や陸上の地形に大陸との類似が見られる。代表例はカリマンタン島、グレートブリテン島、台湾島である。カナダ北部の島々も陸島である。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所では、大陸プレートの周辺部に、海洋プレートの沈み込みによって生じる海溝があり、この海溝に沿うように、大陸側に島が並んで形成される例が多い。その配置が弧状になることが多いため、弧状列島、あるいは島弧と言われる。
陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。
後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフは大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。
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島
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陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。
後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフは大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。
大陸棚ではなく、海洋底から直接海面に達している島を洋島という。基本的には火山活動によるが、単純な火山性の島と、火山島などの沈下によって形成されたサンゴ礁に分かれる。海洋島ともいう。
洋島のうち、火山島はホットスポット上に多く位置する。ホットスポットとは下部マントル付近から上部マントルに向かって定常的に熱い物質が上昇している場所のことである。例えばハワイ諸島の場合、約7000万年にわたって、同一のホットスポットが多数の島を生成してきた。古い島は侵食を受け、海面下に海山として残っている。アイスランド島もホットスポット上にある。
この他にカリブ海東端の小アンティル諸島に属する島、例えばマルチニーク島などは、カリブプレートと北アメリカプレートの沈み込み帯上に位置する火山島である。
サンゴ礁は、刺胞動物門花虫綱などに属する造礁サンゴの骨格などが積み上がって形成される地形である。サンゴ礁の主成分は石灰岩(炭酸カルシウム)からできている。石灰岩はサンゴ類の骨格(骨片)のほか、共生藻の分泌物の沈着によって生成する。石サンゴは細胞内に共生する褐虫藻の光合成に依存している。このため、太陽光が十分透過する水深40m - 60mよりも浅い海中でなければサンゴ礁は成長しない。水温も最低でも18度前後でなければならない。
サンゴ礁は島の周辺の海岸を取り囲む裾礁(きょしょう)として発生する。代表例は小笠原諸島、奄美群島、沖縄諸島、先島諸島である。裾礁が形成された後に、中央の島が沈降すると、島の海岸線から数km離れた位置にドーナツ型のサンゴ礁からなる陸地が形成される。これを堡礁(ほしょう、バリアリーフ)と呼ぶ。沈降がさらに進むと中央の島は消え、ラグーンと呼ばれる礁湖を取り囲む幅数100m - 1km程度のドーナツ型の陸地だけが残る。これを環礁(かんしょう、アトール)と呼ぶ。サンゴ礁自体が成長することから、波による侵食に強く、孤島であっても波浪による侵食に耐える。
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サンゴ礁に基づく島にはさまざまなバリエーションがある。サイパン島やグアム島を含むマリアナ諸島や小笠原諸島はプレート境界に位置する火山島とサンゴ礁が複合した裾礁の段階にある。南太平洋に位置するメラネシアやポリネシアでは、堡礁や環礁の段階に達している。東部ミクロネシアに位置するマーシャル諸島共和国の国土は30個弱の環礁だけから成る。
宮古島や石垣島などの先島諸島は裾礁形成後に隆起したため、サンゴ礁段丘や隆起サンゴ礁と呼ばれる特異な地形がよく発達している。
サンゴ礁の隆起等を成因とする標高の低い島を低島といい、成因が地質構造と関連し山地を有する島を高島という。
島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。
洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類や哺乳類を欠くといったような、大陸に比べて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島やハワイ諸島、小笠原諸島などが有名である。
陸島でも、大陸では絶滅した群が生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。
しかし逆に何らかの要因で外来種が入ってくると島の固有種に壊滅的なダメージを与えたり、固有種と外来種の雑種が生まれたりするなどの影響が出ることが多い。
小島嶼国の完全独立国には、サモア、トンガ、フィジーなどがある。
パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦については自由連合盟約(Compact of Free Association)をアメリカ合衆国との間で結んでおり、国防と一部外交権を委ねている。
プエルトリコと北マリアナ諸島は、いずれもアメリカ合衆国のコモンウェルスで独自の憲法と内政自治権をもつが、独立国でもアメリカ合衆国の州でもなく、アメリカ合衆国の特別自治領(自治連邦区)となっている。
アメリカ領サモア(米国領サモア、アメリカンサモア)やグアムはアメリカ合衆国の準州で、連邦税の支払義務が免除され、アメリカ合衆国議会に議決権のない代表を送ることができるが、大統領を選ぶ投票権は認められていない。
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島
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アメリカ領サモア(米国領サモア、アメリカンサモア)やグアムはアメリカ合衆国の準州で、連邦税の支払義務が免除され、アメリカ合衆国議会に議決権のない代表を送ることができるが、大統領を選ぶ投票権は認められていない。
また、各国の海外領土として、イギリス領ヴァージン諸島(イギリス)、オランダ領アンティル(オランダ)、フランス領ポリネシア(フランス)、マン島(イギリス)、ケイマン諸島(イギリス)、マルチニーク(フランス)などがある。
「島」という漢字は、意符「山」と音符「鳥」からなる形声文字である。異体字として「㠀・嶋・嶌」などがある。和語「しま」は四方を囲われた狭または締の意味。朝鮮語で島を意味する固有語「섬(seom)」の語源である百済語の「斯馬」と同語源だという説もある。
湖沼や河川の中にある陸地は四方を水域に囲まれているため島と呼ばれることがあるが、海洋ではないため地政学における島に当たらない。河川の中にある陸地は中州と呼ばれることもある。
平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
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マクドナルド
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マクドナルド(英: McDonald's)は、イリノイ州シカゴに本社を置くアメリカ合衆国発祥のファーストフードチェーンストアおよびその登録商標である。
世界的に展開するファーストフードチェーンであり、各国内でも大都市から田舎まで当たり前に見かける程の店舗数を出店しており、ハンバーガー店の代名詞となっている。日本における店舗および運営会社は日本マクドナルドである。本記事のMcDonald'sの日本語転写は公式にライセンスを取得した日本マクドナルドが定める「マクドナルド」に準ずる。
ハンバーガーを主力商品として、世界規模で展開するファーストフードチェーン店である。
世界の店舗総数は3万5429店(2013年末時点)。店舗数の分類別順位において、ファーストフードを含む外食産業でマクドナルドは、サブウェイに次ぐ、世界第2位。チェーンストアではコンビニエンスストア最大手のセブン-イレブンに次ぐ世界第2位 である。世界の販売量は年間15億食に及ぶ。
とはいえ、アメリカの食堂専門雑誌による2002年調査によると、マクドナルドの順位は「バーガーキング」と「ホワイト・キャッスル」より下で、食品品質に関してはマクドナルドのハンバーガーの品質は第15位だった。品質が悪いという情報は人々に知れ渡り、市場調査会社によればマクドナルドのシェアは5年で3%低下し2000年代の調査で15.2%となった。それに対して健康的であることを重視し実際にそうした食材にこだわりそれを宣伝でも前面に出したサンドイッチチェーンの「サブウェイ」のほうが、全米で第1位のシェアを得た。
アメリカ合衆国本国では「マクドナルドコーポレーション」が運営している。 アメリカでは2000年代後半において、ドライブスルー店舗が売上の65%を占めるほど自動車で購入する者が重要な顧客層となっており、低価格を武器に展開している部分もあるためそれを好む者や低所得者も重要な顧客層となっているが、それ以外にもスターバックスを好むような層で構成された上流の市場を狙い、それに見合った内容を提供している。
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マクドナルド
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アメリカ合衆国本国では「マクドナルドコーポレーション」が運営している。 アメリカでは2000年代後半において、ドライブスルー店舗が売上の65%を占めるほど自動車で購入する者が重要な顧客層となっており、低価格を武器に展開している部分もあるためそれを好む者や低所得者も重要な顧客層となっているが、それ以外にもスターバックスを好むような層で構成された上流の市場を狙い、それに見合った内容を提供している。
ハンバーガーチェーンだけではなくアロマカフェ (Aroma Cafe)、ボストン市場 (Boston Market)、Chipotle Mexican Grill、ドナトスピザ (Donatos Pizza)、Pret A Manger などのチェーン店も展開している。2001年の年間売り上げは148億7000万米ドル、純利益16億4000万ドルだった。
日本では藤田田率いる日本マクドナルドが1990年代から2000年代前半まで価格破壊・低価格路線を主軸に運営していて(金銭の余裕のない学生などに店内の座席が占拠されるようになり)経営内容が悪化したが、2000年代後半から方針を転換し、「価格帯の拡大」と「商品バリエーションの拡大」(具体的には、低価格の商品に加えて高価格帯の商品の投入、味重視の商品、ボリューム重視の商品、キャンペーン商品なども用意)を行ってメイン顧客層である家族連れ・子供や、その周辺ターゲットを囲うことで顧客層の幅を広げるなど幅広い客層を取り込む戦略に転換し、2000年代後半以降好調を維持している。
従業員と幹部社員のスキル向上を目的とするトレーニングを行う部署(施設)「ハンバーガー大学」を擁している。
当社の発祥地であるアメリカ合衆国では「McDonald's」と表記され、そのアメリカでの発音は国際音声記号(IPA)で表記すると [məkˈdɒnɫ̩dz]となり、その音を片仮名に写すと「メクダーノズ」が日本語に近い(太文字の「ダー」の部分が強勢つまりアクセントが置かれ強く発音される。"l"は暗いLでカナ表記だと「ォ」または「ゥ」が近い。)。アメリカ英語の母語話者による「McDonald's」の具体的な発音は こちらやこちら で聞くことができる。
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マクドナルド
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英語のスラング(俗語)では、まれに「金のアーチ」を意味する "The Golden Arches"(ザ・ゴールデン・アーチズ)や、"Mickey D's"(ミッキー・ディーズ)と呼ばれることもある。"The Golden Arches"という呼称は、当社の特徴的な看板の、 大きなMの字に見える、黄色い2つのアーチにちなんでいる。
「McDonald's」は英語圏ではよくある店名のパターン、つまり経営者の名前+'s、という構成の名称であり「〇〇さんのお店」というパターンの店名である。つまり「McDonald's」は「マクドナルド兄弟の店」といった意味である。もともとの創業者であったマクドナルド兄弟の名前が残っているのである。「Mc(マク)」は、古ケルト語で息子(や子孫)という意味の表現でありMcDonaldは「ドナルドの息子」や(ドナルドの子孫)という意味の人名(家族名)である(ちなみに「McArthur マッカーサー」は『アーサー王の息子(アーサー王の子孫)』という意味の名前である。)
米国マクドナルド社についての正式のカタカナ転写は定められていないが、公式にライセンス契約をしている『日本マクドナルド』に準じてマクドナルドと表記されている。
日本法人の正式名称は、「日本マクドナルド」であり、ブランド名の正式なカタカナ表記に関しては「マクドナルド」や「マクドナルド ハンバーガー」である。
略称のほうに関しては、日本マクドナルドからは公式な発表はなされていない。「マック」と「マクド」について、「どちらが正しいというものではない」「正解はない」、どちらの呼び方であれ親しみを込めて呼んでもらえることは嬉しい、と同社では説明している。日本国内の略称は地域差があり、東日本や九州などでは「マック」と呼ばれる傾向があり、近畿地方(と周辺)では「マクド」と呼ばれる傾向がある、という。GMOメディアの「ウィふり調査団」の調査によると、「マック派」は南東北、中国地方、四国、九州にも広がっているのに対して、「マクド派」は近畿(付近)に限定されている。2016年に日本マクドナルドが公式に行った社内調査でも「マクド」と呼ぶのは近畿と四国の計11府県だったとしている。つまり、日本全体を見渡して総合すると「マック派」が優勢のようだとしている。
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マクドナルド
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なお、当社で販売されている商品の名称に「ビッグマック」「マックシェイク」などがあることを理由に(また販売商品に「マクド○○」などという商品はないことを理由に)「マック」の方を肯定する人もいる。
また、日本マクドナルドとしてもこの略称論争を逆手にとった販促キャンペーンを2017年に行ったことがある。
フランス語では、発音が日本と同様になることに加えて、「マック」は「売春の仲買人」や「ポン引き」を意味する隠語になることから、近畿圏同様「マクド」と略されている。
中国語では漢字で「麦当劳」(簡体字)、「麥當勞」(繁体字)と表記し、「マイタンラオ」(拼音:Màidāngláo)と発音する。
最初のマクドナルドはアメリカ合衆国・カリフォルニア州サンバーナーディノでマクドナルド兄弟が1940年に始めたものである。「スピード・サービス・システム」のキャッチフレーズと、工場式のハンバーガー製造方法、そしてセルフサービスの仕組みにより、1948年頃、有名になった。
1954年に、ミルクシェイク用ミキサーのセールスマン(行商人。自分の車に商品のミキサーを積んでアメリカ各地を走り回って、飲食店見つけては商品のミキサーを売りつける仕事をしていた男)、ボヘミアユダヤ系 のレイ・クロック (Ray Kroc) が、(行商の途中)たまたまマクドナルド兄弟の店にもやって来て、兄弟が店を繁盛させているのを見て、マクドナルドの仕組みについて興味を持った。特に興味を持ったのは客席の回転率が大変高いことで、相当数の人数の客を次々とさばけることだった。すっかり感心したクロックは、ミキサーのメンテナンスで食堂にやってきたとき、システムをフランチャイズ形式にして、システムそのものを売る商売を始めてはどうかと勧めた。
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マクドナルド
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兄弟は「自分たちのためにこの店をやっているだけで、フランチャイズをするつもりはない」と消極的だったが、クロックが交渉を粘った末に「兄弟はこの店以外干渉しない」「クロックはこの店には干渉しない」「マクドナルドという名とシステムは、クロックが事業に使う」で合意、兄弟が要求した契約金もかなり高かったものの、クロックの側はたくみに契約を交わした(クロックにとっては、大きな野望を実現するための第一歩を踏み出すことができた。だが、マクドナルド兄弟側にとっては、これは悲劇の始まりであり、自分たちの強みのひとつである「McDonald's」という(アメリカ人が強い親しみを感じるMc(マック)で始めるアイルランド系の名前を冠した)ブランドを、赤の他人が使える状況を生んでしまい、最終的にはマクドナルド兄弟の店(つまり大本になっていた本店中の本店)の周辺にまでクロック側の店舗が進出、侵略してきて、売上をうばわれ、結局、兄弟は自分たちの店をクロックのせいで失ってしまうという、悲しい結末になる道が始まったのだった)。
クロックはマクドナルドを売り込むために熱心に働き、近々できるディズニーランドの中にマクドナルドの食堂を入れるよう、ウォルト・ディズニーにも直接会って積極的に売り込んだ。この試みは失敗したが、クロックは、イリノイ州デスプレーンズに最初のフランチャイズ店を出店し、即大成功となる。1955年3月2日、新しい会社"McDonald's Systems Inc."(マクドナルドシステム会社)を作り、同年4月15日にクロックが直営店1号店をシカゴにオープンさせた。1960年には、社名をマクドナルドコーポレーション ("McDonald's Corporation") に変更した。
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マクドナルド
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クロックのマーケティング戦略のうちの一つは、家族向けの店舗にすること。特に子供を商売の対象とすることだった。1960年代初め、首都ワシントンでマクドナルドのフランチャイズ権をとって営業していたオスカー・ゴールドスティン (Oscar Goldstein) が、ウィラード・スコット (Willard Scott) というクラウン(道化師)が所属するBozo's Circus(荒くれ男のサーカス)という名の出し物のスポンサーについた。この出し物が中止されると、ゴールドスティンはマクドナルドのマスコットキャラクターとしてウィラード・スコットを雇い、そのキャラクターはマクドナルドにちなんで「ロナルド・マクドナルド (Ronald McDonald)」と命名され、ウィラード・スコットはロナルド役で1963年から約2年間コマーシャルに出演した。
ロナルドは求められていた役に比べて少々太り気味だったが、このキャラクターが広告に出ることにより、マクドナルドのチェーン店は米国全土に広がった。続いてロナルド以外のキャラクターも開発されていった。
日本では販売戦略上の理由、および日本語話者には発音しづらい事から藤田田によって「ドナルド・マクドナルド」と訳されており、当初より子供向けCMに出演している。
クロックと兄弟との契約は、兄弟が生産工程について責任を負い、会社の株式による利益を受け取る。そのかわりにクロックが販売拡張の全責任を負うことになっていた。だが1961年までにクロックは拡張に失敗する。兄弟は、兄の引退も理由となって、1961年に270万ドルでマクドナルドの全権利をクロックに売り渡すことで合意した。クロックにとっては高額だが、長い眼で見ればメリットがあると判断、プリンストン大学などを含む多くの投資者からかき集めて兄弟の持つ株式を270万ドルで買い取った。
この契約では兄弟は「マクドナルド」の名称の使用は認められなかったために、やむなく自分たちの店を "The Big M"(ザ・ビッグM)という名称に変えて営業を続けた。しかし、クロックはわざわざ兄弟の店のすぐ北側にマクドナルドの大型店舗を出店し、マクドナルド兄弟の店舗の売上を意図的に奪い、その結果 マクドナルド兄弟の経営する"The Big M"は倒産してしまい閉店し、現存しない。
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マクドナルド
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この契約では兄弟は「マクドナルド」の名称の使用は認められなかったために、やむなく自分たちの店を "The Big M"(ザ・ビッグM)という名称に変えて営業を続けた。しかし、クロックはわざわざ兄弟の店のすぐ北側にマクドナルドの大型店舗を出店し、マクドナルド兄弟の店舗の売上を意図的に奪い、その結果 マクドナルド兄弟の経営する"The Big M"は倒産してしまい閉店し、現存しない。
1984年1月にクロックは死去した。(本当の創業者はマクドナルド兄弟なのに)その1年間、マクドナルドは「"創業者" 追悼キャンペーン」と銘打ったセールを行った。これを知ったマクドナルド兄弟の弟リチャードは激怒したとされる。
経営権委譲に伴う合意事項には、譲渡後もチェーンの売り上げの1%を将来的に支払うという「紳士協定」があったが、契約書には組み込まれていなかったことをいいことに、クロックの手に渡ったマクドナルド側はその紳士協定を守らなかった。もし守られていたら、兄弟は年に3億6000万ドルを手にすることになっていたはずだった。
以後マクドナルドコーポレーションは、世界の至るところに店を開いた。米国外で初めて進出した国は1967年6月3日に1号店を開いたカナダである。1971年にはオセアニア(オーストラリア)、アジア(日本)、ヨーロッパ(オランダ)の各地域に初めて進出した。1990年1月31日にはソビエト連邦のモスクワで、共産圏として初めてのマクドナルドが開店した。
マクドナルドのビッグマックの価格は、ビッグマック指数と呼ばれ、通貨間の購買力平均価格の比較手段として使われた。この指標の考案者はイギリスの経済雑誌『エコノミスト』誌 (The Economist) である。マクドナルドの標準化は、同時に生活様式や経済活動のグローバリゼーションを意味した。
トーマス・フリードマンは自著の『レクサスとオリーブの木』の中で、“黄金のM型アーチ理論”として「マクドナルドのある国同士は戦争を行わないだろう」と予言したが、1999年にアメリカ合衆国のセルビア爆撃によって破られている。
アメリカをはじめとする先進国においては、より高価で高品質なハンバーガーや、より多面的サービスを提供している他のファストフードレストランチェーンとの競争が激しくなっている。
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マクドナルド
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トーマス・フリードマンは自著の『レクサスとオリーブの木』の中で、“黄金のM型アーチ理論”として「マクドナルドのある国同士は戦争を行わないだろう」と予言したが、1999年にアメリカ合衆国のセルビア爆撃によって破られている。
アメリカをはじめとする先進国においては、より高価で高品質なハンバーガーや、より多面的サービスを提供している他のファストフードレストランチェーンとの競争が激しくなっている。
アメリカの食堂専門雑誌による2002年調査によると、マクドナルドの順位は「バーガーキング」と「ホワイト・キャッスル」より下で、ハンバーガーの食品品質は第15位だった。市場調査会社によればマクドナルドのシェアはここ5年で3%低下し、現在、15.2%である。健康的なイメージで売るサンドイッチチェーンの「サブウェイ」が全米で第1位のシェアを持っている。
2009年10月26日にマクドナルドとして初めてアイスランド国内全3店舗の閉鎖を発表することを明らかにした。撤退理由は折からの金融危機によって、自国生産が難しく輸入していた生鮮野菜などの輸入食材が、アイスランド・クローナが金融危機で失墜して輸入関税が引き上げられて高騰し、採算が取れなくなったためとしている。撤退までの過去1年半の間はコストは通常の2倍にまで膨らんでいたこともあり、採算を取れるまでに同国の経済状況が回復することは難しいと判断し、同国で事業を展開する複雑さから撤退を決めたとしている。
撤退発表以降営業最終日になった10月31日まで大勢の客が詰めかけ、商品の受け取りに20分待ち、ドライブスルー利用のために交通渋滞が発生し、マクドナルドも臨時従業員の増員で対応するなどの大盛況になった。
2022年3月8日に、マクドナルドは前月に発生したロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシア国内の全847店舗を一時閉鎖することを発表した。同国内のマクドナルドでは約62,000人が勤務しているが、一時閉鎖期間中も給料の支払いは継続するとした。一時閉鎖前日の3月13日は、ロシアで1号店として開店したモスクワの店舗でマクドナルドの商品を食べ納めしようとする市民などで混雑し、チーズバーガーやビッグマックなどの人気商品が高額転売された。
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マクドナルド
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2022年5月にマクドナルドは、ロシアから完全撤退して店舗と従業員を他社に売却することを発表した。マクドナルドの商標やロゴなどは引き続き保有する。
2022年6月、マクドナルドから店舗などを買収した後継企業は新チェーン店名を「フクースナ・イ・トーチカ」とすることを発表した。まずは15店舗をロシアの建国記念日である同月12日にオープンした。
2022年11月、ベラルーシでもロシアと同様の理由でマクドナルドが撤退した。その後継として、ロシアのフクースナ・イ・トーチカがベラルーシに進出した上でフランチャイズを展開することを明らかにし、同月22日から営業を開始することを発表した。ベラルーシ大統領のアレクサンドル・ルカシェンコは「(マクドナルドが)撤退してくれてありがたい」と歓迎のコメントを出している。
2023年1月、原材料の供給不足を理由として、カザフスタンから撤退することを発表した。同国農業省はマクドナルドがロシアから撤退したことにより、同国産の肉などの供給に問題が生じたためと説明している。その後、カザフスタン国内でマクドナルドのフランチャイズ店舗を運営していた「フード・ソリューションズKZ」は一部の店舗で独自に営業を再開したことを発表した。
マクドナルドが2003年から全世界で開始した広告で「i'm lovin' it」(私のお気に入り)を統一標語としている。
マクドナルドコーポレーションのビジネスモデルは、他の多くのファーストフードチェーン店と若干異なる。通常のチェーンでも請求される特許料金、供給品、および販売のパーセンテージに加えて、マクドナルドは賃貸料を徴収する。
フランチャイズ契約の条件として、ほとんどのマクドナルド店舗は、店舗の不動産をマクドナルドコーポレーションが所有する。フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルドコーポレーションに支払う。マクドナルド創立者の1人 Harry.J.Sonneborne は「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを売る唯一の理由は、フランチャイズ会社がハンバーガーを売ったときの利益が、最も多くの賃貸料をわれわれにもたらすからだ」と言った。
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マクドナルドは、定期的な調査のために「ミステリーショッパー」と称する人物が、一般客に紛れ1セット注文する。店舗の質を向上させるため、採点項目にはスピード、清潔さ、商品の品質、サービスなどがある。 日本では2003年、昼のピーク時間帯 (12:00 - 13:00) に商品の受注から、注文の多少に関わらずレジ入力後1分以内に提供する「チャレンジ!60秒サービスキャンペーン」が展開された。時間内に提供できなければ、ポテトかコーラの引換券を添付した。商品の注文点数にかかわらず時間は1分間一律だったため、セットメニューなどを注文すると1分以内に用意できない事例も発生した。一部の店舗ではレジ入力途中で厨房に注文内容を伝え用意できてからレジ入力を終了することで実質1分を超えたとしても1分以内とした。全般的に店員の応対時間短縮の成果が出たり、客と店員のコミュニケーションが生まれるなどの相乗効果で概ね好評価を得た。
マクドナルドのハンバーグやポテトは、セントラルキッチンから成型済みで搬入され、厨房では焼いたり揚げたりするだけで、店舗で細かい調理の必要がない。
焼く鉄板や揚げ油の温度、時間も定められている。若干の訓練を受ければ、誰が作っても同じ大きさ、同じ形、同じ味の商品が提供できる。調理工程も簡略化され、付け合せなども極力簡略化し、高速で調理できるようになっている。
商品提供システムとして「英語: Made For You(MFYまたはM4U、メイド-フォー-ユー)」という、受注してから迅速に調理し、商品を完成させる新方式が導入された。全店導入時期はアメリカ合衆国が1999年、日本は2005年。
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商品提供システムとして「英語: Made For You(MFYまたはM4U、メイド-フォー-ユー)」という、受注してから迅速に調理し、商品を完成させる新方式が導入された。全店導入時期はアメリカ合衆国が1999年、日本は2005年。
その他「ダイレクトオペレーション」と称する、商品を作り置いて温蔵棚などに貯蔵し、受注後に取り出して販売する方式がある。作り置きはその時間帯の売り上げや客足などの予想を元に行うため、大半の場合は客を待たせず商品提供できる利点があった。味の劣化や、ハンバーガーを調理後10分で廃棄する社内規定で、予測誤りによる食品廃棄などの問題が発生し、環境問題などで批判される原因になった。Made For Youシステムでは、全ての顧客に出来立てを提供できるという利点もあり、売れ残りや食材の貯蔵をなくし、ハンバーガーを作るコストを下げた。当然ながら、このシステムでも受注分より多く作ってしまうことによる廃棄はあるが、総じて廃棄量は激減した。
消費者情報誌「コンシューマー・レポート」が、定期購読者のうち3万2405人の回答などを基に発表したところによると、マクドナルドのハンバーガーの味は、アメリカ合衆国の大手ハンバーガーチェーン全体の中で『最も不味い』という結果が出た。
ハンバーガーのビーフパティは牛肉を使用している。
地域によっては宗教上の観点から特定あるいは一切の肉類を食せない顧客向けに、鶏肉を使った「チキンマハラジャマック (Chicken Maharaja Mac)」「チキンマックカレーパン (Chicken McCurry Pan)」(インド、後述)、肉を一切使わないベジタリアン用のメニュー(Veg menu、後述)、ホキという深海魚やスケトウダラを使った「フィレオフィッシュ(FishMac)」(各国)など、食のタブーに配慮したメニューが用意されている。
日本における「てりやきマックバーガー」や2007年6月〜7月に発売されていた「メガてりやき」、2007年7月から発売された「マックポーク」に使われているパティはポークで、マクドナルドでは豚肉の使用を明記している。
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日本における「てりやきマックバーガー」や2007年6月〜7月に発売されていた「メガてりやき」、2007年7月から発売された「マックポーク」に使われているパティはポークで、マクドナルドでは豚肉の使用を明記している。
日本における「チキンナゲット」は以前約2割を米国OSIグループの傘下である 中国食肉加工会社の「上海福喜食品」から仕入れていたが、使用期限を半月過ぎた鶏肉を使用していたことが発覚し、2014年7月22日に該当商品の販売が停止した。
ドライブスルーは日本国外で「マックドライブ」と呼称される。利用手順は車両をメニューが掲示されたマイク前に移動し注文する。この際店員から支払い金額が請求される。
通常はマイク越しに店内にいるインカムを装着した店員に話し掛けることになるが、一部店舗では休日のピーク時を中心に、移動型のレジを伴った店員に直接話し掛ける状況もある。この場合もレジは有線で店内のシステムに直結しているため店内のMade For Youシステムへも注文が直接伝わる。WOT(Wireless OrderTaker, ワイヤレスオーダーテイカー)と称する小型のタッチパネル端末で受注することもある。WOTはほとんどの場合コーポレートカラーである赤色の肩掛けケースに入れられている。WOTは注文を無線方式でキッチンへ伝達するため混雑時に店内で用いられることがある。この場合、決済やレシート発行はカウンターのレジで行う。導入極初期はテレビ画面に映る店員に向かって注文する形だったが、その後テレビは撤去されてメニュー板のみになっていた。近年の店舗ではマイクの下に注文を表示するディスプレイが導入されている。
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その後順路に沿って車両を進めると商品受け渡し口がある。まず代金を支払い、袋などに入った商品を受け取る。一部の古い店舗で見られる受け渡し口手前の使用されていない窓口もしくはその跡は、かつて代金の支払いと商品の受け渡しを別々の窓口で行っていた名残である。現在もこの形態を採る店舗も存在し、休日のピーク時のみ支払いと受け渡しが異なる店舗も存在する。近年に新規開店した店でも、ピーク時以外でこの方式が採用されている場合もある。雨が多い地域では商品を濡らさないために配慮されており、日本の店舗では受け渡し口に通常屋根がある。マックカフェバイバリスタ取扱店舗かつマックカフェドライブスルー対応店舗では、代金支払い、ハンバーガーなどの通常商品受取、マックカフェ商品専用受取の計3か所受け渡し口がある店舗も存在する。商品を受け取った後に車両を進めると公道へ出る。
購入商品が多いなど受け渡しまでに時間を要する際、ドライブスルー進行レーンから外れた待機場所で待たされる。多くの場合、店員が商品を車両まで運搬する。
ドライブスルーは主に普通乗用車などを対象としているが、オートバイや自転車など二輪車両での利用は、商品受け取り後の走行や自動車による追突など安全上の理由で、店舗によっては断られる場合もある。トレーラーやトラックの場合車両限界などで利用できない場合もあるが、これらに配慮したドライブスルー設置店舗も幹線道路沿線に見られ、送迎や路線などバスでの利用もある。
店内で食べる場合でもレジで代金を支払った客がその場で商品を載せたトレイを受け取り、そこから席まで客が自分でトレイを運ぶセルフサービスである。店内で購入した商品を持ち帰ることも可能である。2019年頃からテーブルデリバリーと称するサービスを実施する店舗も存在し、代金支払い後店員がトレーに乗せた商品をテーブルまで届ける場合もある。
喫食後はトレイ上の物をすべてゴミ箱へ入れるため食器の回収と洗浄の必要がないが、必ず廃棄物が生ずることが批判された。現在、ほとんどの商品が紙包装だが、ストローなど多少のプラスチック素材もある。以前は発泡スチロール製容器が多用されたが、今はほとんど使われない。
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喫食後はトレイ上の物をすべてゴミ箱へ入れるため食器の回収と洗浄の必要がないが、必ず廃棄物が生ずることが批判された。現在、ほとんどの商品が紙包装だが、ストローなど多少のプラスチック素材もある。以前は発泡スチロール製容器が多用されたが、今はほとんど使われない。
マクドナルドでは店舗を船に見立て店員を「クルー (CREW)」と称する。ほとんどの店員はパートかアルバイトで、これを通常1名以上の「マネージャー (MGR)」と称する社員で統括する。1人の社員が統括する店舗が複数ある場合に不在が多くなるため、店員の出勤時間帯配置などの管理業務をパートやアルバイトの立場で併せて行う「スウィング・マネージャー (SW-MGR)」と称する階級がある。他にクルーの教育などを担当する「クルートレーナー (CREW TRAINER)」などがある。通常は年中無休だが、インストア型と称されるショッピングモールなどに入る店舗は休業日の設定もある。
日本の店舗形態は通常(トラディショナル)店舗とサテライト店舗に分かれる。
サテライト店舗は厨房が狭く以前はメニューも限定だったが、低支出の出店が可能で1990年代に数多く開店した。サテライト店舗は必ずしも母店舗となるトラディショナル店舗を持つことはなく基本的に単独経営である。
近隣店舗間で、賞味期限や仕入れの過不足などの理由で、食品移動や小銭の両替も行われている。
近隣店舗といえど、店長の上職であるOC(Operating Consultant, オペレーティングコンサルタント)は近隣店を兼務しないので、各店舗の社員個人による異動元ないし同店勤務人の異動先への「お願い」型式で成立するのが普通である。
マクドナルドの看板は赤い背景色に黄色の文字であるが、京都市などの一部店舗は、景観保護条例による規制で、背景色が茶色などである。東京都豊島区の巣鴨店では、英語由来の語に不馴れな高齢客が多く、ポテト→おいも、チキン→とりにく、ドリンクのS・M・L→のみものの小・中・大など一部を日本語表記している。2007年から地域別価格制度が導入されたが、2015年に実質上廃止される。
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マクドナルドの看板は赤い背景色に黄色の文字であるが、京都市などの一部店舗は、景観保護条例による規制で、背景色が茶色などである。東京都豊島区の巣鴨店では、英語由来の語に不馴れな高齢客が多く、ポテト→おいも、チキン→とりにく、ドリンクのS・M・L→のみものの小・中・大など一部を日本語表記している。2007年から地域別価格制度が導入されたが、2015年に実質上廃止される。
21世紀になってからマクドナルドの店舗イメージが変化している。旧来型店舗イメージは赤い背景色に黄色い文字の看板がもたらす印象のアメリカンテイストを取り入れたデザインで、内壁はシンプルな白地を用い、小物や内装はところどころに赤や青の原色系を塗り込んだプラスチックとビニールが主材で、ある種のチープインテリアを目指していた。赤色の内装は落ち着きを失わせ客の回転を早める効果も兼ねていた。
2006年以降に営業時間の延長を試みて24時間営業店舗が増加したが、採算性やクルーの確保困難などにより再度24時間営業を廃止する店舗が増えた。
集客目的で、2000年代後半から数社のWi-Fiスポットを提供し、電源サービスコンセントを設ける店舗もある。
2018年からハッピーセットのおもちゃを全国の店舗で回収し、店内で使用するトレイにリサイクルする「おもちゃリサイクルプロジェクト」を定期的に行っている。
なお、ハッピーセットは、1979年よりアメリカでHappy Meal(ハッピーミール)として販売されていたものを、日本に合わせてローカライズしたもので、1987年にお子様ランチとして登場し、1995年にハッピーセットに改称された。
マクドナルド店舗の形態は3種に大別できる。
この他に特別なテーマをもった店舗が存在する。具体的にはロックンロールマクドナルド、1950年代風食堂など。郊外の新しい店舗にはマクドナルドプレイランドという大きな遊戯施設を持つものが多い。多くは屋内だが屋外のこともある。
黄色の「ゴールデンアーチ」と呼ばれるマクドナルドのマークは、マクドナルド店舗の位置を示すため高いポールの上に設置されることが多い。日本ではこれをサインポールと呼ぶ。このマークに使われている赤と黄色は、広告を活用する多くの会社がよく使う配色でもある。
出前が可能な店舗が一部に存在し、一度に所定金額以上注文の場合に適用される。
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黄色の「ゴールデンアーチ」と呼ばれるマクドナルドのマークは、マクドナルド店舗の位置を示すため高いポールの上に設置されることが多い。日本ではこれをサインポールと呼ぶ。このマークに使われている赤と黄色は、広告を活用する多くの会社がよく使う配色でもある。
出前が可能な店舗が一部に存在し、一度に所定金額以上注文の場合に適用される。
マクドナルド従業員の訓練施設として、トレーニングセンターとは別にハンバーガー大学が米国を含む7か国に存在する。トレーニングセンターは各国にある。
ハンバーガー大学はマクドナルド従業員教育用施設。イリノイ州オークブルックのシカゴ郊外に130,000平方フィート(12,000平方メートル)の広さで、米国のマクドナルド社が所有する。70,000人以上のマネージャーが「卒業」して30人程度の「教授」が所属する。「大学」は1961年にイリノイ州Elk Grove Villageに設立された。1960年代前半の初期学生は企業利益向上を目的として「卒業」までに化学、マーケティング、調理などのコースを確実に修了しなければならなかった。卒業生の"McDegree"にはマクドナルド商品の経済的な品質向上を研究する部門に就く者もいた。現在の規模は1クラス当たり平均200人以上。
日本マクドナルド本社(新宿アイランドタワー)38階にある。
2005年7月、ハンバーガー大学の Basic Shift Management Course (BSM)と、Advanced Shift Management Course(ASM)の2つのコースが、若年者就職基礎能力修得支援事業(Yes-Program)の認定を受けた。
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日本マクドナルド本社(新宿アイランドタワー)38階にある。
2005年7月、ハンバーガー大学の Basic Shift Management Course (BSM)と、Advanced Shift Management Course(ASM)の2つのコースが、若年者就職基礎能力修得支援事業(Yes-Program)の認定を受けた。
マクドナルドランドを舞台に、ロナルド(日本名:ドナルド・マクドナルド)、グリマス、バーディ、ハンバーグラー、フライガイという子供をターゲットにしたマスコットキャラクターがいる。中心となるキャラクターはロナルドである。これらはハッピーセットという子供向けセットに添付される玩具になったりCMに登場したり、過去にはファミコンやメガドライブのゲームソフトとして発売されたこともあった。これらのキャラクターの利用は全世界共通であり、多くの国では店舗前に人形が置かれている。「ゴミはゴミ箱へ」と啓発するロナルドを象ったピクトグラムが包装や容器、カップに描かれている。多国の言語を話すことができる設定となっており、日本語、オランダ語、タガログ語、ヒンディー語など31か国語がその対象である。「ロナルド・マクドナルド」の呼称は国により異なる場合がある。
日本では「ドナルド」と呼ばれ、フルネームは「ドナルド・マクドナルド」で、マクドナルドが姓にあたる。通常は単に「ドナルド」と呼ばれて姓の部分は略される。名称が類似するディズニーのドナルドダックや、きかんしゃトーマスのドナルドは無関係である。
日本では1990年代後半までドナルドが言葉を発するCMが多かったが、2000年ごろから無口となり「ドナルドはしゃべらないキャラクター」の印象となった。2004年のCM「ドナルドってしゃべるの?」で数年ぶりにドナルドが言葉を発した。前述の回答でドナルド自身は「おしゃべり好き」であった。
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日本では1990年代後半までドナルドが言葉を発するCMが多かったが、2000年ごろから無口となり「ドナルドはしゃべらないキャラクター」の印象となった。2004年のCM「ドナルドってしゃべるの?」で数年ぶりにドナルドが言葉を発した。前述の回答でドナルド自身は「おしゃべり好き」であった。
以前はビッグマックポリスというイメージキャラクターもいたが、現在は全世界で使用が中止されている。警官であるビッグマックポリスがドナルドなどを監視する印象を与えるためと説明がされている。「平和なマクドナルドランドに警察はいらない」とする説もある。社内では「子供から怖がられるキャラクター」として排除されたとも喧伝される。2014年1月から行われている「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプでスタンプが登場している。
ハンバーガーが大好きで、他人のハンバーガーを盗んでしまう悪役キャラ。初期の頃はドナルド同様、生身の人間が仮装した姿だった。黒いハット帽子に黒いアイマスク。そして囚人服を思わせる白黒のボーダー上下服。ハンバーガーを「取る」たびに、警官のビッグマックポリスに追い回された。ハンバーガーを盗み取る魔法も使える。CMの最後で必ずドナルドがドナルドマジックの魔法で彼を懲らしめた。平成以降に被り物キャラで一時的に復活していたが近年は見られなくなった。マクドナルドのウェブサイトでキッズコーナーにハンバーグラーのぬりえがある。2014年1月の「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプに登場している。
マックシェイクが大好きな紫のキャラクターで、近年はあまり姿が見られなくなったが、ハンバーグラーと同様、現在もキッズコーナーのぬりえや2014年のLINEスタンプで見られる。
朝マックをイメージした鳥のキャラクターで、明るく活発だが少しお転婆な性格である。21世紀以降は日本で見かけることは少なかったが、2014年1月の「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプに登場している。
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朝マックをイメージした鳥のキャラクターで、明るく活発だが少しお転婆な性格である。21世紀以降は日本で見かけることは少なかったが、2014年1月の「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプに登場している。
マックフライポテトのイメージキャラクターで、男児を「フライガイ」、女児を「フライガール」と呼び、「-キッズ」は彼らの総称である。ポンポンに足が生えたような姿をしている。めがねをかけた者やポニーテールまたはツインテールをなびかせた者等数体存在する。
創業当初は、マクドナルド兄弟が考案したマスコットキャラクターのスピーディー (Speedee) が運用されていた。ハンバーガーのような頭にコック帽をかぶった人物としてデザインされている。日本マクドナルドは具体的な誕生年は不明で、2021年5月現在でアメリカ合衆国のマクドナルドでは通常の商品のデザインとして用いられていないとしている。
日本のマクドナルドでキャンペーンの景品などのデザインに複数用いられている。1990年代にマグカップやグラスが登場し、2020年1月に福袋の景品としてグッズが用意された。2021年に日本マクドナルド創立50周年を記念して一部の商品の容器や包装にスピーディーがデザインされた。
この他にもMayor McCheeseなど、独自キャラクターを設定している地域もあり、アメリカではミックとマックという2人の少年もマスコットキャラに指定されている。日本の事例として、2009年8月 - 11月に期間限定発売された「NIPPON ALLSTARS」シリーズの宣伝キャラクターとして「Mr.ジェームス」を採用したことがあった。
マクドナルドはその事業規模と影響力の大きさから、しばしばアメリカの大量消費文化やアメリカ帝国による経済支配の象徴と考えられ、各国の民族主義派・保守派や、環境保護活動家、反グローバリズム運動家の攻撃目標になるケースが少なくない。
反米デモ活動ではケンタッキーフライドチキンやザ コカ・コーラ カンパニーと同様に店舗が襲撃される。特に湾岸戦争やイラク戦争などでアメリカが他国に侵攻する期間、中東の店舗は放火されたり破壊されたりした。イギリスでは、批判的な活動家がロンドンにある店舗を爆破し、逮捕された。
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反米デモ活動ではケンタッキーフライドチキンやザ コカ・コーラ カンパニーと同様に店舗が襲撃される。特に湾岸戦争やイラク戦争などでアメリカが他国に侵攻する期間、中東の店舗は放火されたり破壊されたりした。イギリスでは、批判的な活動家がロンドンにある店舗を爆破し、逮捕された。
イラク戦争時にロンドン、パリ、チューリッヒなどの店舗前で反米デモが激しく、メキシコシティでは「ハンバーガー1つがアメリカ軍の銃弾1発」という言葉が生まれた。大韓民国環境団体の会員らがマクドナルドの大型看板に登り「M」字の下に「AD WAR」と書かれた垂れ幕をかけて「MAD WAR(狂った戦争)」と叫ぶデモ活動をした。
1999年5月7日にコソボ紛争の「アライド・フォース作戦」でアメリカ空軍機が駐ユーゴスラビア中華人民共和国大使館を誤爆したときは、北京市でマクドナルド10店舗を中国人が襲撃した。
ファーストフードは手軽さと高カロリーから「肥満の主犯」とされた。マクドナルドは、可能な限り材料を当事国で調達して各国文化を考慮したメニューを採用している。肉類を避けるインド人のためにベジタブルバーガーを開発した。
2004年には、マクドナルドに代表されるファーストフード業界の健康破壊をテーマに「1か月間、3食マクドナルドのハンバーガーだけを食べて過ごしたらどうなるか」を監督が自ら試みたドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』が公開され、第77回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。2011年に550超の団体が肥満抑制のためにロナルド・マクドナルドの引退を要請している。
マクドナルドは、メニューに食材の生産地や食物アレルギー対応 を細かく明記している。シェフでイギリス人としては初めて、かつ歴代最年少でミシュランガイド三ツ星を獲得したマルコ・ピエール・ホワイトは「商品には一貫性があり、価格に対してその品質は優れている。アイルランド産など徹底した品質管理を行なっているにもかかわらず、この事実はあまり知られていない。」と意見している。
2011年に専門家らはマクドナルドに対して、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつける販売の中止、ロナルド・マクドナルドを引退させることを要請している。
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マクドナルド
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2011年に専門家らはマクドナルドに対して、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつける販売の中止、ロナルド・マクドナルドを引退させることを要請している。
児童肥満対策としてアメリカ・カリフォルニア州は2010年11月、「ハッピーミール」(日本では「ハッピーセット」)など高カロリーでおまけ付き子供用セットメニューの販売を禁じる条例を可決した。この条例はマクドナルドに限らず全てのファストフードショップに適用される。
マクドナルドの衛生管理は、生産地から店舗までのプロセスごとにHACCPなどの国際規格をベースに厳格な体制が採られている が、2018年、アメリカ・ニューヨーク州などを中心に汚染されたサラダを原因とするサイクロスポーラ症による500人以上の集団食中毒を発生させている。
マクドナルドはそのイメージと著作権、商標に関する訴訟をしばしば起こす。例として100年前からあるような小さな家族経営の店にも、マクドナルドは訴訟を起こしたり、スコットランドにある「マクドナルド」という名称の個人経営のカフェに対する名称使用停止の訴訟がある。
マクドナルドは、イギリスの歴史において最も裁判期間の長い民事裁判の記録を持っている。これはしばしば「マクドナルド名誉棄損裁判(英語版)」(McLibel trial) と呼ばれる。これは、ロンドン通りでマクドナルドを中傷するビラを配ったとして、マクドナルドが環境活動家2名を名誉毀損で告訴したもの。
2014年3月、アメリカのニューヨーク州、カリフォルニア州、ミシガン州で、無給待機の強制、制服購入費ならびに制服洗濯費などの名目による給与からの天引きによる減額された賃金は、法令で定める最低賃金を下回る違法賃金に当たるとして、従業員から提訴された。
1995年ごろから、マクドナルドのフランチャイズ店は、マクドナルドコーポレーションに不満を抱くようになった。マクドナルドがあまりにもあちこちにフランチャイズ権を与えたので、フランチャイズ店舗同士が競合しあうようになったのである。マクドナルドはこの頃から、フランチャイズ権を与える前に市場への影響調査を行うようになった。
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マクドナルド
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1995年ごろから、マクドナルドのフランチャイズ店は、マクドナルドコーポレーションに不満を抱くようになった。マクドナルドがあまりにもあちこちにフランチャイズ権を与えたので、フランチャイズ店舗同士が競合しあうようになったのである。マクドナルドはこの頃から、フランチャイズ権を与える前に市場への影響調査を行うようになった。
マクドナルドがイスラエル支援企業だとしてパレスチナ支持派やムスリムにたびたび批判されている。例えば、日本国内のパレスチナ支持派のパレスチナ情報センターは、マクドナルドの元会長兼CEOのジャック・M・グリーンバーグがシカゴのアメリカン・イスラエル商工会議所の名誉会長であることや、マクドナルドがイスラエルを支援する「Jewish United Fund (ユダヤ人基金)」 及び「Jewish Federation (ユダヤ人協会)」の主要な企業パートナーであることを批判している。
2008年から2009年に行われたイスラエルのガザ紛争では、インドやマレーシアのムスリムグループによりマクドナルドを含んだ「イスラエル支援企業」に対して不買運動が呼びかけられ、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相も国内のマクドナルドの社員に辞職を呼びかけた。フランスのパリでは抗議者がマクドナルド店舗の窓を破壊した。この事件でも見られるように「イスラエル支援企業」として、ザ コカ・コーラ カンパニーやスターバックス、H&Mなどもマクドナルドと同時に批判される場合が多い。
マクドナルドは、1976年以降近代オリンピックのスポンサー企業を務め、最高位スポンサーシップである「TOPパートナー」での協賛を続けていた。
選手村の食堂にも進出し、「世界のどこであろうと同じ物を食べられるのが長所」と称している。札幌オリンピックでは、女子スケートのジャネット・リンがホームシックになり「それならアメリカの味を」と、飛行機でハンバーガーを届けている。
2017年6月、2020年までの契約を3年前倒しTOPから撤退すると発表した。2018年平昌オリンピックは韓国国内のスポンサー契約のみ継続した。
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マクドナルド
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選手村の食堂にも進出し、「世界のどこであろうと同じ物を食べられるのが長所」と称している。札幌オリンピックでは、女子スケートのジャネット・リンがホームシックになり「それならアメリカの味を」と、飛行機でハンバーガーを届けている。
2017年6月、2020年までの契約を3年前倒しTOPから撤退すると発表した。2018年平昌オリンピックは韓国国内のスポンサー契約のみ継続した。
マクドナルドのハンバーガーチェーンは世界展開したことで世界で広く認知されるようになり、マイクロソフト社製品やアップル社のiPhoneやgoogle社製品などの製品・サービスと並んで『アメリカニゼーションの代表格』と世界各地で見なされることも多い。イスラーム圏などでは「アメリカ憎し」の感情が強いので、ややもするとマクドナルドも憎悪の対象ともなりがちで、「マクドナルドの店舗が(意図的に)襲撃された」というような事件も時折起きる。
「ビッグマック」の、ある国における価格は、その国の経済力を良く示す、と見抜いた学者がおり、それを指標と使う場合は「ビッグマック指数」という。
マクドナルドでは、ハンバーガーを「ハンバーガー」ではなく「サンドイッチ (Sandwich)」と呼ぶ。日本は株主優待券などにサンドイッチと表記してテレビCMや店舗看板などで「ハンバーガー」と表記したが、近年は多くで「 McDonald's」または「」と表記している。
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力 (物理学)
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物理学における力(、英: force)とは、物体の状態を変化させる原因となる作用であり、その作用の大きさを表す物理量である。特に質点の動力学においては、質点の運動状態を変化させる状態量のことをいう。広がりを持つ物体の場合は、運動状態とともにその形状を変化させる。
本項ではまず、古代の自然哲学における力の扱いから始め近世に確立された「ニュートン力学」や、古典物理学における力学、すなわち古典力学の発展といった歴史について述べる。
次に歴史から離れ、現在の一般的視点から古典力学における力について説明し、その後に古典力学と対置される量子力学について少し触れる。
最後に、力の概念について時折なされてきた、「形而上的である」といったような批判などについて、その重要さもあり、項を改めて扱う。
自然哲学において、力という概念は、何かに内在すると想定されている場合と、外から影響を及ぼすと想定されている場合がある。古代より思索が重ねられてきた。
プラトンは物質はプシュケーを持ち運動を引き起こすと考え、デュナミスという言葉に他者へ働きかける力と他者から何かを受け取る力という意味を持たせた。
アリストテレスは『自然学』という書を著したが、物質の本性を因とする自然な運動と、物質に外から強制的な力が働く運動を区別した。
6世紀のピロポノスは、物質そのものに力があると考えた。
アラビアの自然哲学者ら(アラビア科学)の中にはピロポノスの考えを継承する者もいた。
14世紀のビュリダンは、物自体に impetus(インペトゥス、いきおい)が込められているとして、それによって物の運動を説明した。これをインペトゥス理論と言う。
ベルギー出身のオランダ人工学者シモン・ステヴィン (Simon Stevin、1548 — 1620) は力の合成と分解を正しく扱った人物として有名である。1586年に出版した著書 "De Beghinselen Der Weeghconst " の中でステヴィンは斜面の問題について考察し、「ステヴィンの機械」と呼ばれる架空の永久機関が実際には動作しないことを示した。つまり、どのような斜面に対しても斜面の頂点において力の釣り合いが保たれるには力の平行四辺形の法則が成り立っていなければならないことを見出したのである。
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力 (物理学)
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力の合成と分解の規則は、ステヴィンが最初に発見したものではなく、それ以前にもそれ以後にも様々な状況や立場で論じられている。同時代の発見として有名なものとしてガリレオ・ガリレイの理論がある。ガリレオは斜面の問題がてこなどの他の機械の問題に置き換えられることを見出した。
その後、フランスの数学者、天文学者であるフィリップ・ド・ラ・イール (1640 — 1718) は数学的な形式を整え、力をベクトルとして表すようになった。
ルネ・デカルトは渦動説 (Cartesian Vortex) を唱え、「空間には隙間なく目に見えない何かが満ちており、物が移動すると渦が生じている 」とし、物体はエーテルの渦によって動かされていると説明した。
現代の力学に通じる考え方を体系化した人物として、しばしばアイザック・ニュートンが挙げられる。ニュートンはガリレオ・ガリレイの動力学も学んでいた。またデカルトの著書を読み、その渦動説についても知っていた(ただしこの渦動説の内容については批判的に見ていた)。
ニュートンは1665年から1666年にかけて数学や自然科学について多くの結果を得た。特に物体の運動について、力の平行四辺形の法則を発見している。この結果は後に『自然哲学の数学的諸原理』(プリンキピア、1687年刊)の中で運動の第2法則を用いて説明されている。
ニュートンはその著書『自然哲学の数学的諸原理』において、運動量 (quantity of motion) を物体の速度と質量 (quantity of matter) の積として定義し、運動の法則について述べている。ニュートンの運動の第2法則は「運動の変化は物体に与えられた力に比例し、その方向は与えられた力の向きに生じる 」というもので、これは現代的には以下のように定式化される。
ここで dp/dt は物体が持つ運動量 p の時間微分、F は物体にかかる力を表す。このニュートンの第2法則は、第1法則が成り立つ慣性系において成り立つ。
ニュートン自身は第2法則を微分を用いた形式では述べていない。運動の変化 (alteration of motion) を運動量の変化と解釈するなら、それは力積に相当する。
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力 (物理学)
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ここで dp/dt は物体が持つ運動量 p の時間微分、F は物体にかかる力を表す。このニュートンの第2法則は、第1法則が成り立つ慣性系において成り立つ。
ニュートン自身は第2法則を微分を用いた形式では述べていない。運動の変化 (alteration of motion) を運動量の変化と解釈するなら、それは力積に相当する。
熱力学が形成される19世紀前半までは、現在のエネルギーに相当する概念が力(羅: vis, 英: force, 独: Kraft)と呼ばれていた。 たとえば、ルドルフ・クラウジウスは1850年の論文 ,,Über die bewegende Kraft der Wärme "で熱力学第一法則について述べているが、Kraft という語を用いているし、その英訳でも Force が用いられている。
現在の運動エネルギーに対応する概念について、1676年から1689年の頃にゴットフリート・ライプニッツは vis viva と名付けた。これは当時の運動に関する保存則の議論の中で、保存量として提案されたものである。
1807年に、トマス・ヤングは vis viva にあたる概念をエネルギーと名付けたが、直ぐ様それが一般に用いられることはなかった。 力学の言葉として運動エネルギーやポテンシャル・エネルギーが定義されるのは1850年以降のことで、運動エネルギーは1850年頃にウィリアム・トムソンによって、位置エネルギーは1853年にウィリアム・ランキンによってそれぞれ定義されている。
古典力学における力(英語: force)の、最も初等的な定義は質量と加速度の積を力とするものである。
ここで F は物体に働く力、m は物体の質量、a は物体の加速度を表す。力は向きと大きさによって特徴づけられ、一般にはベクトル量として表現される。この定義はニュートン力学における運動量の定義と運動の第2法則から導かれる。上述の F = ma はしばしばニュートンの運動方程式(あるいは短縮して運動方程式)と呼ばれる。
一般に力は運動の第2法則を満たし、物体に働く力の総和(合力)は運動量の時間変化に等しい。
ここで F は物体に働く力、p は物体の運動量、t は慣性系の時刻を表す。ニュートン力学において運動量は速度 v と慣性質量 m の積で表され、
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一般に力は運動の第2法則を満たし、物体に働く力の総和(合力)は運動量の時間変化に等しい。
ここで F は物体に働く力、p は物体の運動量、t は慣性系の時刻を表す。ニュートン力学において運動量は速度 v と慣性質量 m の積で表され、
また速度 v の時間微分は加速度 a であることから、物体の慣性質量は一定である場合について、次の関係が成り立つ。
以上は相対論を考えに入れない場合である。そのため実際には、慣性系から見た対象の(相対)速度が光速に近くなると良い近似ではなくなる。特殊相対性理論では慣性系の定義のほか、運動量の定義もまたニュートン力学と異なる。相対論的な粒子の運動量をニュートン力学に合わせて表現すると、運動量は以下のように修正される。
ここで c は光速であり、m は不変質量(静止質量)である。したがって、運動方程式は以下のようになる。
光速に対して速度の大きさ v が極めて小さければ、相対論的な運動量はニュートン力学における定義とほとんど一致する。たとえば音速は光速の 0.0001% 程度であり、地球上で起こる大抵の運動に関してはニュートン力学を適用することができる。
運動の第2法則は慣性系においてのみ成り立ち、慣性系は運動の第1法則によって定義される。一般に取り扱われる系が完全な意味で慣性系であることはなく、例えば地上の運動は少なからず地球の自転の影響を受けるが、自転によって生じる慣性力を運動方程式に加えることで、非慣性系の運動を慣性系の場合と同じように取り扱うことができる。
ニュートン力学では、運動の第3法則が成り立つ。運動の第3法則は「作用反作用の法則」とも呼ばれ、作用(力)に対してその対となる反作用が必ず存在することを述べる。例えば物体Aから物体Bに及ぼされる力 FA → B が存在するとき、それを打ち消す力 FB → A が物体Bから物体Aへ及ぼされる。両者の和を考えるとこれは常に 0 に等しくなる。
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ニュートン力学では、運動の第3法則が成り立つ。運動の第3法則は「作用反作用の法則」とも呼ばれ、作用(力)に対してその対となる反作用が必ず存在することを述べる。例えば物体Aから物体Bに及ぼされる力 FA → B が存在するとき、それを打ち消す力 FB → A が物体Bから物体Aへ及ぼされる。両者の和を考えるとこれは常に 0 に等しくなる。
作用反作用の法則は慣性力に対しては成り立たず、この意味で慣性力は見かけの力 (fictitious force) であるということができる。慣性力は慣性系から非慣性系へ視点を移した際に現れる力であり、その反作用は存在しない。ニュートン力学においては慣性力を除くすべての力が物体間の相互作用として理解されるが、電磁場のような場との相互作用を含める場合、物体間だけで相互作用が閉じるという前提は破綻し、その結果として上述の作用反作用の法則が成り立たなくなる。そのため、電磁場を含む力学においては、作用反作用の法則は電磁気学に適合するように修正される。
作用反作用の法則はより一般化され運動量保存の法則として述べれられることがある。運動量保存則に則した立場では、力は物体間(あるいは物体と場の間)で行われる相互の運動量の授受を示すものと理解できる。ある時間に物体に及ぼされる力の総和と時間の積、すなわち力の時間に関する積分は、その時間における物体の運動量の変化量に等しい。この運動量の変化量は力積と呼ばれる。
古典力学で採用される運動の諸法則によって定められる範囲では、力の定義は速度や加速度のような運動学的な量に比べて抽象的である。より具体的な定義は個々の現象論によって与えられる。多くの場合、地球の重力やバネの復元力のように何らかのポテンシャルを最小化しようとする働きとして表される。
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古典力学で採用される運動の諸法則によって定められる範囲では、力の定義は速度や加速度のような運動学的な量に比べて抽象的である。より具体的な定義は個々の現象論によって与えられる。多くの場合、地球の重力やバネの復元力のように何らかのポテンシャルを最小化しようとする働きとして表される。
通常、力はそれが働く物体に付随するものとして考えられるため、力に個々の作用点を付して特別に注意を払うことはない。しかしながらより一般的に、ある点に対してその点を作用点とする力を与える関数を用いて運動を捉えることもできる。そのような関数は力の場 (field of force) とか力場と呼ばれる。力の場は、空間の点に対してその点に束縛されたベクトルを与える関数であり、このような関数はベクトル場と総称される。力の場は、文脈に応じていくつか異なる定義が与えられる。一つの定義では、単位質量の試験物体に加えられる力を与える場をいい、別の定義では単にある物体に働く力を与える場とされる。前者の定義では、何らかの単位系で質量が 1 となる物体に働く力を与える。従ってその次元は 力/質量 となる。後者の定義は前者の場 F(·) に適当な質量 m を乗じた場 mF(·) に相当する。この場合、ある点 x で物体に働く力は mF(x) と表される。具体的な力の場は何らかのポテンシャルによって与えられる。例として、重力ポテンシャルや電磁ポテンシャルなどが挙げられる。
力は文脈によって、相互作用 (interaction)、作用 (action) などとも呼ばれる。ただし、相互作用は(本質的には多体間の)ポテンシャルを指すこともあり、また作用は解析力学においては力と異なる概念として定義されている。
力の量の次元は MLT([質量]×[長さ]×[時間])である。力の次元が他の量の次元によって組み立てられることは、ニュートン力学において力 F が質量 m と加速度 a の積として与えられること、
加速度 a が、加減速される時間に対する速度 v の変化の割合、すなわち速度の時間微分として定義されること、
速度 v もまた、運動する時間に対する位置 x の変化の割合として定義されること、
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力の量の次元は MLT([質量]×[長さ]×[時間])である。力の次元が他の量の次元によって組み立てられることは、ニュートン力学において力 F が質量 m と加速度 a の積として与えられること、
加速度 a が、加減速される時間に対する速度 v の変化の割合、すなわち速度の時間微分として定義されること、
速度 v もまた、運動する時間に対する位置 x の変化の割合として定義されること、
から導かれる。位置、あるいは変位は基準点に対する距離を測ることによって決定でき、位置の変化量 dx は長さの次元 (L) を持つ。速度は位置の変化量 dx と時間 dt の比なので、次元は長さ (L) に時間 (T) の逆数を乗じた LT となる。加速度についても同様の手続きから量の次元が定まり、加速度の量の次元は LT である。力は加速度に質量を乗じたものなので、量の次元も加速度の量の次元に質量の次元 (M) を掛けた MLT となる。
力の単位もまた、それぞれの基本量に対応する基本単位から組み立てられる。国際量体系では基本量として質量、時間、長さを採り、国際単位系では国際量体系に対応して質量の単位をキログラム (kg)、時間の単位を秒 (s)、長さの単位をメートル (m) としてこれらを基本単位としている。国際単位系に従えば、力の単位は kg·m·s と表すことができる。また国際単位系では、目的に応じて組立単位が定義されており、力の単位としてニュートン (N) が定められている。ニュートンなどの組立単位はすべて基本単位の代数操作によって定義されており、ニュートンの場合、N = kg·m·s と定義されている。
静力学では力は基本的な状態量になる。力を構成する要素は、力の大きさ (magnitude)、力の向き (direction)、作用線の方向、作用線の位置である。力が及ぼされる点を作用点(point of action) と呼ぶ。作用線 (line of action) とは作用点を通り、力の向きに対して平行な直線のことである。 また、力が2体力である場合には、力を及ぼすものと力が及ぼされるものとの組を考えることができる。すべての力が2体力であるなら、それぞれの力は互いに独立であり、物体にかかる正味の力 (net force) はそれぞれの独立な力の単純な和として表される。
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力 (物理学)
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たとえば、物体 A に物体 B, C が力を及ぼしている場合、物体 A に働く正味の力は、
と分解することができる。ここで F A は物体 A に働く正味の力、F B → A, F C → A はそれぞれ物体 B, C が物体 A に及ぼしている力を表す。このことは A に力を及ぼす物体が増えても同様に成り立つ。
解析力学における力は、ニュートン力学の定義と異なり、オイラー=ラグランジュ方程式を通じて一般化運動量 (generalized momentum) の時間微分に等しくなる関数として与えられる。一般化運動量の時間微分という意味での力は、一般化力 (generalized force) あるいは広義の力と呼ばれ、ニュートン力学における力とは区別される。
一般化運動量はラグランジアンの一般化速度による偏微分として定義される。一般化運動量を P、ラグランジアンを L、一般化座標の組を q、一般化速度の組を ·q と表せば、一般化運動量は以下のように定義される。
オイラー=ラグランジュ方程式
を一般化運動量 P で書き換えると、以下のように書ける。
上記のオイラー=ラグランジュ方程式の右辺から、一般化力 Ψ は次のように定義される。
オイラー=ラグランジュ方程式
とニュートンの運動方程式
と見比べれば、左辺の一般化力 Ψ は力に相当する量であることが分かる。
その物体の速度が変化しないとき、力が釣り合っていると言う。例えば、自動車が時速 40 km/h のまま直進しているとき、車体にかかる力は釣り合っている。この時、エンジン等によって動かされた車輪が加速しようとする力と車軸の摩擦や空気抵抗によって減速しようとする力が釣り合っている、と考えるのである。
力の合成とは、ある点に働く複数の力を 1 つの等価な力として表すことを言う。またその逆の操作を力の分解 (decomposition of force) と呼ぶ。合成された力のことを合力 (resultant force) という。 力はベクトルとして定義されているので、ベクトル空間における加法の規則に従い合成と分解を行うことができる。力と運動量がベクトルであることにより、運動方程式を任意の成分に分解することができる。この原理を運動の独立性 (independence of motions) という。
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力 (物理学)
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分解された力と元の力、あるいは合成される力とそれらの合力の関係を図形的に表すものとして、力の平行四辺形がしばしば用いられる。力の分解に関して、2 成分に分解された力は平行四辺形の辺をなし、その対角線は元の力となる。同様に、2つの力が同じ点に働くと、それらは平行四辺形の辺をなす。2つの力の合力は2つの力のなす平行四辺形の対角線として図示される。力の分解や合成を平行四辺形の組み合わせによって表すことができる、という法則を平行四辺形の法則 (parallelogram law) と呼ぶ。平行四辺形の法則はまた、ニュートンの第4法則 (Newton's fourth law) とか力の重畳原理 (superposition principle of force) とも呼ばれる。
連続体力学などの分野では、力は次の 2 つに分類される。
量子力学では、場の量子論により、宇宙における力の源は基本相互作用による、電磁相互作用・弱い相互作用・強い相互作用・重力相互作用の 4つに整理された。ただし、重力は古典論に属する一般相対性理論も関係し、また、重力の量子化(量子重力理論)は研究の途上である。一方で電磁相互作用と弱い相互作用とを統一的に記述する電弱統一理論はワインバーグ=サラム理論によって完成した。その次と言える強い相互作用の統一は大統一理論として研究中である。
その他、主な未解決の問題についての概観は標準模型を参照のこと。
(古典力学の)力は物理学の根幹にかかわるものであるが、力の定義づけは自明ではないともいわれる。アイザック・ニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』において力と質量について明確な定義を与えていない。現代的な視点では、ニュートン力学における力は運動の第2法則 F = ma によって定義されるものと解釈されるが、この解釈のもとでは、比例定数の慣性質量 m が未定義な量であるため、力と慣性質量の定義が独立しておらず、不満である。そのため、力と質量の定義を分離すべきという批判がなされている。
アメリカ航空宇宙局のサイトでは「自由物体の動きに変化を起こしたり、あるいは固定物体に応力を与える基となる agent(エージェント)」といった説明になっている。
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局在基底
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局在基底(きょくざいきてい Local basis, Localized basis)は、ある実空間領域に局在した基底を指す。特に、原子核を中心とした領域に局在する動径関数と球面調和関数の積を原子軌道と呼ぶ。原子軌道の線形結合で波動関数を表す方法はLCAO法と呼ばれる。局在基底関数にはスレーター型、ガウス型、数値型などがある。
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ラショウ
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ラショウ(Rasho)は、現代美術家、ゲームクリエーター、仮面ダンサー、漫画家。千葉県野田市出身。かつて有限会社としてのイタチョコシステムの立ち上げに資金不足により失敗したことがある。そのためなのかイタチョコシステムの代表戸締り役を自称している。
1984年、X1用ソフト『ボコスカウォーズ』で第一回アスキーソフトウェアコンテストのグランプリを受賞。その後、仮面劇の役者や自作の人形店の経営などを経て、1994年にソフトハウス「イタチョコシステム」を設立する。「ヘナチョコゲームセレクション」なる一連のゲームをマッキントッシュ上で発表。更に手びねりの人面模様の「ラショウカップ」などの多数のゲーム関連商品及びアート作品を発表。しかし、実情はたった1人で多種・少量の作品制作を行い、販売するという無理のあるプロジェクトのため、予定が遅れる事はしばしばある。
2014年までに7つのショップ(グッズショップ、カフェなど)を経営したが全て閉店している。 2016年に8番目の店として『イタゲーセン・チョコシス&テム』を神戸に開店。 ネット上でもイタチョコシステムのサイトを運営しているが、さまざまな事情により閉鎖・新設を繰り返している。アルバイト活動などにより本業から離れていることもある。
ゲーム作家、マンガ家としての活動のほか、自作の曲を仮面を着けて歌う「マスクドシャンソン」のライブや、仮面を着けて踊る「仮面ダンス」、前衛的な人形劇「イタチョコ浄瑠璃」(詳細は後述)などのステージ活動も行っている。
など
2008年より、「ニセ伝統芸能・イタチョコ浄瑠璃」と銘打ち、人形浄瑠璃にイタチョコ的解釈による逸脱を加えたオリジナルの人形芝居を上演している。脚本・音楽・演出・出演から人形や小道具の製作に至るまでの全てをラショウ自身が手懸ける。伴奏は数人の楽士による生演奏。
これまでの上演作品は次のとおり:
ステージ活動の一環として、音楽LIVEも行っている。楽曲は全て、作詞・作曲をラショウ自身が手懸ける。メンバーは固定によらず、ユニット形式を取る。伴奏は奏者による生演奏。
【主なユニット】
仮面装着による、既存のダンスメソッドを全く使用しない我流の完全即興ダンス。伴奏は主に自作曲の生演奏。
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量子化学的手法
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量子化学的手法(、英: Quantum chemical method)とは原子、分子の電子状態を求める手法。分子軌道法、配置間相互作用法(CI法)などがある。
この手法を用いた計算ソフトは幾つもある。最も有名なものに、Gaussian(2020年現在での最新のバージョンは、Gaussian16)という商用のプログラムが存在する。その他にもMolpro、登録が必要だが無料で利用できるGAMESS、半経験的分子軌道法のMOPACなどが挙げられる。
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Β-カロテン
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β-カロテン(ベータカロテン、ベータカロチン、β-carotene)は、植物に豊富に存在する赤橙色色素の一つ。両末端にβ環を持つ最も一般的なカロテンである。ビタミンAの前駆体(不活性型)である。テルペノイドの一つであり、水には溶けないが脂溶性は大きい。
分子構造はKarrerらによって推定された。自然界ではβ-カロテン-15,15'-モノオキシゲナーゼ(EC 1.14.99.36) の酵素反応を受ける。β-カロテノイドはゲラニルゲラニル二リン酸から生合成される。
ニンジン、ホウレンソウ他
がん抑制効果が期待されサプリメントなどで販売されていたが、喫煙者において肺がんのリスクが高まると報告されている。ただし健常者に対して発がん性が高まると示されたわけではない。また、100% all-trans型の合成サプリメントによる結果であり野菜等による実験結果ではない。
がんの発生率や死亡率との関連について、現時点ではポジティブな (有効性があるとする) 結果とネガティブな (有効性がないとする) 結果の両方が存在している。
この成分が含まれている小松菜やパプリカを油で炒めると吸収が高まり、しょうが入りのポン酢醤油を添えると代謝がよくなる。
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仮面ライダーアギト
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『仮面ライダーアギト』(かめんライダーアギト、欧文表記:MASKED RIDER AGITΩ)は、2001年1月28日から2002年1月27日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜8時から8時30分(JST)に全51話が放映された、東映制作の特撮テレビドラマ作品、および作中で主人公が変身するヒーローの名称。キャッチコピーは「目覚めろ、その魂」。
本作品の放送期間中より、番組の最後に「このドラマはフィクションです」とテロップ表記されるようになった。
仮面ライダー30周年記念番組であり、同時に平成仮面ライダーシリーズ第2作目として、シリーズの基礎を固めた作品でもある。第2作目ということで、作中には昭和仮面ライダーシリーズの第2作目である『仮面ライダーV3』のオマージュともいえる描写が存在する。
本作品では3人の仮面ライダーが当初から登場する。以前の作品にも複数の仮面ライダーが作品中に登場するケースはあったが、複数が同時に主役級で扱われた例はなく、この試みは以降のシリーズにも影響を与えている。『クウガ』同様、劇中で仮面ライダーという言葉が登場することはなかった。
作品中では「謎」という形で多くの伏線が提示され、それらを紐解く鍵を見つけると同時に、再び新たな謎が現れる形でストーリーが展開する。また、2話持ちであったとしても、1話目を引っ張りで終わらせるのはもちろんだが、「話を完結させない」というのが鉄則であったことから、2話目も引っ張りで終わらせて、次へつなげる形となっている。このスタイルは、以降のシリーズでも継承されていくことになる。一方で、アクション面においても前作よりもその比重が高く、様式美的な要素を取り入れるなど、エンターテイメント性を重視した作品に仕上がっている。白倉は公式ホームページで第46話が実質的な最終回だと語っており、メインライターである井上敏樹も「最終回のつもりで書いた」としている。
本作品は、未確認生命体第4号が未確認生命体を滅ぼしてから2年後を舞台としているが、前作『クウガ』の時間軸と本作品の時間軸は意図的に一致しないように制作されており、本作品はオンエアタイムと同様に2001年という設定となっている。また、未確認生命体という名称や仮面ライダーG3の外見以外に、前作を連想させる設定なども存在しない(詳しくは外部リンク・「時間軸の矛盾」についてを参照)。
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仮面ライダーアギト
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本作品は、未確認生命体第4号が未確認生命体を滅ぼしてから2年後を舞台としているが、前作『クウガ』の時間軸と本作品の時間軸は意図的に一致しないように制作されており、本作品はオンエアタイムと同様に2001年という設定となっている。また、未確認生命体という名称や仮面ライダーG3の外見以外に、前作を連想させる設定なども存在しない(詳しくは外部リンク・「時間軸の矛盾」についてを参照)。
前作におけるクウガの別称「未確認生命体第4号」は本作品でも使われているが、一方で「クウガ」や「グロンギ」という言葉やその姿は登場しない。プロデューサーの白倉伸一郎は、本作品の世界観は物語開始時点より2年前に『クウガ』のような出来事があったパラレルワールドとしている。クウガを共演させようというアイディアは企画中に存在していた。
アギト・ギルス・G3のデザインはいずれも『クウガ』のデザインを発展させたものである。
ストーリーコンセプトとしては、警察を重要な要素とすることや、怪人が人間を殺害する存在であることなどが受け継がれている。
“未確認生命体事件”の終息から2年の月日が流れたある日、沖縄県の与那国島海岸に人知を超えた謎の遺物・オーパーツが流れ着いた。
同時に各地において、人間には不可能な殺害方法を用いた猟奇的連続殺人事件が発生する。警視庁はこの事件の犯人を、かつての“未確認生命体”を超える新たなる脅威として「アンノウン」と命名し、未確認生命体対策班 (SAUL) に専属捜査を命じた。
この物語は3人の仮面ライダー、SAULに配属された若き特務刑事・氷川誠=G3、瀕死の重傷を克服した後に変容していく自らの肉体に恐怖を抱く大学生・葦原涼=ギルス、そして記憶喪失でありながらも本能の赴くままにアンノウンを倒していく家事手伝いの青年・津上翔一=アギト、の物語を交差させ、やがてひとつの巨大な流れへと昇華していく。
津上翔一については、アギトの津上翔一を通常表記、本来の津上翔一は太文字表記にて示す。
あかつき号事件での乗員・乗客たち。
本作は3人の仮面ライダーを主軸として描かれる群像劇である。
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仮面ライダーアギト
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津上翔一については、アギトの津上翔一を通常表記、本来の津上翔一は太文字表記にて示す。
あかつき号事件での乗員・乗客たち。
本作は3人の仮面ライダーを主軸として描かれる群像劇である。
劇中の登場人物は彼らを「仮面ライダー」と呼称することはないが、テレビスペシャル『新たなる変身』ではナレーションが「仮面ライダー」付きの名称で紹介しているほか、変身時のテロップでも「仮面ライダー」 と表記されている。また、『百獣戦隊ガオレンジャー』との合同企画による2枚組アルバム『百獣戦隊ガオレンジャーVS仮面ライダーアギト』のドラマパートでは、『ガオレンジャー』のテトムに「仮面ライダー」と呼ばれている。
アギトとは、人間が「光の力」によって与えられた「アギトの力」に覚醒することによって進化を遂げた姿である。
沢木哲也は「あかつき号」の船上で「光の力」と邂逅したことでアギトへの変身能力を得るが、水のエルの襲撃を受けて海中に落ち、記憶を失う。以後の彼は津上翔一を名乗り、自らと人々の居場所を守るために、アンノウンとの戦いに身を投じる。
アギトの力に目覚めた人物は、翔一ひとりだけではない。翔一の姉である沢木雪菜は、風谷伸幸教授の超能力実験を受けたことを契機に最初のアギトとなるが、その結果として教授を死に追いやってしまい、自らも命を絶った。また、記憶喪失直後の翔一の担当医となり、彼を立ち直らせた国枝東も、息子の広樹がアギトの力に耐えきれずに自害したことを明かしている。さらに翔一と同じレストランで働く岡村可奈もまた、アギトへと変貌しかけたため死を選ぼうとしたが、翔一の真摯な呼びかけに応えて思いとどまった。
仮面ライダーアギトの基本形態で、大地の力が宿る肉体そのものを武器とした格闘戦に長ける。
変身に際して、翔一はまず左腰のあたりで両手首を組み、次いで拳をつくりながら右腕を上げる。すると腰にオルタリングが出現する。両腕を広げて「変身!」と叫び、オルタリング両脇のスイッチを同時に押すと、賢者の石が輝いてオルタフォースを放ち、翔一の肉体をアギトへと変えるのである。第15話からは変身ポーズに変更が加えられており、高く上げた右腕を胸元に引き寄せて、息を吐きながら前へと伸ばしたときにオルタリングが出現するようになった。
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仮面ライダーアギト
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全身は黒い装甲皮膚アーマードスキンで包まれている。上半身の強化外骨格パワーシェルアーマーの胸や腹部は、金色のゴールドチェストとなっており、全身の強化筋肉を均等に配分する役目を担っている。胸部中央にあるワイズマン・モノリスは、全身にオルタフォースを効率よく供給し、循環させている。
肩部装甲ショルダーアームズガードの鋭い先端は、刃物として扱うことも可能である。下腕部を包む金色のアームブロックシールドは、アーマードスキンの10倍以上の硬度があり、格闘時に小型の盾として機能する。
赤い複眼コンパウンドアイズは厚さ5メートルの鋼鉄の壁も透視できるほか、暗闇で光を放って周囲を見渡せるスターライトモードを備えている。額のマスターズ・オーヴは賢者の石とほぼ同等の物質で構成されており、マシントルネイダーと意思の疎通を行える。
2本の角クロスホーンは感覚器官であるのと同時に、肉体の自壊を防ぐために余剰エネルギーを放出する機能を持っている。そのため最大限の力を振るうとき、クロスホーンは2本から6本に展開し、パンチやキックの威力がおよそ2倍に高まる。こうしたパワーの増幅が、グランドフォーム最大の特徴といえる。
変身ベルト・オルタリングの中央には賢者の石が埋め込まれおり、そこから発せられる発生するオルタフォースが、超人的な力の源泉である。通常時は翔一の体内に分子レベルで拡散しており、変身の意思を示すことで腰部に物質固形化される。
左腕に風の力が宿る、敏捷性に優れた形態。パワー面では他のフォームに比べると劣る。
変身に際しては、まずグランドフォームの状態でオルタリング左腰のスイッチを押す。するとオルタリング内のドラゴンズアイが輝き、賢者の石からストームハルバードが現れる。アギトがストームハルバードを手にすると、その姿が揺らいで体色が青く染まり、変身完了となる。なお、エキヌス・ファメリカーレ戦では津上翔一の姿からストームフォームへの直接変身を行っている。このときの変身ポーズはグランドフォームと同じであったが、オルタリングの賢者の石は最初から青く輝いていたため、変身するフォームは翔一の意思に基づいて決められるのだと考えられる。
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仮面ライダーアギト
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胸と腹部はドラゴンズアイの影響を受けて青いストームチェストに変化しており、走力とジャンプ力を強化する。風の力が宿る左肩のコバルトジェネレーターには、オルタフォースを蓄積するパワーゴールドが重なっている。なおフレイムフォームに比べると発生させるパワー量が少ないため、パワーゴールドの面積も小さくなっている。
体内に取り込まれた空気は、左腕ストームアームズで風エネルギーへと変換され、左拳サイクロンナックルは生成した風を意のままに操ることができる。
スピードに長け、特定のアンノウン相手に優位に戦えるストームフォームは、第2話から第39話までの間に合計11回も登場しており、アギトが最も頼りにしていたフォームだと言える。
右腕に炎の力が宿る、感覚が鋭敏となった形態。また、パワーにも優れるが、反面スピードでは他のフォームに比べると劣る。
変身に際しては、まずグランドフォームの状態でオルタリング右腰のスイッチを押す。するとオルタリング内のドラゴンズアイが輝き、賢者の石からフレイムセイバーが現れる。アギトがフレイムセイバーを手にすると、その姿が揺らいで体色が赤く染まり、変身完了となる。なお、フレイムフォームへのチェンジが終わった後にフレイムセイバーが出現することもある。
胸と腹部はドラゴンズアイの影響を受けて赤いフレイムチェストに変化している。炎の力が宿る右肩のクリムゾンジェネレーターには、オルタフォースを蓄積するパワーゴールドが重なっている。なおストームフォームに比べると発生させるパワー量が多いため、パワーゴールドの面積も大きくなっている。
右腕フレイムアームズでは7,000°Cもの熱が瞬時に作り出され、右拳バーニングナックルは生成した炎を意のままに操ることができる。
フレイムフォームへの変身は、複数のアンノウンを相手取る場面で行われることが多い。また、強いパワーを得る代わり敏捷性に劣る形態であるにもかかわらず、クロウロードのような素早い敵と戦うときにも選択されている。これはパワーで押すためではなく、研ぎ澄まされた感覚で相手を的確に捉えるためと考えられる。
同じくパワー重視の形態であるバーニングフォームへの変身能力を得て以降は、劇場版を除き、フレイムフォームになることはなくなった。
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仮面ライダーアギト
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同じくパワー重視の形態であるバーニングフォームへの変身能力を得て以降は、劇場版を除き、フレイムフォームになることはなくなった。
仮面ライダーギルスの攻撃を受けたショックにより、失われていた記憶を取り戻した翔一が変身可能となったフォーム。グランド・ストーム・フレイムの3フォームの最大能力を発揮し、ストームハルバードとフレイムセイバーを同時に扱える。
テレビシリーズには2度登場しているが、最初の変身はコルウス・クロッキオとの交戦中、偶発的に実現したものだった。フレイムフォームの姿でフレイムセイバーを振るっていたアギトがオルタリング左腰のボタンを押すと、左右のドラゴンズアイがそれぞれ赤と青の光を放ち、オルタフォースが全身を包んだ。そして賢者の石からストームハルバードが出現し、変身を完了した。
2度目の変身に際しては、グランドフォームの状態でオルタリングの左右のスイッチを同時に押し、まずフレイムフォームの姿となった。次いで賢者の石からストームハルバードを取り出してトリニティフォームとなり、最後にフレイムセイバーを出現させた。前回から変身に費やす時間が短縮され、ライダーシュートという大技も繰り出したが、代償として莫大な負荷に見舞われた翔一は再び記憶を喪失。以後、トリニティフォームへの変身を行うことはなかった。
胸部の強化外骨格パワーシェルアーマーは、グランドフォームと同じく金色に彩られている。フレイムフォームと同様、赤い右肩のクリムゾンジェネレーターに炎の力を宿しており、右腕フレイムアームズで7,000°Cに達する熱量を作り出し、右拳バーニングナックルで炎を操る。そしてストームフォームと同様、青い左肩のコバルトジェネレーターに風の力を宿し、取り込んだ空気を左腕ストームアームズで風エネルギーに変換して、左拳サイクロンナックルで操作するのである。
強敵と出会ったことで、アギトが怒りのエネルギーによりパワーアップを果たした形態。それまでのフォームでは外見上の相違点が腕の形状や体色に留まるのに対し、バーニングフォームは増大した筋肉で盛り上がった上半身を特徴とする。敏捷性こそグランドフォームから低下しているものの、強大なパワーを活かした肉弾戦を得意としており、特にパンチ力は全フォームで最大を誇る。
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仮面ライダーアギト
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強敵と出会ったことで、アギトが怒りのエネルギーによりパワーアップを果たした形態。それまでのフォームでは外見上の相違点が腕の形状や体色に留まるのに対し、バーニングフォームは増大した筋肉で盛り上がった上半身を特徴とする。敏捷性こそグランドフォームから低下しているものの、強大なパワーを活かした肉弾戦を得意としており、特にパンチ力は全フォームで最大を誇る。
変身に際して、津上翔一はまず両腕を正面に伸ばして手の先を重ねたのち、左右に広げる。次いで右手を腹の前に置き、伸ばしたままの左腕を正面に戻すと、オルタリングが出現する。最後に両腕を交差させて「変身!」と叫び、オルタリング両脇のスイッチを押すと、一瞬のうちに姿がバーニングフォームへと変わる。なお、グランドフォームからのチェンジも可能である。
胸部は赤い防具バーニングチェストに覆われているが、その真の役割は、ワイズマン・モノリス周辺に集中して燃えたぎる炎の力を抑制し、自壊を防ぐことにある。前腕部の黒い強化骨格アームアタックシールドからは、鋭い3枚の刃アームズカッターが生えている。両拳のバーニングアームは、炎の力を集中しているため常時高温となっている。
また、パンチを放つ際には体をしっかりと支える必要があるため、脚部も赤色化したバーニングレッグへと変わり、炎の力をみなぎらせている。
複眼コンパウンドアイズは黄色となり、赤く染まった頭部のクロスホーンは常時6本に開いている。
テレビスペシャルでバーニングフォームに変身した際は、ありあまる力を抑えきれずに暴走し、居合わせた恩人の国枝東に襲い掛かった挙句、最後は気絶してしまった。
太陽の光のエネルギーを取り込むことにより極限まで進化を遂げた、アギトの最終形態。人類の創造主である「闇の力」ですら、このフォームの出現を予測できなかった。パンチ力以外の能力が全フォーム中で最高に達しており、卓越したスピードと多様な技で敵を翻弄する。
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仮面ライダーアギト
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太陽の光のエネルギーを取り込むことにより極限まで進化を遂げた、アギトの最終形態。人類の創造主である「闇の力」ですら、このフォームの出現を予測できなかった。パンチ力以外の能力が全フォーム中で最高に達しており、卓越したスピードと多様な技で敵を翻弄する。
バーニングフォームの状態のアギトが呼吸を整えて太陽の光を浴びると、オルタリングの賢者の石が反応し、アームアタックシールドなど体の各部がひび割れて崩れる。そしてその下から新たな部位が出現し、変身完了となる。このようにバーニングフォームからの2段変身を行うのが通例だが、最終決戦に臨んだ際は津上翔一の姿で新規のポーズを取ってオルタリングを出現させ、両腕を交差させてからスイッチを叩くバーニングフォームと同じポーズへとつないで、直接変身を行った。
胸部は銀色の装甲パワーシェルアーマーに覆われている。胸の中央にはワイズマン・モノリスがあるが、グランドフォーム時の黒色から黄色に変化し、さらに紋様が浮かび上がっている。白い3枚の装甲板からなる下腕部の防具アームブロックシールドは、戦闘時に小型の盾として扱うことも可能である。
複眼コンパウンドアイズは黄色となり、赤く染まった頭部のクロスホーンは常時6本に開いている。
シャイニングフォームはアギトの最終進化形とされているが、最終決戦で必殺技をより強化して放ったことからわかる通り、さらなる進化の可能性を秘めているのである。
マシントルネイダーは、仮面ライダーアギトのスーパーバイク。津上翔一の愛車であるホンダVTRファイヤーストームが、オルタリングから放出されたオルタフォースを受けて変貌する。
車体は分子レベルで硬化したドラゴンズメイルに覆われ、赤と金に彩られている。ヘッドライト部分は障害物を感知するトルネイドアイとなり、厚さ20メートルまでの物体を透視して、得られた情報をアギトの脳へと伝達する。
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仮面ライダーアギト
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マシントルネイダーは、仮面ライダーアギトのスーパーバイク。津上翔一の愛車であるホンダVTRファイヤーストームが、オルタリングから放出されたオルタフォースを受けて変貌する。
車体は分子レベルで硬化したドラゴンズメイルに覆われ、赤と金に彩られている。ヘッドライト部分は障害物を感知するトルネイドアイとなり、厚さ20メートルまでの物体を透視して、得られた情報をアギトの脳へと伝達する。
前後輪のオルタホイールはオルタフォースが生成する力場によって回転しており、アギトの意思で回転数を直接操作できる。動力機関ではなくなったエンジンは、オルタフォースを車体に循環させるドラゴンハートへと変化している。また、補助的なエネルギーを補給するためにエアインテークから空気中の物質を取り込み、オルタフォースと混合する。その際にはオルタエアと呼ばれる廃棄物が生じるが、特に害のない物質であり、車体後方のオルタエアチャンバーマフラーから排出される。なお、通常時に使用していたガソリンはフュールタンクに備蓄されているので、マシントルネイダーの変形解除後も走行には支障ない。
かつて日本全国を震撼させた「未確認生命体」による連続大量殺人事件の再発を予期して、警視庁は未確認生命体対策班 (S.A.U.L.) を設立するとともに、その専用装備の開発に着手した。
最初に開発された専用装備の第1世代型、すなわちG1(ジーワン、GENERATION-1)は、既存の装甲車などを基盤とした物だった。未確認生命体第4号をモデルとした、人間が装着するタイプの装備だったという異説もあるが、定かではない。
続いてG1の発展形であるG2(ジーツー、GENERATION-2)が開発されたが、武装を充実させた代償として大型化したため、実用的とは言えなかった。狭小な都心部での運用を想定した場合、装甲車や建設用重機並みの巨大な機械では取り回しが利かなくなることが懸念されたため、G1とG2はいずれも廃案となってしまった。
より実用的なG3(ジースリー、GENERATION-3)の開発が急がれる中で転機となったのが、未確認生命体対策班にアドバイザーとして参加していた小沢澄子による「特殊強化装甲服」の提案だった。量産化が成った暁には、多数の警察官を即戦力として動員できるこの案は、他の試案と比較しても現実的なものと判断され、採用に至った。
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仮面ライダーアギト
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より実用的なG3(ジースリー、GENERATION-3)の開発が急がれる中で転機となったのが、未確認生命体対策班にアドバイザーとして参加していた小沢澄子による「特殊強化装甲服」の提案だった。量産化が成った暁には、多数の警察官を即戦力として動員できるこの案は、他の試案と比較しても現実的なものと判断され、採用に至った。
こうして完成したG3システムだが、新たに出現した人類への脅威である「アンノウン」が、それまで敵として想定していた未確認生命体よりも強力であったため、目立った活躍ができないままに破壊された。しかしその後、改良タイプであるG3-Xの投入により、多数のアンノウンを撃破できるようになった。なおG3-Xの同時期には、別系統の特殊強化装甲服であるV-1(ブイワン)も開発されていたが、演習中に破壊されたため廃案となっている。
小沢はG3をさらに発展させたG4(ジーフォー)の開発も進めていたが、装着員への負担が高すぎたために計画を中止。それを陸上自衛隊が独自に実用化させたことがあった。また、G3より性能は劣るものの誰にでも扱える簡易量産型のG3マイルドも開発されたが、プロトタイプが結果を残せなかったため、こちらの計画も中止に至っている。
アンノウンによる一連の事件の終結後には、量産型の特殊強化装甲服を用いるためのG5(ジーファイブ)ユニットが結成され、尾室隆弘の指揮のもとで多数の装着員が養成されているが、その詳細は明らかになっていない。
G3()システムは、警視庁と日本国内の企業体が協力して開発し、第3世代で初めて完成に至った「対未確認生命体戦闘用特殊強化外筋および外骨格」すなわち特殊強化装甲服。未確認生命体第4号をモデルとして設計されている。
G3の装着員は装甲で身を守りながら、常人の10倍の力を発揮できる。ただし試験型としての側面もあるため、専任の装着員のみが使用できるように調整されており、人員の変更を行う際は再度の微調整を必要とする。劇中では、未確認生命体対策班に所属する氷川誠が主な装着員を務めた。
実戦では格闘よりも各種の専用装備を駆使することが多いが、G3自体に武器は備わっていない。これは、武器を格納したガードチェイサーの随行を前提としているためである。
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仮面ライダーアギト
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実戦では格闘よりも各種の専用装備を駆使することが多いが、G3自体に武器は備わっていない。これは、武器を格納したガードチェイサーの随行を前提としているためである。
活動にあたっては、小沢澄子をリーダーとするチーム・G3ユニットの支援が必須となる。まず、Gトレーラーのコンテナに乗り込んだ装着員は、G3インナージャケットを着用する。次いでその上から胸部・腕部・脚部などの装甲ユニットを身に着けていくことになるが、装着員自身では着用できない部位もあるため、G3ユニット要員が補助を行う。腰にGバックルを据えたのち、頭部ユニットをセットすると、後頭部のシャッターが閉じて「変身」が完了する。介助がなければ装着できない仕様なのは、システムの単独使用を防ぐ意味合いもあると思われるが、戦闘中においてもGトレーラーからの指示や助言がG3の支えとなっている。
黒いG3インナージャケットは、特殊金属糸を編み上げて防弾シリコンでコーティングし、牛のオイルスキンで包んだもの。銀色の胸部装甲バリアントプロテクターは特殊ジュラルミン合金を何層も重ね合わせて造られており、パワージェネレーターを内蔵したコンバーターラングと一体になっている。また、左胸には桜の代紋のレリーフが施されており、G3システムが警視庁所属であることを示している。
脚部を強化させる装置PLSS(パワーレッグサスペンションシステム)は、日本メディカルサポート社が研究開発していた義足の技術を改良したもので、三重構造の青い外装レッグガードで強固に守られている。肩部や上腕部には特殊ジュラルミン製の青いアーマーパッドを装着。左腕には専用情報端末G-COMが組み込まれており、警視庁本部のライブラリーにアクセスして情報を閲覧できるほか、電子警察手帳としての役割も担う。
背面には無公害の燃料電池ゼロエミッション・フューエルバッテリーを搭載しており、電力の残量は腰のGバックルの赤いゲージランプに表示される。腰の左右にあるエナジーボリュームを操作すれば、一時的に電力をアップさせることも可能である。また、バックル上部には緊急用装甲排除のスイッチがある。
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背面には無公害の燃料電池ゼロエミッション・フューエルバッテリーを搭載しており、電力の残量は腰のGバックルの赤いゲージランプに表示される。腰の左右にあるエナジーボリュームを操作すれば、一時的に電力をアップさせることも可能である。また、バックル上部には緊急用装甲排除のスイッチがある。
赤い人工複眼MDSS(マルチダイレクトスコープシステム)には、超望遠・暗視・電子顕微鏡などの視覚機能が統合されている。左の頬にはマイクロカメラHDVCが設けられており、捉えた映像情報はG-COMを介してGトレーラーに送られる。額には光学式マーキング装置オプティクスサーチャーがあり、標的に向けて右耳部分のスイッチを押せば、対象の位置をGPSで測定できる。頭部に伸びる3本のアンテナのうち、左は人工衛星経由で現在位置をGトレーラーに送信するGPSロッド、中央の短いものは電子マーキングした標的の位置を把握するためのエクサマインドロッド、右はGトレーラーからの指示や警察無線を受信するためのインフォロッドである。
G3のパワーバランスは、それまで警察が戦ってきた未確認生命体を想定して設計されていたため、より強力な存在であるアンノウンが相手では力不足が目立った。そこで第4話のトータスロード戦では修理がてらにパワーアップが施され、初めてアンノウンを倒すことに成功している。
第9話では氷川に代わって北條透が装着員となり、一度はモリペス・オクティペスを倒す戦果を挙げた。しかし続く第10話で復活したモリペス・オクティペスには歯が立たず、北條は装備を脱ぎ捨てて逃走。以後は再び氷川が装着員となる。
第22話で仮面ライダーギルスの攻撃を受けたG3システムは破壊されてしまい、アンノウンとの戦いを後任のG3-Xに譲ることとなった。その後の第49, 50話では、修復されたG3を尾室隆弘が着用して、北條のG3-Xとともに仮面ライダーアギトの行く手を阻む形で登場している。
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第22話で仮面ライダーギルスの攻撃を受けたG3システムは破壊されてしまい、アンノウンとの戦いを後任のG3-Xに譲ることとなった。その後の第49, 50話では、修復されたG3を尾室隆弘が着用して、北條のG3-Xとともに仮面ライダーアギトの行く手を阻む形で登場している。
G3-X()は、プロトタイプとなるG3システムの戦闘データを基として新規に開発された、特殊装甲強化服の完成版。すべての能力が仮面ライダーG3を上回っている。また、当初からアンノウンとの対決を考慮しているため単独でも戦えるように武装しており、GM-01を右腿、ガードアクセラーを左腿、GK-06を左上腕部に携行している。こうした豊富な武器を使い分けるだけでなく、パンチやキックといった直接的な格闘能力も高い。
G3から引き続いて氷川誠が主な装着員を務めるが、新規に搭載されたオートフィット機能により、無改造で他の人員に装着させることも可能となっている。
さらに、装着員に理想的な攻撃方法を促すAI機能も組み込まれているが、当初はその精度があまりにも完璧であったために氷川がシステムと協調できず、暴走させてしまった。高村教授が開発した制御チップを埋め込み、AIの性能を敢えて落とすことにより、ようやく普通の人間でも扱えるようになった。
活動にあたって、Gトレーラーのコンテナに乗り込んだ装着員は、まずG3パワージャケット2を着用する。次いでその上から各部の装甲ユニットを身に着けていくことになるが、その際にはG3ユニット要員が補助を行う。頭部ユニットをセットし、後頭部のシャッターが閉じると、オートフィット機能が作動して装着員の体格に適合し、「変身」が完了する。
黒いG3パワージャケット2は、G3インナージャケットから硬度・耐熱・保温・保湿・通気性といった性能が向上している。青い胸部装甲パワーチェストはハイメタル成型による三重構造で、高出力小型ジェネレーターを内蔵したパワーコンバーターラングと一体になっている。パワーコンバーターラングからは、エネルギー循環用パイプを内蔵した銀色の固定具ジェネレーターバックルが伸び、背面へと続いている。
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黒いG3パワージャケット2は、G3インナージャケットから硬度・耐熱・保温・保湿・通気性といった性能が向上している。青い胸部装甲パワーチェストはハイメタル成型による三重構造で、高出力小型ジェネレーターを内蔵したパワーコンバーターラングと一体になっている。パワーコンバーターラングからは、エネルギー循環用パイプを内蔵した銀色の固定具ジェネレーターバックルが伸び、背面へと続いている。
脚部を強化する装置PLSS (Ver.2.0) のサーボモーター類はG3の倍以上に強化されており、外装もハイメタル製となっている。同様に肩部装甲パワーアーマーもハイメタルでできており、その強度は特殊ジュラルミン製パッドの約5倍に及ぶ。左腕の情報端末G-COM (Ver.2.0) はOSがバージョンアップされ、アクセス速度も向上している。
背面には、ジェネレーターバックルが接続されたバックパック・タートルシェルがあり、赤く彩られたゼロエミッション・フューエルバッテリーを装備している。このバッテリーは基本仕様こそG3の物と同じだが、蓄電容量が倍加している一方で、重量は1/3にまで軽量化が図られている。またバッテリーの下にはマウントスペースが設けられており、GX-05用エネルギーマガジンを2個取り付けられる。腰のGバックルはG3と同一だが、前述の通りバッテリーが強化されているため、残り電力を示すインジケーターの振り幅が調整されている。
人工複眼レッドアイザー (MDSS・Ver 2) の視認感度はG3の3倍となり、カバーレンズ部の強度も向上している。口元にはパーフェクターが設けられ、水中における酸素の生成や、火中における有毒ガスの分解と濾過を行い、装着者の呼吸を維持する。
第24話では、氷川に代わって津上翔一が装着員になり、ポタモトリゴン・ククルスを撃破してみせた。
第49,50話では北條透が装着員となり、尾室隆弘のG3とともに仮面ライダーアギトの活動の妨害を行った。しかし第51話で氷川が装着員の座を奪還し、仮面ライダーエクシードギルスとの連携で、風のエルとの最終決戦に勝利した。
度重なるアンノウンの出現に対抗するために発案された、大量生産用G3システムのテストスーツ。
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第49,50話では北條透が装着員となり、尾室隆弘のG3とともに仮面ライダーアギトの活動の妨害を行った。しかし第51話で氷川が装着員の座を奪還し、仮面ライダーエクシードギルスとの連携で、風のエルとの最終決戦に勝利した。
度重なるアンノウンの出現に対抗するために発案された、大量生産用G3システムのテストスーツ。
G3システムを基本としつつ、G3-Xシステムで導入されたオートフィット機能が搭載されているため、あらゆる装着員に対応している。ただし戦闘能力は、G3よりも低い。また、装着にあたって、G3やG3-Xのように補助を必要とするのかは不明である。
各種装甲の下に着用するG3マイルドジャケットは、G3インナージャケットと同様の造りになっている。銀色の胸部装甲パワーチェストは、G3-Xと同様にハイメタル成型の三重構造で強固に仕上げられている。両肩の青いアーマーパッドはG3と共通で、特殊ジュラルミン製。腰に巻かれたGバックルもG3と同一の装備で、バッテリー残量を表示するほか、両脇のエナジーボリュームを操作して電力を一時的に上げることが可能である。
背面に搭載された赤い無公害燃料電池ゼロ・エミッションフューエルバッテリーは、G3やG3-Xと互換性がある。人工複眼MDSS(マルチダイレクトスコープシステム)はG3と同様の装備で、超望遠や電子顕微鏡などの機能を備えている。
G3マイルドのテスト装着員募集要項には「経験・所属・資格は一切問いません」と記載されており、まさに「誰でもOK」という状況だった。結果として尾室隆弘が装着員となり、G3-Xとともにスカラベウス・フォルティスに立ち向かうが、パンチ一発で戦闘不能となる。しかしその後、G3-Xがバッテリー切れに追い込まれたのを知ると、渾身の力で再起。自らのバッテリーと交換することでG3-Xを支援し、戦線を立て直した。ただ、この戦いでG3マイルドが有意義な結果を残せなかったため、G3システムの量産化は中止された。
いずれの装備も、安全のためにGトレーラーから武器管制をコントロールされている。
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仮面ライダーアギト
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いずれの装備も、安全のためにGトレーラーから武器管制をコントロールされている。
V-1()システムは、仮面ライダーギルスによって破壊された仮面ライダーG3に代わる新装備として開発された、新型の特殊強化装甲服。G3システムの装着員から外された北條透が、復権を狙って発案したもので、装着員は北條自らが務める。開発陣には、小沢澄子の恩師にあたる高村光介教授を中心とする、人間工学・エネルギー工学の権威や精神科医など日本有数の人材が集っていた。
性能はG3を上回っているが、小沢が同時期に開発した仮面ライダーG3-Xに比べると劣る。外見はG3やG3-Xよりも機械的で、銀一色に彩られている。
実戦でアピス・メリトゥスを撃退する成果を挙げたV-1は、G3-Xと優劣を競うための合同演習でも警視庁幹部をうならせるほどの活躍を披露する。しかしマヌーバ中に、制御不能となって暴走したG3-Xの攻撃を受けて破壊されたため、開発プロジェクト自体もG3-Xの性能を知った高村が放棄したことにより、採用されずに終わった。
城北大学に在籍する水泳選手であった葦原涼が、交通事故による負傷の衝撃で「アギトの力」に覚醒し、変身を遂げた姿。身体能力は仮面ライダーアギトを上回っており、肉体の一部を変異させた武器を用いて戦う。また、前蹴りや回し蹴りなど、種類豊富な足技を多用する。
ギルスはアギトの亜種とされているが、詳細は不明である。涼の変身を目撃した「闇の力」は「アギト......いやギルス。珍しいな」とつぶやいており、種としてはアギトと同じだとみなしていた。
ギルスの肉体は不完全なものであり、変身するたびに涼は体への負担に苦しみ、老化現象にさいなまれた。しかし、後に風谷真魚の力を受けることでこの弱点は解消され、自在に変身できるようになった。
変身に際して、涼は顔の前で両腕を交差させたのち、手のひらを上に向けた形で両腕を下げる。次いで「変身!」と叫んでから跳躍すると、全身が光に包まれ、メタファクター中央の賢者の石から生体エネルギーが発せられる。そして生体装甲が身を覆うことで、変身完了となる。以上が最もオーソドックスな流れだが、変身シーンの初披露となる第6話では、涼の右隣にギルスの実像が浮かびあがることで、変身を遂げる演出だった。ほかにも跳躍の有無や手の動作の違いなどがあり、ギルスの変身ポーズは多彩であった。
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ギルスの全身は、ダイヤモンド並みの硬度がある濃緑色の生体装甲皮膚ミューテートスキンに覆われているが、この皮膚は不完全な存在のため、栄養素を求めて涼の体を蝕んでいる。また、胸部の生体装甲バイオチェストも、日々成長を続けているために涼の肉体を浸食している。
両腕にはライヴアームズ、両脚にはライヴレッグスと呼ばれる生命鎧が寄生しており、エネルギーを吸収する代わりにギルスの意思に応じて武器を生成する。ライヴアームズとライヴレッグスの管理は手足に埋め込まれた緑色のハンドリングオーヴが行っており、もしこの器官が破壊されると、腕や脚の制御が利かなくなってしまう。
赤い複眼デモンアイズは、暗闇でも昼間のように見渡すことができる。額には、賢者の石とほぼ同じ物質で構成された金色の第3の目ワイズマン・オーヴがあり、敵の弱点を瞬時に見抜くほか、閃光による目くらましや催眠波による他者の操作も可能である。口元には銀色の鋭い牙デモンズファングクラッシャーがあり、喉の奥からは超音波ギルスホーンを放って敵を撹乱する。
2本の角ギルスアントラーは感覚器官であるのと同時に、余剰エネルギーを体外に放出する役割も担っている。しかしギルスの胸には、仮面ライダーアギトと異なりワイズマン・モノリスがないため、自分の意思とは無関係にエネルギーの限界が訪れてしまう。その際のギルスアントラーは、萎縮して短くなる。
当初の涼はアンノウンに対する明確な敵愾心は持っておらず、場当たり的に戦っていたが、やがて「自らが人々を守る」と心を決め、強い意志のもとにアンノウンの脅威へと立ち向かうようになった。
アナザーアギトに敗れて生命の危機に瀕した葦原涼が、真島浩二の中で目覚めつつあった「アギトの力」を与えられたことで、極限まで進化した姿。全身の至るところから鋭いカギ爪が生えており、胸にはワイズマン・モノリスが出現。また、腕から生える触手のギルスフィーラーがなくなった代わり、背中から伸びるより強力な触手のギルススティンガーが加わっている。
劇場版での登場経緯はテレビシリーズと異なっており、戦闘中に右腕を切断されたギルスが、自らに備わった防御本能の高まりによって、腕を再生させながらエクシードギルスへと進化している。
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劇場版での登場経緯はテレビシリーズと異なっており、戦闘中に右腕を切断されたギルスが、自らに備わった防御本能の高まりによって、腕を再生させながらエクシードギルスへと進化している。
強化変身に際して、仮面ライダーギルスは顔の前で両腕を交差させたのち、手のひらを上に向けた形で両腕を広げながら、デモンズファングクラッシャーを開いて雄叫びを上げる。すると胸にワイズマン・モノリスが現れてフォースを放ち、体の各部から突起が生えていく。最後に額のギルスアントラーが伸びて、変身完了となる。なお、葦原涼の姿から直接エクシードギルスに変身することも可能である。
エクシードギルスの状態では、赤く変色したギルスクロウとギルスヒールクロウが常時伸びている。さらに余剰エネルギーによって両肩にはギルスショルダークロウ、両腕にはギルスアームクロウ、両膝にはギルスニークロウというカギ爪が新たに生成されている。
胸の中央に配置されたワイズマン・モノリスは、メタファクターが放つフォースを全身に効率よく供給し、循環させている。また、ワイズマン・モノリスから力を得て誕生した赤い生体装甲ギルスワームが胸から背中にかけて走り、ギルススティンガーを作り出す。
頭部のギルスアントラーは、元の2本に加えて中央部が伸びている。エクシードギルス時にギルスアントラーが萎縮することはないようである。
ギルスレイダーは、仮面ライダーギルスの専用バイク。葦原涼がギルスに変身すると同時に、涼の愛車であるホンダXR250がギルスの細胞と融合することによって変貌する。
半機械半生物のバイオマシンであるギルスレイダーは自らの意志を持っており、無人走行でギルスのもとに駆けつけることができる。
フロントカウルにある黄色のプロテクトフィールド発生レンズによって不可視の力場を生成し、障害物への突撃を行う。レンズの下に備わったギルスアイは、仮面ライダーギルスの複眼と同等の機能を持ち、視認した情報をギルスの脳へと伝達する。また、フロントカウルの左右にはデモンズクローが伸びており、毎秒250万回の振動波を放つことで、3メートル以内の物体を直接触れることなく切断する。
前後輪のフォースホイールはギルスの意思によって回転が制御されており、決してパンクすることはなく、80度の急斜面にも粘着して駆け上がることが可能である。
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前後輪のフォースホイールはギルスの意思によって回転が制御されており、決してパンクすることはなく、80度の急斜面にも粘着して駆け上がることが可能である。
車体前方に埋め込まれたギルス・ストーンが動力源となっている。車体後部の左右には、自己修復機能を司る黄色のゲノムストーンが備わっており、どちらか片方の石が残ってさえいれば、全壊状態からでも復元する。半壊状態であれば、36時間で車体の再生が完了する。
車体後方に伸びる2本のデモンズテールは、ギルスのメタファクターから発生した余剰エネルギーを放出する役割がある。
あかつき号の乗客だった外科医の木野薫が、船上で「光の力」を浴びたことにより「アギトの力」に覚醒して変身した姿。その戦闘能力は、仮面ライダーアギト シャイニングフォームに匹敵する。アナザーアギトにフォームチェンジ能力はなく、また専用武器も持たないが、持ち前の格闘能力だけでアギトやギルスを相手取って優位に戦闘を展開してみせた。G3-Xから奪ったGM-01を使用したのが、唯一の武器の使用例である。
変身に際しては、まず両腕を左右に広げ、次に拳を体の前で交差させる。すると賢者の石と、それを収めるアンクポイントが出現する。木野が「変身」と発声すると賢者の石が輝き、オルタフォースが体を包み込んで全身の筋肉や器官が強化され、変身完了となる。なお、バイクの運転中はポーズをとる必要はなく、「変身」と発声するだけでアナザーアギトに変貌する。
アナザーアギトは、エルロードの因子を受け、仮面ライダーアギトとは異なる進化を遂げている。全身を黒い生体装甲皮膚ミューテートスキンで覆い、胸部は濃緑色の強化外骨格バイオアーマーで守られている。胸の中央にはワイズマンモノリスがあり、アンクポイントから発生するオルタフォースを全身に効率よく供給し、循環させている。
手足から生えている感覚器官バイオクロウは、刺突や斬りつけに用いることも可能。左肩にはアギトマークが描かれている。背中に垂れるオレンジ色をした2枚のライヴウィングは、身体バランスを司るだけでなく、アナザーアギトの意思によって変形し、滑空翼ともなる。
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手足から生えている感覚器官バイオクロウは、刺突や斬りつけに用いることも可能。左肩にはアギトマークが描かれている。背中に垂れるオレンジ色をした2枚のライヴウィングは、身体バランスを司るだけでなく、アナザーアギトの意思によって変形し、滑空翼ともなる。
赤い複眼アギトアイズは、視界の広さや視認可能距離などで、常人をはるかに超えた能力を備える。額にあるマスターズ・オーヴは賢者の石とほぼ同等の物質で構成されており、ダークホッパーと意思の疎通を行える。V字型に伸びた角アギトホーンは、感覚器官であるのと同時に、余剰エネルギーを放出するための放力板でもある。口に生えた牙を覆い隠すクラッシャーは、噛みつき攻撃を行う際や、必殺技発動時に展開する。
木野が抱いていた「人々を救いたい」という志は「人々を救うのは自分だけでいい」という形に歪んでしまい、アギトやギルス、さらには「アギトの力」に目覚めようとしている人たちにまで襲撃をかけた。しかし衝突を繰り返すうちに、津上翔一や葦原涼の人となりを知っていき、次第に仲間意識が芽生え、彼らと共闘するようになった。
ダークホッパーは、アナザーアギトの専用バイク。木野薫が乗用しているバイクが、アナザーアギトへの変身に伴いアンクポイントから発せられるオルタフォースを受けて、変貌した姿である。
オフロード型バイクの形状をしているが、ギルスレイダーと同様に半ば機械、半ば生物であり、自らの意志で自律走行することもできる。
前後輪のフォースホイールにはアナザーアギトの細胞が取り込まれており、決してパンクすることはなく、80度の急斜面をも駆け上がる。フォースホイールは賢者の石の力によって直接回転しているので、元のエンジンは駆動装置ではなくなっているが、その代わりオルタフォースを一時的に蓄積して車体へと効率よく供給させるホッパーハートへと変化している。
フロントカウルのダークヘッドは、分子配列レベルで硬化している。二灯式プロジェクターヘッドライトのダークアイは、灯火装置であるのと同時にこのマシンの眼でもあり、厚さ15メートルの物質を透視して、得られた情報をアナザーアギトの脳へと伝達する機能がある。ダークアイの後ろには4枚の安定翼ホッパーウィングがあり、グライダー機能による空中滑走を可能としている。
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フロントカウルのダークヘッドは、分子配列レベルで硬化している。二灯式プロジェクターヘッドライトのダークアイは、灯火装置であるのと同時にこのマシンの眼でもあり、厚さ15メートルの物質を透視して、得られた情報をアナザーアギトの脳へと伝達する機能がある。ダークアイの後ろには4枚の安定翼ホッパーウィングがあり、グライダー機能による空中滑走を可能としている。
車体後部に伸びる2本のバランサー・ホッパーテールにはレーダー機能が備わっているほか、敵を撹乱するための煙幕を張ることもできる。
神(闇の力、オーヴァロード、テオス)に仕えるマラークと呼ばれる存在であり、地球上の動物を模した半獣半人の姿を持つ超越生命体。
種族ごとに「 -(一般用名称 / モチーフとなる動物の英語名)ロード(+正式名称 / ラテン語や古典ギリシア語での種族と特徴)」と呼称されており、種族的観念とそれに基づいた階級があるらしく、似た容姿で複数のアンノウンが同時に行動する際には、指揮官らしき存在クイーンロードが登場している。高位の怪人はエルロードと呼ばれる。劇中で各アンノウンの名前が呼ばれることはない。
「アンノウン」の名は警察が氷川誠からの報告を受けて、未確認生命体を超える新たなる敵、謎の存在として警察が命名した呼称であり、軍事用語で「国籍不明機」を意味する「unknown」に由来する(第2話)。
殺しや特殊能力を行う際には、左手で右手の甲を“闇の力”の文字の形に辿るという、殺しのサインを切る。対象を生きたまま樹の洞に詰めこんだり、さらには対象の体組織を別の物体に変えたりなど、人間には実行不可能な犯行から「不可能犯罪」と呼ばれる一方、同族ならば殺害方法は共通する。監視カメラなどでは磁場が発生し、歪んだ姿となるため、不可視となってしまう。
目的は神が恐れるアギトの殲滅であり、主にアギトの種を持ち、アギトになる可能性のある人間(超能力者)を血族ごとに殺し回っている(胎児も該当)。
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目的は神が恐れるアギトの殲滅であり、主にアギトの種を持ち、アギトになる可能性のある人間(超能力者)を血族ごとに殺し回っている(胎児も該当)。
一方で、神が人間を愛しているために、アギトの力を持たない人間を殺すことは極力禁じられており、ターゲットおよびその殺害を妨害する者(主に護衛している警察官など)以外の人間は襲うことはなく、第34話で水のエルがG3-X=氷川を圧倒して追いつめた際、「アギトではないから」という理由で止めを刺さずに終わっている。禁を破ったアンノウンは“闇の力”から制裁が下される。
能力の発動時や、ライダーの技を受けて爆死する直前に、天使の輪のような円盤状の発光体が頭上に出現する。また、各自の武器はそこから召喚して装備する。各個体共通して、同じベルトのバックル、羽を象った装飾品、背中には鳥獣系以外のアンノウンにも羽根が変化したような突起がある。
水・風・地の3体のアンノウンの上に君臨する高位のアンノウンで、闇の力に代わってアンノウンを指揮して超能力者の抹殺を行う。中盤以降に登場。書籍『MASKED RIDER AGITO ART WORKS』によれば、アギトに等しい存在である。下位のアンノウンよりも進化が進んでいるため、背の羽はより大型化しており、知能や能力が発達したことにより、人間の言語を理解し、話すこともできる。また、闇の力の体内で進化することも可能。貴族、様式、美意識のような風格、そしてライダーと共通する複眼を持つ。特に水のエルについてはあかつき号事件の張本人であり、何度もアギトたちを苦しめる。オープニングで登場したイコン画には、エルロードらしきものが全部で7体描かれている。その正体はテオス(闇の力)によって、古代に誕生した生命体・マラークで、7人存在し、そのうちの一人であるプロメス(光の力)は、マラークから人間を守るため、人間との間にネフェリム(アギト)という戦士を生み出した。
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メインキャストである賀集利樹、要潤、友井雄亮は、本作品と同時期に放送された『百獣戦隊ガオレンジャー』の出演者や『ウルトラマンコスモス』で主演した杉浦太陽らと共に、通常では特撮ヒーローを扱わないメディアでの露出の機会を増やしている。また、第12話から登場した沢木哲也役には、『超光戦士シャンゼリオン』黒岩省吾 / 暗黒騎士ガウザー役を演じた小川敦史を起用した。小川はその後も、仮面ライダーシリーズにゲスト出演している。
仮面ライダーアギトは、前年まで戦隊レッドを演じていた高岩成二が担当。高岩は本作品以降、『仮面ライダー響鬼』を除く平成仮面ライダーシリーズの主役仮面ライダーを演じている。仮面ライダーギルス役には、前年に『未来戦隊タイムレンジャー』でスーツアクターとしてデビューした押川善文が抜擢された。
前年より引き続き参加の白倉伸一郎が、本作品ではチーフプロデューサーとなり、以降『仮面ライダーディケイド』まで平成仮面ライダーシリーズに頻繁に関わることになった。また白倉やシリーズ構成である井上敏樹も含め、かつて東映が制作した『超光戦士シャンゼリオン』に参加していたスタッフが、本作品にも多数参加している。白倉も「本作品はシャンゼリオンのリベンジである」と、2009年発売『仮面ライダーマガジン』のインタビューで語っている。
クリーチャー(アンノウン)デザインには、東映特撮ヒーロー作品には『超新星フラッシュマン』以来15年ぶりの参加となるメカニックデザイナー・出渕裕を起用。さらに出渕を補佐する形で、彼の指名でイラストレーター・草彅琢仁が参加した。
本作品よりバイクなどの車両協力、ならびに平成仮面ライダーシリーズの番組スポンサーとして、本田技研工業が参加。番組中で流れるCMはすべて、平成仮面ライダーシリーズ限定で放映の二輪車のものである。本田の参加は、テレビ朝日プロデューサーの中嶋豪が個人的に同社のモータースポーツ部長と懇意にしていたことから実現したもので、中嶋は仕事ではなく個人的な協力であったと述べている。
また日本コロムビアが関与した最後の仮面ライダーシリーズ作品でもあり、次作『仮面ライダー龍騎』以降はエイベックスが音楽制作を担当している。
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また日本コロムビアが関与した最後の仮面ライダーシリーズ作品でもあり、次作『仮面ライダー龍騎』以降はエイベックスが音楽制作を担当している。
本作品以降、平成仮面ライダーシリーズ、および令和仮面ライダーの各作品では原則としてエンディングテーマが省略されている。これにより、出演者やスタッフなどのクレジットはすべてオープニングに集約され、省略によって稼がれた分は、ドラマ部分の放映時間として割り当てられるようになった。本来、戦闘場面などのシーンを盛り上げるためのテーマソングは挿入歌として扱われるべきものであるが、スタッフロールなどではエンディングテーマとして表記されている。
上記の通り厳密な意味でのエンディングテーマはないが、各話の終盤(主にバトルシーン)で使われている下記の挿入歌4曲がエンディングテーマ扱いとなっている。またシングル発売時に「2ndエンディング」と銘打たれた「One & Only」という曲もあったが、劇中では一度も使われることがなかった。実質の後期エンディングである「DEEP BREATH」は、シングルに「3rdエンディング」と記載されている。
この形式は一部の例外を除いて、以降のシリーズにも引き継がれている。本作品の挿入歌はすべて、劇中での使用を考慮したテレビサイズが制作されていたといい、このうち「Stranger in the dark」「MACHINE TORNADER」の2曲は、エンディングと同様に使用された。
劇伴は、前作に引き続き佐橋俊彦が担当。前作ではスーパー戦隊シリーズとの差別化からオーケストラ編成は避けていたが、本作品では日本コロムビアの本地大輔が必要性を感じ、オーケストラ編成が加えられた。
第1話と最終話(第51話)はオープニングが省略されており、第1話は次回予告がエンディングを兼ねた形式(予告編の映像にスタッフロールが被せられる)で、主題歌は使われていない。また最終話は本編のラスト部分がそのままエンディングになっており、主題歌には「仮面ライダーAGITO」が使われた。
全曲とも作中未使用。
本作品の企画は、『クウガ』のヒットにより、その後番組として2000年夏ごろから白倉伸一郎・武部直美・井上敏樹を中心に立ち上げられた。秋ごろには劇場版の検討も始められていた。
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全曲とも作中未使用。
本作品の企画は、『クウガ』のヒットにより、その後番組として2000年夏ごろから白倉伸一郎・武部直美・井上敏樹を中心に立ち上げられた。秋ごろには劇場版の検討も始められていた。
白倉による初期案は、「人間とモンスターがカードを使って契約する」という設定で、「主人公とヒロインが沖縄から出発し、2人で東京を目指すロードムービー」というものであったが、現実的には制作が難しいという理由で不採用となった。また主人公が記憶喪失であることは当初から決まっており、素性不明の主人公が警察から追われる展開になってしまうのを避けたのも、旅物語を廃案にした理由のひとつである。
次に10人ぐらいの仮面ライダーが登場する群像劇という案が出され、最終的に3人まで絞られ完成作品へと至った。人数が絞り込まれたのは、10通り以上のフォームチェンジが登場した前年の『クウガ』との差別化のためである。
本作品のタイトルを考えている際に、「仮面ライダーダイバ」という案もあったが、前作『クウガ』のスタッフが「敵のアジトが」という話を聞いたプロデューサーの白倉が、「仮面ライダーアジト」というタイトルを考えたが、それではあんまりということで「アギト」ということとなった。「アギト」は、日本語の古語で「顎門」を「あぎと」と読んだことに由来する。また、英字表記であるAGITOがラテン語において「覚醒」や「挑戦」を意味することにもちなんだものである。さらにAGITOは、聖書に存在する「Alpha(アルファ)に始まり、Omega(オメガ)に終わる」のフレーズを思わせる文字構成であることから、「最初で最後の作品」との意味合いが込められている。これにちなみ、本作品の欧文表記は「AGITO」ではなく「ΑGITΩ」(頭文字がアルファ、末尾がオメガ)となっている。
『仮面ライダークウガ』の後番組を制作するにあたって、プロデューサーに就任した白倉伸一郎は、1人が10形態に変化するクウガのフォームチェンジをそのまま踏襲すると、キャラクターにブレが生じてしまうだろうと判断した。そこで白倉は、ヒーローキャラクターを主人公・ライバル・敵役の3人に分担させることを発案し、それがやがて実際の作品の群像劇へと発展していった。
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『仮面ライダークウガ』の後番組を制作するにあたって、プロデューサーに就任した白倉伸一郎は、1人が10形態に変化するクウガのフォームチェンジをそのまま踏襲すると、キャラクターにブレが生じてしまうだろうと判断した。そこで白倉は、ヒーローキャラクターを主人公・ライバル・敵役の3人に分担させることを発案し、それがやがて実際の作品の群像劇へと発展していった。
本作品では、「人はみなヒーローになれる」しかし「ヒーローにならなくてもいい」という、一見すると矛盾しているような主題が語られる。そのため、最初からヒーローたりえるアギト、望まずしてヒーローにされたギルス、決して超人ヒーローにはなりえないG3の3人が設定され、彼らの関係性を通じて世界が描かれることとなった。
仮面ライダーG3については、当初は記号のような名前がいいということから「K5」などの案があったが、読売ジャイアンツの3番になぞらえて「G3」という名前となり、「Generation3」と理由づけされた。当初からパワーアップを前提としていたため、おとなしめにデザインされた。アギトやギルスと同じく、角(アンテナ)が伸びるという案も存在した。また、石森プロの飯田浩司によるとG3-Xの初期デザイン案は仮面ライダーXをモチーフとしており、デザイン変更後も仮面ライダーXの装着パーツである「レッドアイザー」と「パーフェクター」という名称がG3-Xの装着パーツの名称として採用されたという。
プロデューサーの白倉は葦原涼が仮面ライダーギルスに変身した理由は特にないとしており、雪菜や可奈のように潜在的に人がアギトになるものとしている。一方、メインライターの井上敏樹は漫画家・柴田ヨクサルとの対談の中で、ギルスのセッティングには苦労したと話しており、これに関連して「あかつき号」の設定を作ったものの、撮影にはフェリーが必要だったため、監督同士でだれが担当するかでもめたという。
また、G3ユニットと対立するエリート警部補・北條 透について、本作品のメインライターを担当した脚本家の井上敏樹は、本作品の登場人物の中で一番好きなキャラクターとして北條を挙げており、「北條透が何をするか」というのが脚本打ち合わせの大きなテーマだったといい、北條を主人公とした話を書くため、第18・19話が執筆された。
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また、G3ユニットと対立するエリート警部補・北條 透について、本作品のメインライターを担当した脚本家の井上敏樹は、本作品の登場人物の中で一番好きなキャラクターとして北條を挙げており、「北條透が何をするか」というのが脚本打ち合わせの大きなテーマだったといい、北條を主人公とした話を書くため、第18・19話が執筆された。
アナザーアギトは物語の流れの中で要請されたキャラクターであり、 番組制作現場においては当初定まった名称がなく、脚本上は「木野アギト」と表記されていた。劇中では「もう1人のアギト」と呼ばれ、アナザーアギトと呼称されることはない。アナザーアギトの変身者である木野薫は、当初よりアギトに変身する人物として想定されていたが、細かい設定は登場直前まで考えられておらず、名前も男女どちらでも通用するものにされた。
なお、登場人物の趣味や服装には演者の嗜好が反映されている例もあり、たとえばアギトに変身する津上翔一の髪形は、演者である賀集利樹の髪形がそのまま反映されている。加えて、翔一の衣装は撮影の都度賀集が衣装係とともに撮影所近くの店で調達してきたものであり、アウトドアブランドのフリースや、動きやすくて楽な服が選ばれたという。また、ヒロインであり翔一の理解者である風谷真魚の趣味やファッション、《G3ユニット》の一員である小沢澄子の好物も、同様に演者の趣味や嗜好に由来する。
敵陣営であるアンノウンは、ネーミングはラテン語や古典ギリシア語をベースとしているが、語呂を優先しているため、学名の二名法には従っておらず、ギリシア語をラテン語にも変えていないという。また、読みや文法も無視している。
仮面ライダーのデザインワークは、石森プロとプレックスが中心となって進行した。クウガのデザインから発展させたものを主人公のアギトに充て、そこにメカライダーと生物的ライダーを加えるという方向性が決められた。
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仮面ライダーのデザインワークは、石森プロとプレックスが中心となって進行した。クウガのデザインから発展させたものを主人公のアギトに充て、そこにメカライダーと生物的ライダーを加えるという方向性が決められた。
しかしアギトのデザインは、クウガにどの程度近づけ、またどの程度差別化を図るかの割合が決まらずに難航し、瞬間的なアイデアスケッチの数は100点を越えた。最終的にクウガよりも「角」と「顎」を鋭く力強くし、さらに「角に開閉ギミックを加える」というアイデアを導入することで、アギトのデザインは完成した。特に角の開閉ギミックは、クウガとの差別化が最もよくできた部分として、デザイナー一同も会心の手ごたえを感じていた。
アンノウンのうち陸上動物や昆虫、鳥類モチーフは出渕、水棲生物や爬虫類および胸の羽根飾りとバックルは草彅がデザインを担当している。
当初は天使や神の使徒のようなものをイメージしていたため、異次元の生物のようなラフを描いていたが、動物モチーフとなった。前作『クウガ』が蛮族のような野蛮な前史時代のイメージであったため、本作品では神話系にもっていくこととなった。だが、天使という設定が残ったため、出現時に頭上に天使の輪っかが現れる設定となった。背中の肩甲骨部分の小さな羽根の意匠は、骨が羽根になりかけている退化した天使の羽根の状態でデザインされており、「天使になりきっていない者」という意味合いを表現している。それに対してエルロードは大きめの羽をデザインしている。なお、鳥類モチーフのアンノウンは別に羽根が付いている。胸元の羽根飾りのようなアンノウンのマークは、初期案での「上位のロードと契約を交わして出現する」という設定から、共通の意匠として自分のサインのための羽根ペンとして想定されていた。
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太古から天使のような役割で生きていることを表現するため、総じて古代文明テイストの装飾となっている。衣装や装飾品は、『仮面ライダークウガ』のグロンギと同様に腕輪や足首の輪、足の編み上げ靴などの装飾物を付け、スーツのしわが寄りやすいグローブやブーツの接合部分を隠すという意図もあった。また、グロンギ同様、共通項としてベルト部分に細い前垂れのようなものを付けて前に置くことで目立たせ、直接的にシワの寄る部分を隠せていないが、見る人の意識を外らせている。ウソっぽくなることから毛をそのまま使うのではなく、チェーンを毛の代わりに使っている。
目元は『仮面ライダー』の初期ショッカー怪人のような人間の目が覗いているようなデザインを意識している。額には共通項としてOシグナルがある。アギトの名前の由来が「顎門」であり、創造主がロード怪人をベースに動物を作ったという設定があるため、生物のマスクを被った天使という解釈で、下顎は共通で人間のようなドクロの口周りをスケルトンのような感じで剥き出しにしており、例外として女性怪人は女性っぽさを出すため唇になっている。
予算がかかることから中盤からは飛ぶ怪人を避けている。また、夏場に放送されていた回では、海洋生物をモチーフとしたアンノウンが多く登場している。
物語終盤に登場する上位アンノウン・得るロードのうち、水のエルは立場を反映して品位や知性を感じるデザインとなっている。天使のイメージを内包しているが、宗教的な天使とは距離を取っている。一方、女性型である風のエルは美麗で高貴なイメージのデザインとなっている。また、地のエルは上位のロードのため、陸上生物の王様であるライオンがモチーフとなった。同じネコ科のモチーフであるジャガーロードが下僕という案もあったが、見送られた。
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アギトこと津上翔一役には、本作が俳優デビュー作となる賀集利樹がオーディションで起用された。賀集がマイナビニュースとのインタビューで語ったところによると、当時所属していた事務所の社長が『仮面ライダークウガ』を視聴しており、上京してきたばかりの賀集を「仮面ライダー」の次回作のオーディションに受けさせようと思っていたという。賀集はこの時の気持ちについて、絶対に役をとると意気込んだり、構えたりすることなく、素のままで臨んだことがキャラクターのイメージに合っていたのではないかと振り返っている。当初賀集は本作に仮面ライダーが3人出てくることを知らず、役が決まって東映撮影所へあいさつに行った際、仮面ライダーG3こと氷川誠役の要潤、そして仮面ライダーギルスこと葦原涼役の友井雄亮と会い、初めてそのことを知ったという。また、物語の中で一つの場面に変身前の3人がそろうことはほとんどないため、いつ、どのような形で3人が集まったりすれ違ったりするかは台本を読んでみないとわからないため、視聴者たちと同じ感覚で撮影に参加していたと賀集は振り返っている。番組の性質上、アクションシーンも一通り対応できるよう、撮影2カ月前からJAEの道場で訓練を積んでいたものの、変身前の翔一がアンノウンと闘う場面が少なく、むしろ料理や家庭菜園といった家庭的な場面が多いことから、賀集はマイナビニュースとのインタビューの中でエプロンの似合う仮面ライダーとしてかなり珍しがられたと話しており、それゆえに変身前後のギャップがついておもしろくなったのではないかと分析している。また、アギトに変身した後は掛け声くらいしかなかったため、アフレコでは苦労しなかったとも話している。一方、賀集は「過去の記憶を失っているが、あまり気にかけることなく生きている」という翔一の設定については考えるたびに演じるのが難しかったとマイナビニュースとのインタビューの中で話しており、その理由として記憶喪失にはどうしても重たいイメージが付きまとうため、どことなくくらい雰囲気を持たせようと考えて演じたところ、「記憶喪失であることを気にせず明るく演じてほしい」と言われ、キャラクターの性格と記憶喪失に接点を見いだせず、納得いかなかったという。やがて撮影が進むにつれ自分の中で吹っ切れたたといい、津上の居候先である美杉家の人々のアットホームな雰囲気に救いだされたと振り返っている。
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仮面ライダーアギト
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アギトのスーツアクターは、『忍者戦隊カクレンジャー』などに出演した高岩成二が務めた。高岩はマイナビニュースとのインタビューの中で、従来はデフォルメした演技をしていたが、本作の撮影現場では戦隊寄りとしてNGになることが多く、動きすぎるとも指摘を受けたため、試行錯誤の末に「動かない」芝居に切り替えたところ、OKをもらったと振り返っている。また、アギトのライダーキックは居合抜きをモチーフとしており、高岩は時代劇をやっているような感覚だったとマイナビニュースとのインタビューの中で振り返っている。
氷川誠役の要も本作が俳優としてのデビュー作だった。要は2020年のラジオ番組『Be Style』の中で過酷な撮影だったと振り返り、その様子を修行に例えている。共演者の賀集も、G3はセリフが多いから要が大変そうだったとマイナビニュースとのインタビューの中で話している。
要は撮影開始から半年後に行われた劇場版の舞台挨拶のために銀座を訪れた際、ファンから声をかけられたことがきっかけで、自分のしていたことがたくさんの人々の目に触れたことを実感したと『Be Style』の中で明かしている。
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仮面ライダーアギト
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要は撮影開始から半年後に行われた劇場版の舞台挨拶のために銀座を訪れた際、ファンから声をかけられたことがきっかけで、自分のしていたことがたくさんの人々の目に触れたことを実感したと『Be Style』の中で明かしている。
葦原涼役の友井雄亮もまた本作が役者として本格的なスタートを切った作品であり、スーツアクターの押川善文も本作が初めてのヒーロー番組の仕事だった。友井は2人の必死さがキャラクターにうまくリンクしたと「仮面ライダーフィギュアコレクション30」のインタビューの中で話しつつも、撮影が過酷だったとも話している。ギルスの最初の変身シーンの撮影では、演出として用意されたカラスが友井の両耳のピアスの輝きに反応したため、パニックのあまりどのように演技したのか覚えていないと話している。また、第28話において涼がギルスがシンクロして走って変身する場面は、2人が走る様子をレール上からカメラが並走する形で撮影が行われた。この際リテイクのたびに全力疾走を命じられており、2人がへとへとになってやっとOKが出た。この時の様子について、「今思えば、監督は本当に必死な俺の顔が撮りたかった。でも、当時はそれが全くわからなかった。[後略]」と振り返っている。なお、ギルスへの変身の副作用である老化現象の撮影時、初期のころは特殊メイクで表現していたが、その後引きの画を撮影する際には老化状態を表した手袋が使用されていた。 また、2009年の『仮面ライダーディケイド』には過去作品のキャラクターが大挙して登場しているが、この時点でギルスの撮影用スーツは著しく損傷していたため、採用を見送られた。
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仮面ライダーアギト
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ヒロインである風谷真魚役にはオーディションでモデルの秋山莉奈が起用された。秋山は2020年の『週刊プレイボーイ』とのインタビューの中で、高校受験前で休業すべきか悩む中、『美少女仮面ポワトリン』(1990年放送)へのあこがれからぜひ出たいと思っていたのでうれしかったと話している。秋山も本作が初めての俳優業だったためとにかく必死だったと話しつつも、キャラクターの基本的な設定は自分にぴったりだったため、日常シーンは等身大で演じることができたとも語っている。また、劇中では怪人に襲われるなどのアクションシーンもあり、とてもおびえた表情をしていたものの内心はすごく楽しく、戦う翔一たちを見ながら自分も変身して戦いたいと思ったとも話している。
前年の『クウガ』がHDTVカメラによる16:9のビスタサイズで制作されたことを受け、本作品でも画面サイズは16:9の画角が採用されている。ただし、『クウガ』で編集段階のSD画質への変換作業時にクオリティの劣化が起きたことを受けて、本作品は、16:9の横長画像を「横方向で圧縮した」4:3の画角で収録しそのままポスプロを行いマスター完成の段階で圧縮状態を戻し本来の16:9の画像にする「スクイーズ撮影」という手法が採用されている。この手法は後の『仮面ライダー剣』まで採用されることとなる。
各回にはタイトルはなく、本節にて明記されているものは、いずれも新聞のテレビ番組欄やテレビ番組情報誌、ならびにテレビ朝日公式ページにて表記されたものである。第28話は涼の回想という、作中の時系列とは外れるエピソードのため、上下に帯がないアスペクト比4:3で放送。各話終了時の演出は最後のワンシーンが四角形に囲まれるという、以降に比べると非常にシンプルなものになっている。四角形の角には「Α」「Ω」の文字が置かれ、さらに上部分にはアギトの紋章も表示される。
登場アンノウンの欄には、レギュラーである闇の力以外のアンノウンのみ記述。登場アンノウンの横の数字は登場話数を示す。
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仮面ライダーアギト
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登場アンノウンの欄には、レギュラーである闇の力以外のアンノウンのみ記述。登場アンノウンの横の数字は登場話数を示す。
本作は同時期に放送されていた『百獣戦隊ガオレンジャー』とともにイケメンヒーローブームをけん引した作品として認知されており、賀集本人も撮影の合間にトークショーを入れるなど過密なスケジュールだったことに加え、自分たちの待合室周辺にも人がたくさんいて驚いたと同時に人気を感じたとマイナビニュースとのインタビューの中で振り返っている。
玩具などの関連商品の売上は前作『クウガ』を下回っているが、視聴率は最高視聴率(13.9パーセント)・番組平均視聴率(11.7パーセント)ともに平成仮面ライダーシリーズの最高記録を出している。
また、劇中では登場人物の一人である小沢澄子が焼肉を食べるシーンが多く描かれ、これに対して放送当時、BSE問題で苦しんでいた全国食肉事業協同組合連合会から、本作品が表彰を受けた。
リンクの貼られている作品の詳細はリンク先を参照。
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農学
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農学(のうがく、英: agricultural science、または略称としてagriscience)は、農業・林業・水産業・畜産業などに関わる、応用的な学問。農産物の栽培・育種、生産技術の向上、生産物の加工技術などや、生産に関わる社会的な原理、環境の保全など、第一次産業に関わる幅広い事柄を研究し、産業の改良と発展を目指す。広義の自然科学に属し、化学、生物学、地学などを基礎とするが、社会科学も基盤の一部を成す。
ドイツでは三十年戦争による国土の荒廃からの回復後、人口と食糧需要の増加から18世紀末に農業の技術的・社会経済的改革運動が盛り上がりをみせた。
1727年、ウィルヘルム1世(Friedrich Wilhelm I)によってハレ大学とフランクフルト大学に初めて農業と官房学(Kameralwissenschaft)の講座が設立され、同世紀末までに多くの大学でもこのような講座が開かれた。
ゲッティンゲン大学官房学講座教授のベックマン(J.Beckmann)は、1769年に『ドイツ農業原理(Grundsatzeder deutschen Landwirtschaft)』を著し、農学体系を一般農学(Allgemeine Theil)と特殊農学(Besondere Theil)に分け、特殊農学に耕種、養畜、施肥、一般農学に農場、農業物と雇人を分類した。ベックマンの二分割の農業体系は、その後の農学者に決定的な影響を与えたが、ベックマンの著書では一般農学は僅かに述べているのみで農学を官房学から自立させるのに成功するには至らなかった。
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農学
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ドイツにおける近代農学の祖はテーヤ(A.D. Thaer)とされており、農学を官房学の体系から切り離して自立的学問として科学的に体系化した。テーヤは主著『合理的農業の原理』の最初の基礎論で、農業は動植物体の生産(またそれらの加工)によって収益(Gewinn)をあげることを目的とする一つの営業で、完全な農業とは出来るだけ高く持続的な収益を諸事情に応じて、その経営から引き出す農業であると「合理的農業の概念規定」を示した。テーヤにより、農業経営は家父学(Lehre von der Haushaltungskunst)の課題として扱われるにすぎなかった段階から、営業(Gewerb)として問われる段階に発展した。ただし、テーヤの経済論の大半は地力維持論(フムス説)を根幹としており、組織・管理論について経営管理能力を向上させるための農業教育の必要性を指摘しているが、具体的にはほとんど展開されていないという指摘がある。
19世紀のドイツでは農学が一つの体系を有する学問として成立しうると考えられるようになったが、テーヤの農学は農芸化学者が台頭した19世紀中葉の一時期影響力が薄れた。
農学史の通説ではテーヤ農学の批判の急先鋒をリービッヒ(Liebich)としている。ヨーロッパで進展した自然科学が農学の進展に与えた影響は大きく、その一つにリービッヒが植物の生長に、炭酸ガス、水、窒素、リン、カリが重要であることを発見したことも挙げられている。一方でリービッヒは自然科学的合理性を無視した掠奪耕(地力収奪耕)こそが、国家の物質的・政治的・精神的基盤を弱体化させるもので、人類の存亡にかかわる回避すべき問題とみていた。また、当時最も合理的と考えられていた輪栽式農法もリービッヒは掠奪耕にあたると考えており、地力の均衡が農学において大きな議論となった。
リービッヒの農学思想は自然科学的認識の正しさと好景気を背景に受け入れられる向きもあったが、徐々に批判も出始めて大不況期に入ると批判が決定的となって急速に忘れ去られ、以後は単に化学者として位置づけられるようになった。
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農学
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リービッヒの農学思想は自然科学的認識の正しさと好景気を背景に受け入れられる向きもあったが、徐々に批判も出始めて大不況期に入ると批判が決定的となって急速に忘れ去られ、以後は単に化学者として位置づけられるようになった。
その後、カント哲学の影響を強く受けたシュルツェ(F.G. Schultze)がドイツ農学の主流派でテーヤにつぐ第一人者と評されるようになった。十九世紀前半からドイツ各地に農業アカデミーが開校したが、イェーナ大学の正教授になっていたシュルツェは1826年にイェーナに農学校を創設した。イェーナの農学校は他の農学校とは異なり、大学と有機的に強い結びつきをもち、その後のドイツの農業教育制度に決定的影響を及ぼした。
イギリスはヨーロッパで最も農書が著された国とされ、18世紀から19世紀の農業革命期にイングランドで技術的側面の普及のために農書が必要とされていたことによる。農業革命による変化は、休閑の廃止、飼料作物の導入、農作物の組合せによる地力維持、家畜の舎飼との結合による穀草式農法、輪栽式農法などであり、中世における穀物の生産力が播種量の4倍だったが、18世紀には10倍に飛躍的に増加した。農作業の機械化はそれより遅く、19世紀の収穫作業の機械化に始まり、機械化が進んだのは20世紀初頭のことであった。
農業革命には新農法の導入による土地生産性の向上と、新農法を受け入れる農村社会の確立の2つが基本的要素になっているが、農書は新農法を普及させるための媒体となった。
イングランドの農書の歴史は、13世紀後半にウォルター・オブ・ヘンリー(Walter of Henley)が著した『農業論』に始まるといわれており、中世の農業生産技術の一端を知ることができる。
17世紀中頃には第1次の囲い込みが行われ、その個人有地で穀草式農法が普及しつつあったが、1652年にはブライス(W. Blith)がクローバーなどの作付けを奨励する『イングランドの進歩的改良者』を著している。
18世紀に入り、タル(Tull)が『馬耨農法』を著し、休閑無用説と飼料用カブの中耕除草を説き、輪栽式農法の時代が始まったといわれているが、中耕除草機は土性により使用することができなかったため普及せず、農作業の機械化は19世紀後半まで待たねばならなかった。
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農学
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18世紀に入り、タル(Tull)が『馬耨農法』を著し、休閑無用説と飼料用カブの中耕除草を説き、輪栽式農法の時代が始まったといわれているが、中耕除草機は土性により使用することができなかったため普及せず、農作業の機械化は19世紀後半まで待たねばならなかった。
18世紀後半から19世紀前半にかけて輪栽式農法が主にイングランド東部で普及したが、その提唱者の一人がアーサー・ヤングであり、資本主義的農業経営の萌芽がみられる。
19世紀、室内での科学実験からのアプローチが農業で信頼できるものになるには、圃場における検証実験の方法論が確立される必要があった。ドイツのリービッヒのもとに留学したことのあるイギリス人のギルバート(Gilbert,J. H.)は、ロザムステッド農事試験場で実験を行い、植物が大気中から窒素を獲得しているというリービッヒの説に反駁して窒素肥料の効果を実証した。
イギリス人のギルバート(Gilbert,J. H.)の実証実験やダラム大学のジョンストン(Johnston,J. F. W.)による試験の厳密性や反復の必要性の主張から、近代農学では科学実験の知見を圃場での観察を通じて検証するスタイルが確立した。
アメリカでは南北戦争後に国有地を付与された大学が設置されたが、農学部が関心を持たれるようになったのは、1880年代に農学部に農事試験場が整備され研究成果が蓄積するようになってからである。
1890年代には農学部が積極的に構外教育活動を行う農業拡張事業を行うようになり、大学に通うことのできない大多数の農民に知的資源を提供する場になった。
18世紀後半には農業改良に関心を持つ人々が集まって議論することが盛んになっており、アメリカ合衆国の独立後、これらは各地の農事協会に発展した。
農学界ではイギリスのギルバート(Gilbert,J. H.)やジョンストン(Johnston,J. F. W.) のもとで学んだ留学生が研究を進め、特にノートン(Norton,J. P.)やポーター(Porter,J. A)が所属するイェール大学は土壌分析など農芸化学で知られるようになった。
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農学
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農学界ではイギリスのギルバート(Gilbert,J. H.)やジョンストン(Johnston,J. F. W.) のもとで学んだ留学生が研究を進め、特にノートン(Norton,J. P.)やポーター(Porter,J. A)が所属するイェール大学は土壌分析など農芸化学で知られるようになった。
1853年にドイツに渡ったジョンソン(Johnson,s.w.)は、帰国後に化学肥料の研究のかたわら農事試験場の設立運動に取り組み、1870年代後半にはコネチカット州やニューヨーク州などに独自の農事試験場が設置された。
19世紀末から20世紀初頭にかけての農事試験場では、化学を中心に分析法に関する研究が進展し、土壌、肥料、植物、食糧、および飼料など農学の専門分野のそれぞれに応用され、学問の進展が加速化した。
中国の農書の歴史は紀元前3世紀に著された『呂氏春秋』が最初とされている。『呂氏春秋』は呂不韋が抱える知識集団によって編纂され、十二紀、八覧、六論の26部で構成されており、六論中の「士容論」第三編の「上農」では農業政策、第四編の「任地」では土地利用の原則、第五編の「弁士」では土地改良の原則、第六編の「審時」では適時作業の原則について述べられている。
紀元前1世紀には『氾勝之書』が著されたが現存しておらず、後代の農書にある引用から、耕作の原則、十数種の農作物の耕作法、種子の選別法と保存法が記されていたとみられる。
その後、後漢の崔寔が歳時記型の農書である『四民月令』を著した。
540年頃には賈思勰の『斉民要術』全9巻が刊行され、内容は『呂氏春秋』の農本思想を受け継ぎ、第6巻までは『氾勝之書』の形式で各農産物ごとに乾地農法の技術を述べ、第7巻からはは『四民月令』に近い内容の生活の技術を述べている。
元代には中国最古の官撰農書『農桑輯要』が編纂された。1313年には王禎の『農書』が著され、総論の「農桑通訣」、各論の「百穀譜」、農具を図解した「農器図譜」からなるが、記述の5分の4は農器図譜で300を超える農具を収録している。
明代末には徐光啓によって『農政全書』が著され(刊行は1639年)、屯田開墾,、大規模な水利土木,、備荒に重点を置いている。
清代には官撰農書の『授時通考』が編纂された。
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農学
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元代には中国最古の官撰農書『農桑輯要』が編纂された。1313年には王禎の『農書』が著され、総論の「農桑通訣」、各論の「百穀譜」、農具を図解した「農器図譜」からなるが、記述の5分の4は農器図譜で300を超える農具を収録している。
明代末には徐光啓によって『農政全書』が著され(刊行は1639年)、屯田開墾,、大規模な水利土木,、備荒に重点を置いている。
清代には官撰農書の『授時通考』が編纂された。
明治維新後、明治政府は西洋の科学的な農業技術や知識の導入によって農業生産の拡大を図る方針をとった。また、明治政府の最重要課題は富国強兵と殖産興業であり、生糸や茶など主要輸出品の勧農政策が重視された。
1869年(明治2年)4月に民部官が設置されると、5月には民部官に開墾局が置かれた。しかし、7月に民部官は廃止されて民部省が設置され、1870年(明治3年)9月に勧農局が設置され、開墾、種芸、養蚕、編集、雑務の5課が配置された(勧農局は12月に開墾局となり、翌1871年4月に勧業局となった)。さらに1871年(明治4年)7月、民部省は廃止され、大蔵省勧業司に引き継がれたが、大蔵卿に就任した大久保利通により改革が行われ、8月に勧業寮さらに勧農寮に改められた。
1871年11月に派遣された岩倉使節団(大久保は副使)の帰国後、日本では内藤新宿試験場(現在の新宿御苑)や三田育種場の設置、札幌農学校や駒場農学校の設立、外国人教師の招聘などに取り組んだ。
1872年(明治5年)10月、大蔵省では勧農寮が廃止され、租税寮に勧農課を置くとともに、同月に内藤新宿試験場の設置が決定した。民部省や大蔵省は東京府下の数箇所に西洋農具置場、植物試栽場、牧畜試験場を設置していたが、いずれも小規模で穀菜果樹の配布や各種試験、模範事業を行うには不適当だった。そこで内藤家所有の9万5千坪を9千5百円で買収し、その隣接地も次々に買収して最終的に19万余坪を買収した。
内藤新宿試験場の拡大の過程で、1874年(明治7年)7月に三田四国町の旧島津邸の4万坪の土地を買収して内藤新宿勧業寮出張所附属試験地とした(後の三田育種場)。新たな土地の購入の背景には内藤新宿試験場の地味が良好でなかったためなどの理由があったとされる。この三田育種場の整備により、1879年(明治12年)5月に内藤新宿試験場は廃止された。
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農学
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内藤新宿試験場の拡大の過程で、1874年(明治7年)7月に三田四国町の旧島津邸の4万坪の土地を買収して内藤新宿勧業寮出張所附属試験地とした(後の三田育種場)。新たな土地の購入の背景には内藤新宿試験場の地味が良好でなかったためなどの理由があったとされる。この三田育種場の整備により、1879年(明治12年)5月に内藤新宿試験場は廃止された。
明治政府は国防上の理由から1869年(明治2年)7月に蝦夷地(当時)に開拓使を設置した。外国人の雇用などの必要性を説いていた開拓使の次官の黒田清隆は、1871年(明治4年)1月に留学生とともに渡米し、駐米少弁務使の森有礼の協力を得て、第18代大統領ユリシーズ・S・グラントの配慮でホーレス・ケプロンなど推薦された外国人を連れて帰国した。
1872年(明治5年)1月、黒田は明治政府に開拓使仮学校の計画を上申した。校長には荒井郁之助があてられ、同年3月10日に生徒募集の通達が出された。「開拓使仮学校規則」の第1条によると、学校は札幌に設置するが、それまで東京に仮学校を設置することとし、東京の芝増上寺本坊に開設されることになった。
「開拓使仮学校規則」第15条の受講科目では、学科を普通2科と専門4科に分け、「普通学」の1では英語学、漢学、算数、手習、日本地理、歴史等の一般教養、「普通学」の2では舎密学、器械学、測量学、本草学、鉱山学、農学等の科目が配列された。また、「専門学」は、第1が舎密学、器械学、画学、第2が鉱山学、地質学、画学、第3が建築学、測量学、画学、第4が舎密学、本草及び禽獣学、農学、画学で、一部は「普通学」の2との連携が重視されていた。また、農学は専門学の第4に配置されており、必ずしも比重が高かったわけではない。
1875年(明治8年)8月、開拓使仮学校は予定通り札幌に移転したが、その際の名称は「札幌農学校」ではなく「札幌学校」で最初から「農学校」としなかった理由は不明である。1876年(明治9年)8月、札幌学校は札幌農学校に改称し、ウィリアム・スミス・クラークが教頭に着任した(実質的な校長職で、名目上の校長は調所広丈)。
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農学
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1875年(明治8年)8月、開拓使仮学校は予定通り札幌に移転したが、その際の名称は「札幌農学校」ではなく「札幌学校」で最初から「農学校」としなかった理由は不明である。1876年(明治9年)8月、札幌学校は札幌農学校に改称し、ウィリアム・スミス・クラークが教頭に着任した(実質的な校長職で、名目上の校長は調所広丈)。
札幌農学校は日本で最初の高等農業教育機関であった。ただし、札幌農学校は駒場農学校と同様に「農学」の看板を掲げたが、駒場農学校とは異なり「農学とは異質とも思われる領域」もカリキュラムには含まれていた。札幌農学校の卒業生には、佐藤昌介(農学博士)、新渡戸稲造(農学博士・法学博士)、南鷹次郎(農学博士)、広井勇(工学博士)、宮部金吾(理学博士)、渡瀬庄三郎(理学博士)、高岡熊雄(法学博士・農学博士)らがいる。
1870年代、北海道の開拓使が招聘したアメリカ人教師とは別に、開校予定の農事修学場に農学教師として招聘されたイギリス人教師たちがいた。新しい農学校の開設を担当したのは内務省勧業寮内藤新宿出張所内の農学掛(まもなく第6課に改称)で、課長は田中芳男が務めており、1875年12月に内務卿の大久保利通に農学校設立の必要性を述べた『農学校設立生徒教育教師僦用順序之儀伺』を提出した。
この伺が裁可され、1876年2月、勧業寮第6課の富田禎次郎が渡英し、王立サイレンセスター農学校(Royal Agricultural in Cirencester)の教官やその関係者である農芸化学(無機・有機化学)担当のキンチ、獣医学(解剖学・家畜内外科)担当のマックブライト、試業科教師のベグビー、予科教師のコックス、農学(農学諸科・農場実践)担当のカスタンスの5人が来日した。このうちベグビーが途中で不祥事により解任されたほかは、契約期間の3年以上勤務して帰国している。
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農学
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最も長く日本に滞在したのはキンチで、任期をさらに2年延長し、王立サイレンセスター農学校の化学教授に招かれたため急遽4年半で帰国したが、横井時敬や恩田鉄弥などの教え子が渡英時にキンチを訪ねており慕われていた。しかし、イギリス人教師の評価は芳しくなく、特に農学教師のカスタンスの講義は不評で、受講していた玉利喜造や酒匂常明などは英国の大規模な農業をそのまま教えていると苦言を述べている。この時期は秩禄処分(1876年)などにより明治政府は旧士族の授産問題を抱えており、駒場では東北地方などの内地に旧士族を送ってイギリスの大規模農法を導入したい意図があったため、日本の事情の説明を受けていたカスタンスらも母国の畑作農法の伝導に努めたことが背景にあるといわれている。また、コックスの講義を受けた新渡戸稲造も、旧式の文章構成法に忠実なだけの文法講師にすぎず、あまり尊敬できないと評している。
1878年(明治11)年、農事修学場は駒場農学校に改称された。
イギリス人教師の後任として、ドイツから1881年にオスカル・ケルネル、1882年にマックス・フェスカが来日した。ケルネルは日本の農芸化学の基礎を築き、フェスカは『日本地産要覧図』や『日本地産論』などの名著を残した。
日本農学会の資料文部科学省学科系統分類表/農学などをもとに分類した。
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ボコスカウォーズ
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『ボコスカウォーズ』は、1984年にアスキーから発売されたX1用戦略シミュレーションゲーム。開発はラショウこと住井浩司が担当した。
ゲーム内容は、主人公「スレン王国」の国王を操作し、隣国バサム帝国にあるアドロス城にいる暴君オゴレスを倒す事を目的としている。
本作は、第1回アスキーソフトウェアコンテストに於いてグランプリを受賞した5作品のうちの1本で、審査発表の翌月となる1984年3月末よりパッケージ販売された。同年MSX、PC-8801、翌1985年にはS1、PC-6001mkII、PC-9801、FM-7、ファミリーコンピュータ用に移植・発売されている。
2003年にはエンターブレインからプロジェクトEGGにてダウンロード形式でPC-8801版が販売されており、2004年にはiモード用に移植された。2008年4月8日にファミコン版がWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
2016年11月10日にピグミースタジオよりPlayStation 4、Xbox Oneにて、33年ぶりの続編となる『ボコスカウォーズII』が配信された。
発売当時のジャンルはロールプレイングゲーム、あるいはアクションロールプレイングゲームとされていたが、現代の価値観に照らせば戦略性・パズル性が強く、シミュレーションゲームに近く、シミュレーションRPGの先駆けとも言われる。また自分が動かないかぎり敵からは戦闘を仕掛けてくることはないというターン制に近いシステムになっており、実質的にはアクション性はない。
なお独特のゲーム音楽にはプログラマー自身による歌詞「すすめボコスカ」が付けられている。歌詞は取扱説明書に書かれている。
ログイン1984年11月号では、続編にあたるX1用『ニュー・ボコスカウォーズ』(『ログインNEWバージョン』とも)がプログラムリストと共に発表された。これは敵キャラクターを一新、アイテムやトラップを新設したバージョンで、前作より難易度の高いバランスとなっている。この作品はテープログイン1984年11月号にも収録されたが、これ以外の形でのパッケージ販売はされていない。
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ボコスカウォーズ
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ログイン1984年11月号では、続編にあたるX1用『ニュー・ボコスカウォーズ』(『ログインNEWバージョン』とも)がプログラムリストと共に発表された。これは敵キャラクターを一新、アイテムやトラップを新設したバージョンで、前作より難易度の高いバランスとなっている。この作品はテープログイン1984年11月号にも収録されたが、これ以外の形でのパッケージ販売はされていない。
プレイヤーはスレン王国軍を操作し、敵国バサム帝国のアドロス城に進軍し、敵指導者を倒すのが目的である。ただし、一部機種では「滅亡に瀕したスレン王国の生き残りである王子が、暴君オゴレスへの最後の反撃に出る」という設定になっている。 横スクロールのフィールド上を左に進軍しながら、途中牢屋に囚われている仲間を集めつつ敵兵を倒し、マップ終端にいる最終ボスを倒すと1面クリアとなる。以降、より難易度の高いステージを同様に繰り返し、5面クリアするとゲームクリアである。
移動する場合、切り替えボタンで移動させるユニットを切り替えながら進軍するが、選択肢が「全員」「スレン王のみ」「騎士・重騎士全員」「兵卒・重兵卒全員」の4つしか用意されていない。それぞれの選択したユニットが同時に移動するため、意図しないキャラクターが木や岩に引っかかっていることがままある。また、移動は画面外のキャラクターにも作用する。
敵兵と味方兵が接触すると戦闘になるが、当時のコンピュータゲームとしては珍しくステータスの数値が王様のパワー(ヒットポイント)以外は一切表示されておらず、内部的なパワー数値とランダム要素によって勝敗が決定される。敗北したキャラクターは消滅、この際自軍の兵が勝利するとそのキャラクターに10ポイントのパワーがプラスされる。このため、たとえ強大な力を持つ主人公ユニットであっても、ザコ敵との戦いによって一定の確率で死亡し、突然ゲームオーバーを迎える場合もある。
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ボコスカウォーズ
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また、いくつかのキャラクター同士には相性が設定されており、楽に勝てる組み合わせ・負けやすい組み合わせが存在する。また敵の背後(画面左側)から攻撃すれば勝率が高くなるというように楽に戦いを進める方法もあるが、自軍は最小でも職業単位でまとめてしか動かせないため、やむを得ず敵に接触することや地形に引っ掛かり身動きがとれなくなる場合も多い。背後からの攻撃は騎士らしからぬ振る舞いなので、実行には相応のペナルティがあるということを意味している。
※戦闘力は1周目のもの。1周クリアするごとに敵の戦闘力は10底上げされる。5周目以降は変化なし。 ※「呪いの落とし穴」は5周目まで増え続ける。5周目以降は変化なし。
初期ユニットはスレン王1人であり、魔法で岩や木に変えられた仲間を1人ずつ救出していかねばならない。これはゲーム機の処理機能の制限に合わせるための措置である。ただし、牢屋に捕らわれた兵卒はパソコン版のまま。
これに関連し「少数精鋭・雑魚を倒し成長」的な発想でゲームを進めた結果、戦闘結果がランダムであるためうまくいかず、パズル的な攻略法に気付く前に「運だけのゲーム」と誤解してしまうプレイヤーも少なくなかった。
パソコン版では敵キャラの多くが画面右に向かって進軍してくる傾向があるが、ファミコン版ではその動きが控えめである。特に、敵城から重騎士の大半を誘い出す場合、パソコン版では親衛隊の大半も外に出てしまうが、ファミコン版の親衛隊は城内に残る。
主に背景書き換え量の制約でゲーム進行、入力に対する反応は遅めで、移動が完了するまで方向キーを押していないと処理順の遅い味方がその場に残ってしまうこともある。逆用すれば、1列に並んだ味方を2列に並べ直すようなこともできる。
反面、音楽や効果音には凝っており、取扱説明書にはBGMの楽譜と歌詞(「すすめ すすめ ものども......」で始まるもの)が掲載されていた。この曲はチップチューンのカバーアルバム『ファミソン8BIT STAGE2』(2007年)で桃井はるこが声を当てて歌っている。
オゴレス亡き後、廃墟と化したアドロス城にすみついた悪霊を倒すため、再びスレン王国軍がバサム帝国跡に向かう。
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ボコスカウォーズ
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反面、音楽や効果音には凝っており、取扱説明書にはBGMの楽譜と歌詞(「すすめ すすめ ものども......」で始まるもの)が掲載されていた。この曲はチップチューンのカバーアルバム『ファミソン8BIT STAGE2』(2007年)で桃井はるこが声を当てて歌っている。
オゴレス亡き後、廃墟と化したアドロス城にすみついた悪霊を倒すため、再びスレン王国軍がバサム帝国跡に向かう。
『ボコスカウォーズII』は、ピグミースタジオから発売されたPlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch用シミュレーションRPG。
従来の作品をそのまま移植した「クラシックスタイル」と新要素が追加された「オリジナルスタイル」があり切り替えができる。
発売時には発売記念として「『ボコスカウォーズII』発売記念イベント in カルカル」が開催され、監督のラショウ、プロデューサーの小清水史の他、桃井はるこ、サカモト教授なども参加した。
平和だったスレン王国がバサム帝国の侵略を受け、民から慕われていたスレン王も捕らえられてしまった。
囚われの身となったスレン王だったが、牢からの脱出に成功し、行く先々で囚われの兵士たちを救出しながら王国奪還のためバサム帝国の攻め込むのだった。
2023年7月16日、インディーゲームイベントBitSummit Let's Go!!のピグミースタジオブースにて、アプリも併用するボードゲーム『ボコスカチェス』を出展。戦闘にはアプリ上で6面体のダイスを振り、ラショウはボコスカの運要素をチェスに活かしたと説明。プレイはドット絵で表された木製のコマを用い、量産したいとしている。
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宇宙生物学
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宇宙生物学(、英: Astrobiology、英: Exobiology、英: Xenobiology)とは地球に限らず、広く宇宙全体での生命体について考察し、生物生存の実態や生物現象のより普遍的な仕組み、生命の起源などを明らかにしようとする学問。アストロバイオロジーともいう。天文学、生物学、地質学、物理学、化学など横断的学問の上に成立する。しかし、比較的新しい学問なのでその定義ははっきりと確定していない。
2018年現在、地球以外の天体からは生命体は発見されておらず、したがって広義の宇宙生物学は、二つの分野に分けられる。すなわち、「地球以外の場所の生命に関する問題」と「地球上の生命が宇宙に出た際の問題」である。狭義の宇宙生物学では後者のみを指す。
前者では、地球外生命体の探査・推測を主に扱い、火星などの太陽系内の天体に関しては探査機を用いて、太陽系外の銀河系に生存しているかもしれない生命、とりわけ、高度な文明社会を持つと考えられている生物に関しては電波によるコミュニケーションを図ろうとしている(参照:地球外知的生命体探査)。そのほかにもドレイクの方程式や代わりの生化学といった地球外生命体の存在可能性・生体システムの考察がなされている。
後者では、無重力状態や宇宙線などの宇宙環境が人体に与える影響の研究、さらには地球上の動物、植物、細胞に与える影響を扱う。これらは人類が宇宙に進出してから少しずつではあるが、前者に比べて成果を挙げている。人体に関する研究は特に、宇宙医学と呼ばれる。
人間以外の動物の研究は、時間的な問題と長期的な宇宙空間での飼育技術の難しさから現在までの宇宙における動物のデータは限られている。ただし、動物の行動や発生といった限定的なものはいくつか実験されている。
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宇宙生物学
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人間以外の動物の研究は、時間的な問題と長期的な宇宙空間での飼育技術の難しさから現在までの宇宙における動物のデータは限られている。ただし、動物の行動や発生といった限定的なものはいくつか実験されている。
宇宙空間におかれた動物がどのような行動を取るかは宇宙実験の初期から注目されていた。動物は宇宙滞在における初期段階には異常な行動をとることが多いが、やがて正常な状態へと移行し、動物には無重力状態に対する適応能力を有することが明らかになりつつある。たとえば、メダカは宇宙では平衡感覚に異常をきたすため、うまく泳げずに回転遊泳するが、数日後には無重力状態に適応して正常な遊泳が出来るようになる。また、クモに関しても宇宙滞在初期にはクモの巣をうまく張ることは出来ないが、数十日後には正常に張るようになる。人間に関しても宇宙酔いという乗り物酔いのような症状がみられるが、30時間から48時間程度で回復に向かう。
有性生殖を行う動物では、卵子と精子との受精によって個体の発生が始まる。発生と重力との関係はメダカの胚やカエルの受精卵などを用いて調べられている。結論から言うと両生類、魚類、無脊椎動物など、哺乳類以外の動物には初期発生に対して無重力状態は大きな影響を与えていないことがわかっている。メダカにいたっては宇宙ですでに交尾・産卵・孵化が確認されている。しかし、どの動物も器官の分化には筋肉や骨の形成が遅れるなど、少なからず無重力環境の影響がある。また、加齢についてのショウジョウバエや線虫を用いた実験があるが、ショウジョウバエはオスの加齢が加速し、メスは加速が認められず、線虫では加齢に影響しないとする実験結果が出ており、加齢や寿命に対する宇宙滞在の影響は統一した結論に達していない。加齢の加速原因としては宇宙線に含まれるHZE粒子がDNAに与える影響が考えられている。
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宇宙生物学
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陸上植物は固着生物として生活していく上での様々な環境ストレスを回避するために、光、水、重力といった環境を感受し、それを利用して自分の姿勢を制御するという仕組みを獲得した。それゆえ、陸上植物の形態形成は重力と大きく関わっており、植物の種子は無重力、微小重力状態でも扱いやすく、宇宙でも環境をコントロールすれば植物の種子は発芽して育ち、開花や結実も見られる。とはいえ、宇宙の無重力(微小重力)環境というのは、植物の生育に大きな影響を及ぼし植物生産にも影響することになる。
重力依存的な成長のメカニズムを研究するのに宇宙環境はとても有用であり、その解明は地球における植物の生産力を高めるだけでなく、宇宙で植物栽培をするのにも応用できると考えられる。
植物の生長や運動、体制維持に深く関係する植物ホルモンのオーキシンの流れは重力感受によって制御される。オーキシンの動態制御は無重力下の宇宙では機能せず、植物の姿勢制御や形態形成を変化させると考えられるが、重力がオーキシンの動態を制御するメカニズムはまだはっきり分かっていない。
重力屈性とは、根が下に伸びて茎が上に伸びる、というように植物が重力に反応してその伸長方向を変化させることである。イネとシロイヌナズナを地上で発育させた場合と宇宙で発育させた場合を比較した場合、地球上では明らかに地上部は上に、根は下に伸長している姿が見られるが、宇宙空間での無重力状態では伸長方向が制御されず、中には根が地上部の茎と同じ方向に飛び出して伸びているものも見られた。
根の重力屈性の場合、重力は根の先端の根冠細胞で感受されると考えられる。根冠の一部のコルメラ細胞では、デンプン粒を含んだアミロプラストが重力によって沈み、これによってオーキシンの流れが変化する。オーキシンには、地上部の芽や若い葉から根の方に流れ、根の中心部を通って先端へ向かい、Uターンするように根の周辺を通って戻る性質がある。根を傾けて重力刺激を与えると、オーキシンは上側には行かず下側だけに行こうとするので、傾いた根の下側でオーキシンの濃度が高くなり、下側の成長が上側に比べて相対的に遅くなるために地球上の植物の根は下方向に伸びる。
一方、無重力(微小重力)下では、コルメラ細胞の中でアミロプラストが沈降しないのでオーキシンが局在せず伸長方向の制御が不能になると考えられる。
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宇宙生物学
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一方、無重力(微小重力)下では、コルメラ細胞の中でアミロプラストが沈降しないのでオーキシンが局在せず伸長方向の制御が不能になると考えられる。
アサガオやウリ科植物などが見せるつるを支柱に巻きつけながら伸張させる「つる巻き」のような、茎や根の先端がらせん状に回転しながら伸びる運動のことを回旋運動と呼ぶ。回旋運動には重力感受細胞である内皮を必要とするが、内皮細胞を作るのに必須のSCARECROW遺伝子が働かないと、アサガオなどは重力を感受できずに回旋運動もつるを巻くこともできなくなる。回旋運動とつる巻きが重力依存的な現象であることを意味するが、つる植物の宇宙の無重力環境で回旋運動をするのか、支柱に巻き付くかどうかは現在研究中である。
ウリ科植物の発芽直後に根と茎の境界域に形成される突起状の組織であるペグは、根は下へ茎は上へと伸ばす重力屈性に逆らい種皮を土の中に押さえつける。これによって芽生えは種皮から抜け出す。
地上では、ウリ科植物の種を上下逆さまになるように置いてもペグは必ず下方向にでるので、重力によって制御されていると考えられていたが、キュウリの種子を宇宙で発芽させても2個ペグができたので、ペグ形成には重力を必要しないことがわかった。
もともとキュウリの芽生えは2個のペグを発達させる能力を持つが、地上では重力に応答し、横たえられた芽生えの上側になった部位のペグ形成を抑制しているといえる。この抑制にもオーキシンが関係している。
NASAでは、シロイヌナズナの発芽前の種子を月面の植物栽培モジュールの中で発芽させ、遺伝子発現をモニターすることで、植物が低重力や温度、圧力や高放射線にどう対処するかを観察する実験を計画・進行している。シロイヌナズナの発芽・成長は、バイオマーカーとしての緑色蛍光タンパク質(GFP)をシロイヌナズナに発現させて、488nmの光で観察することで確認する。 モデル植物のシロイヌナズナはGFPマーキングが簡単にできる上に、火星の気圧に近い10キロパスカルの気圧でも成長できるので、研究材料として選ばれた。さらに、モジュールに月の土を加えて土の毒性や含有物を調べる実験も考えられている。
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宇宙生物学
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宇宙環境下における細胞は地上での実験では見られない挙動を示す。原生動物や哺乳類培養細胞などの様々な細胞に及ぼす宇宙飛行の影響は多く報告されている。細胞は重力を感受することができ、無重力に対する反応は個々の細胞で異なることもわかっている。例えばサリュート6号で行われた、ヒメゾウリムシの実験では、無重力下では細胞増殖が促進されることがわかっている。
広義の「宇宙生物学」が指す取り組むべき課題としては
の3点が挙げられる。
生命の起源は生物化学分野での一課題としても取り上げられるが、宇宙生物学では、生命は宇宙と深い係りのもとに進化したと定義し、より広く普遍的な概念を構築しようとするものである。
1960年代の初期の宇宙探査により、太陽系内に地球外生命および地球外文明が存在する可能性は一旦ほぼ否定され、生命の探査は地球外有機物の探索が主となっていた。しかしその後の探査や研究によって、木星の衛星エウロパの地下に微生物状の生命が存在する可能性が示唆され、その探査の方法が真剣に検討されるなど、太陽系内の地球外生命の探査をめぐる状況は大きく変化している。
他方、太陽系外の惑星系の直接的な探査は現在の人類の技術力では困難であり、先方から信号を送ってくるかもしれないとの期待のもと、地球外文明との交信のためのさまざまな試み(SETI)がなされている。アメリカ合衆国の天文学者フランク・ドレイクが提唱した地球外生命体がどれほど存在するかの方程式(ドレイクの方程式)を用いて大島泰郎は、「銀河系には100年に1度、我々と同程度の文明が誕生しており、総数では1000万個ほどであり、そのうち人類の存続期間と重なっている文明は10万個程度であろう」と推測している。
人類を含む地球生物の移住については比較的詳細な検討がなされ、宇宙植民島という考察が発表されている。ただし、生態学的な検討は十分なされておらず、宇宙環境における地球生物の適応性の問題など、生物学と密接に結び付いており、多数の課題を解決していく必要がある。
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クソゲー
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クソゲー、糞ゲーとは、「クソゲーム」の短縮形。ゲーム評論を行なうユーザーやメディアが、低品質でつまらないコンピュータゲームや初めから詰んでいるようなゲームを酷評する際に用いる言葉、またはその評価が与えられた個々のゲーム作品に対して用いる。
「クソゲー」という名称の起源については諸説あるが、一般的には、タレント、イラストレーターのみうらじゅんが、ファミリーコンピュータ用ソフトの 『いっき』(サンソフト・1985年11月発売)や『頭脳戦艦ガル』(デービーソフト・1985年12月発売)を評する際に使用したのが発祥とされる。
みうらも自身が命名者であることを自認しており、ファミコンブーム時に自身が雑誌で連載していたコラム「ゲロゲロゲームランド」上で、元々はバカ映画に沿ってバカゲームと呼んでいたものが、自腹で金払ってるんだからバカじゃ済まないだろう、ということでクソゲーと呼ぶようになったと後に語っている。当時のみうらが「クソゲーム」と発した文献上で確認できる語の初出は、『バグニューズ』(BNN社)1986年8月号の「ゲロゲロゲームランドクソGAME大会」である。この様な内容であったことから、連載中はよくメーカーからお叱りを受けていたとも後に語っている。
高橋名人も1986年8月10日発行の著書『ファミコン戦士に告ぐ 名人はキミだ! オレの秘技をまるごと初公開』の34ページで、「クソゲー」に言及している。ただ当時の高橋名人は、テレビ東京で放映の『おはようスタジオ』でレギュラーを持っており、この際に同じくレギュラー出演者であったみうらじゅんとは浅からぬ縁がある。みうらは後に、当時高橋名人と楽屋が同じだったこともあり、この頃入手困難だったファミコンソフトの『スターソルジャー』を、高橋名人より「名人価格」と称した特別価格で売ってもらったり、高橋名人のサインや、カセットに貼ると連射が早くなるという名人シールをもらったと語っており、この際にみうらより高橋名人に「クソゲー」という名称が伝わった可能性もある。
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